「DBIF50-3」(2007/07/08 (日) 01:27:43) の最新版変更点
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「ザード将軍、目的の星に後4ビクト程で到着致します」
地球へと向かう宇宙船内部にある巨大な装置の扉の前に向かい、スノウが淡々とした声で報告すると、装置から含み笑いが漏れた。
「いよいよか」
「はい」
スノウの口に邪悪な笑いが浮かぶ。地球に着いてからのことを想像してのものか。
「あの忌まわしい『星の寄生虫』共を叩き潰す時が来ました」
「ふふ・・・だが、まだわしの調整には時間がかかる。直接奴らと戦うのはまだ控えろ」
「承知しております。まずは例の五人をあの星に放す予定です」
スノウの言葉を聞いて、装置にいるザードは楽しそうに笑った。
「アレか。ならば精々、星を破壊せんよう念を押しておかんとな」
「その点はお任せ下さい。将軍にご迷惑をかけるようなマネは致しません」
「任せよう」
と、それきり沈黙した装置に向かって頭を下げると、スノウは部屋を出た。
宇宙船内とは思えない通路歩き、やがて通路の端にある大きな扉の前で立ち止まる。名前と階級と暗号らしき言葉を言った後扉に右手を
押し付けると、重々しいロックの外れる音がして扉が左右にスライドした。
扉を抜けたスノウの前には5つのカプセルが並んでいる。その中にはやはり異星人らしい、異形の姿をした人間が見受けられた。
「まさかコイツらをこんな目的で使うことになるとはな」
そう言いながら軽く笑うと、スノウは部屋の隅にある機械に向かった。ディスプレイにはエメロー、サフィア、ガネット、パル、ジストの名が
並んでいる。
スノウが機械を操作して数分後、恐らくはコールドスリープのカプセルであろう筒の蓋に付けられた窓から覗く、内部の人間に生気が宿る。
「おはよう」
スノウは楽しそうな笑みを浮かべながら、装置に取り付けられたマイクに向かって語りだした。
「まだ身体の感覚が戻らない状態だろうが、そのままで聞け。まず今の状況を説明しよう。ここはお前達が暴れていた星ではない。
ある星に向かう宇宙船の中だ。そして私はお前達の命を預かる者。名前はスノウという。
お前達は我々の管理する星で好き勝手に暴れた無法者揃いだ。実力の高さから、我々の軍の訓練用員にしようと凍結して持ち帰る
予定だったが、事情が変わった。これから出す条件をクリア出来れば、開放することを約束する。
その条件とは2つだ。今から4ビクト後に到着する予定の星で、毛の生えた尾を腰に巻いた人間3人の首を俺の前に持ってくること。
いいか?あくまで首を持って来ることだ。現地の人間を殺そうが建物を破壊しようが自由だが、星を破壊して殺したと言っても認めん。
それだけは肝に銘じておけ。これが1つ。そしてもう1つは、同じ星で育つ、最も巨大な樹を破壊することだ。
なお、お前達自身の性格を考えればわかると思うが、好き勝手な行動をしないよう、お前達の身体には爆弾を仕掛けさせてもらった。
これは俺の解除ワードと摘出手術がなければ、例え俺を殺しても4オプト後には爆発する仕組みになっている。条件をクリアした
時にはこれも外してやる。精々頑張ってくれ」
長い説明を終えると、スノウは次の準備に取り掛かるべく部屋を出た。
「果たして奴ら相手に1日持つか。まあ、例え数十分でも奴らの目を引ければ充分だがな」
思ったように成長しない神聖樹の様子を見ながら、ラニは退屈を持て余していた。
「ちっ」
舌打ちしながら拳と足とを振り回す。そのこと如くをリセロが無表情に受けていた。
「この星は重力も軽くて、加重装置をつけなきゃ身体を動かした気にもなれん。それも1日で済むと思っていれば、肝心の神聖樹の
成長スピードが遅いとはな」
申し合わせているのか、リセロが無言のまま返してくる拳を紙一重の距離で全てかわしながら、ラニの独り言のような会話は
止まらない。
「ターブル様も次に奴らが来るまで眠ると言って宇宙船に入ったきりだ。あの様子では再びあのベジータとかいう奴クラスの気でも
感じない限り姿をお見せになるまい」
ラニの突き出した右手から次々とエネルギー弾が放たれる。これもリセロは全て腕で弾き飛ばした。
「まったく妙な星だ。この私が油断したとはいえ一撃を食らう程の実力者がいたかと思えば、そいつが引き連れた連中以外にはゴミ程の
戦闘力も感じない。これでは奴ら以外の人間をいくら殺しても暇潰しにもならん」
最後にもう一度忌々しそうに舌打ちをすると、ラニは一息ついて首にはめていた装置を外した。
次の瞬間、その顔が弾かれたように彼方の空の方を向く。リセロもまた同じ方向を無言で見つめていた。
「・・・ほう、どうやら格好の暇潰しの相手がご到着のようだ」
ラニの顔に嬉しそうな笑みが浮かんだ。
「!」
「この気は!」
ピッコロ、悟飯、トランクス、クリリンの顔が一斉に同じ方向を向く。それはラニとリセロが向けた先と同じ空を捉えていた。
「くっ・・・よりによって、ベジータも悟空もいない時に」
「どうしますかピッコロさん?」
「・・・奴らとの接触は避けたいところだが、そうも言っていられん。気を消しながら近付くぞ」
ピッコロの指示に従い、4人は気を消しながら異星人がやって来る予定の地へと向かった。
幸いにも着陸予定の地点付近に人の住む街は存在せず、樹木や岩の多い、様子を伺うには格好の地形であった。
「!奴らの気が動いた。視界に入らないよう隠れろ!」
その声に全員が目立たない位置に隠れるのと、遥か遠くにいたはずのラニとリセロがやって来るのとはほぼ同時だった。
(何というスピードだ・・・)
心の中でピッコロがそっと毒づく。ラニとリセロはまだ超サイヤ人-彼らの言葉を借りれば戦闘形態-になってはいない。それでいて
このスピードであった。
二人はぐるりを見回した後、にやりと笑うと叫んだ。
「どうせこの辺りに潜んでいるんだろう?!出てきたらどうだ」
そんなことを言われようと容易に出て行けるはずもない。躊躇する4人に、ダメ押しのようにラニが再び叫んだ。
「つい先程まで遠くに感じられたお前達のパワーが消えていることに気付かない私だと思っているのか?!何ならこの辺り一帯を
吹き飛ばしても構わないんだぞ」
「く・・・!」
にやにやと楽しそうに笑うラニの言葉に、4人は隠れ続けるわけにもいかず物陰から離れた。
「ふふ、やはりな。私達を相手に自分達の星を守ろうとしたお前達だ。パワーは感じられなくとも、あの時と同じように着陸する場所には
来ていると思ったぞ」
「姿は見せた。次はどうするつもりだ?」
ラニ達の背後にいるターブルのことを考えれば、今彼女達と闘うわけにもいかない。なればこそ気を消したのであり、あわよくばやがて
来る異星人と彼女達が衝突する可能性をも考慮したのだが、それも読まれてしまっては意味を成さない。今の状況で出来ることと言えば、
相手の意図を確認することくらいであった。
「別に」
「何?」
「ターブル様がおられない場で、お前達に返答を迫る気はない。あぶり出したのは、こそこそ覗かれるのが好かんというだけの理由だ」
ピッコロは無言でラニを見た。敵の言うことをすんなりと信じるわけにもいかないが、彼女の口調からして、嘘とも思えない。
「疑いたければ好きにしろ。それよりも、来たぞ」
ラニが顎で示した通り、遥か上空に黒い点のようなものが見えたかと思うと、見る見る内に大きさを増していった。
ラニ達の乗ってきた宇宙船より更に大きい。トランクスの調査では大物が二人ということだったが、この大きさからすると兵隊を連れて
来ているのかもしれない。
バシュウッ!
突然、その宇宙船から5本の筒のようなものが発射された。方向はバラバラである。
「な、何だ?」
「わからん。だが放っておくわけにもいかん。俺が確認しに行こう」
そう言ってピッコロが発射された5つの内1つの向かった方向へと飛んでいった。
「ふん。何か小細工でもするつもりか」
ラニがつぶやく。その間にも宇宙船は降下を続け、やがて一同の前に着陸した。
しばらくして入り口の扉が開いていく。その向こうから現れた姿は-
「フ、フリー・・・!」
かくして役者は揃い、この時より地球は敵味方入り乱れる未曾有のバトルフィールドと化すのであった。
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