「DBIF49-8」(2007/06/04 (月) 23:45:52) の最新版変更点
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スパッツの予測地点で待機する悟飯達の見上げる空に、しばらくして宇宙船が現れた。
始め、気を消して様子を伺うという案も出たが、消極的な策を嫌うベジータがそんなことを承諾するはずもない。結局姿を現して
迎えることとなった一同が見守る中、宇宙船が着地すると、間もなく入り口の扉がゆっくりと開き始めた。
「どうも待たせてしまったようで、すまないな」
まだ開き切らない扉からそんな声が漏れた。
「女?」
ベジータの口から不審な声が出る。果たして、どことなくハスキーな高音の声の印象通り、開き切った扉の向こうから現れたのは
黒い長髪の女であった。その横には体格の良い髭面の男が立っている。一見すると普通の人間だが、腰に巻いた尾が、彼女らが
サイヤ人であることを物語っていた。
「ほう・・・なかなか」
女は左右に視線を巡らせてから、感嘆の声を出した。
「随分と豪勢な顔ぶれじゃないか。私達の事を知っているのか?」
「あなた達が、サイヤ人だということは」
興味深げに聞いてくる女に、トランクスが慎重に答えた。まだ必ずしも敵とは見なせない相手にいきなり襲い掛かるわけにもいかない。
ましてや女性ともなれば。
「こちらからも聞かせてもらいたい。あなた達がこの星に来た理由は何だ?」
トランクスが続けて返した質問に、女は何故か意外そうな顔をした。
「私達がサイヤ人と知っていてそれを聞くのか?ここは、ターレスの奴が最後に訪れた星なのだろう?」
『ターレス?!』
女の言葉に悟飯、クリリン、ピッコロが揃って反応した。
かつてこの地球を訪れ、星を丸々枯渇させる代わりに、その実を食する者に絶大なパワーを与えるという神聖樹を植えつけることで
地球を滅ぼしかけたサイヤ人の名が出るとは、余りにも予想外だったためである。
「やはり知っているようだな。奴は私達が他所の銀河を巡っている間、ここの銀河で神聖樹の実を増やすために残された、
言わば使用人のようなものだ。もっとも、元が下級戦士なだけにお前達の誰かにやられたようだが」
女の言葉に3人は声も出なかった。ターレスは超サイヤ人でなかったとはいえ、あの悟空が10倍界王拳をもってしてなお
歯が立たなかった程の相手である。そのターレスが目の前の二人にとってはただの使用人だったというのか。
「もうわかったな?隣の銀河での収穫はあらかた終わったんでな。奴が最後に訪れたこの星から、この銀河での栽培と
収穫をやり直そうというわけだ」
悠々と話す女を見る悟飯の身体がわなわなと震えた。目の前のサイヤ人はあの時と同じく、神聖樹によって地球を死の星に
変えようというのだ。
「そんなこと、させるもんかーっ!」
「!」
悟飯の髪の毛が逆立ち、黄金色に染まる。同時に稲妻のようなものを放つ、やはり金色のオーラがその身を包んだ。
「貴様、サイヤ人なのか?!」
「はあああーー!!」
爆発的な土砂を跳ね上げて悟飯が女に襲い掛かる。しかし、
「!」
ブォンッ!
女に殴りかかろうとした悟飯の横から、重く鋭い蹴りが飛んで来たため、やむを得ず軌道を逸らせて着地した。
蹴りを繰り出したのは、女の横に立っていた男である。
「なぜサイヤ人がこんな星に。まさか他にも-」
「そのまさかだ。俺と、隣にいるこいつもサイヤ人だ。もっとも、純血のサイヤ人は俺だけだがな」
親指でトランクスを示しながらそういうベジータを、女は少しの間ショックを受けたように見ていたが、やがてその口が
笑みを浮かべた。
「なるほど、ターレスの反応が消えたのも頷ける。まさかこんな星に戦闘形態になれるレベルのサイヤ人がいたとはな」
「戦闘形態?ふん、どう呼ぼうが構わんが、ここにはそこの奴と同じようになれるサイヤ人が3人いる。下らん考えは
捨てるんだな」
ベジータはにやりと笑いながらそう言った。戦闘民族であるサイヤ人がそんな言葉であきらめるはずもないことを知った上で、
挑発しているのだ。
だが、その反応は思いもかけないものだった。
「ふっ・・・・・・っはっはっは。たかが戦闘形態になれるというだけで、私に指図か。身の程知らずも度が過ぎると笑いを誘うな」
「何?」
「戦闘形態になれるのがお前達だけだと思っているのか?」
ドウッ!
次の瞬間、女の姿が金色に輝いた。しかしそれはあくまで普通の、第二形態ですらない超サイヤ人、のはずだった。
「な・・・」
「神聖樹の実を食べ続けた私の戦闘形態が、ただのサイヤ人のものと同じだと思うなよ」
その言葉と同時に女の姿が消えた。
「?!」
ドゴォッ!
次の瞬間、何の反応も出来ないまま悟飯が吹き飛ぶ。そこにはいつの間にか蹴りを繰り出した女の姿があった。
「ぐ・・・!」
後方の岩を砕きながらかなりの距離を吹き飛んだ後、悟飯は何とか制動をかけた。しかしその顔には驚愕が貼り付いている。
まさか第二形態にすらなっていないただの超サイヤ人が、これ程のスピードと威力の攻撃を仕掛けてくるなどと思わなかったのだ。
「ほう、しぶといな。それに良く見ると私の戦闘形態とは少し違うようだ。今の攻撃を耐えたのはそのせいか」
余裕の笑みを浮かべながら、その分析は鋭かった。
「くっ、このおっ!」
焦りの声を上げてトランクスも超サイヤ人となる。しかし、悟飯に加勢しようと飛び出そうとする彼を、横に伸ばしたベジータの手が制した。
「父さん・・・?」
「お前は手を出すな」
その声の冷静さに、トランクスは動きを止めて超サイヤ人の状態を解いた。
「お前もだ!こいつは俺一人で闘う」
と、悟飯にも叫んでから、ベジータは女の正面に立った。
「ふん、大層な自信だな。今の力を見ても自分一人で倒せると言うのか?」
ベジータは普段の彼らしくもなく、その言葉に何も言い返さずに超サイヤ人化した。勿論それは超サイヤ人の限界を超えたものである。
「ほう、あの子供よりわずかだがパワーが強いな。だが、それがどうだというのだ?」
嘲るように笑う女の気がさらに跳ね上がる。先程のはまだ本気ではなかったのだ。
しかしベジータは動じることなく、ただ口を固く結んで女を見つめている。
「ふん」
その口が不意に笑みを浮かべた途端、ベジータの身体が一回り大きく膨れ上がった。
普通の超サイヤ人の第二形態と同じパワーアップを、今の状態でして見せたのだ。
「何?!」
驚きの声を上げる女に向かってベジータが突進した。
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