「DBIF49-3」(2007/05/24 (木) 14:43:48) の最新版変更点
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「その後、何とか母さんの家まで戻り、応急手当だけをして皆さんの所までやって来たんです」
苦い表情で締めくくるトランクスを見るベジータの唇の端が持ち上がった。
「面白い。お前を簡単に倒せるフリーザもどきの異星人に、そいつに匹敵するサイヤ人の生き残りか」
「考えてみれば、確かに俺達ナメック星人やサイヤ人と同じく、フリーザにも同じタイプの人間が住む
故郷の星というものはあるはずだ。しかしまさか別の銀河だったとはな」
「しかも本星の奴らはフリーザどころか、トランクス以上の実力者か。そんなの反則だよなあ」
ピッコロの言葉を受けて、クリリンが情けない声で言った。
「その異星人の背後に控える、恐らくはさらに強い異星人と、どうやら複数いるらしいサイヤ人とが
地球を舞台に戦おうとしている、か。つくづく、因縁だな」
疲れたような声でピッコロがつぶやく。実際ベジータ以外の全てが同じ心境だったろう。
初めに地球を襲ったラディッツに始まり、ベジータ、ターレス、フリーザ、クウラ、ブロリーと、
フリーザタイプの異星人とサイヤ人は、絡み合う糸のように彼らの前に現れ、その度に激闘を
繰り返してきた。半年前に倒したセルも、言わば彼らの混合体のようなものだ。そして今回の敵は、
どうやら極め付きの存在らしい。
「今回ばかりは、俺一人じゃどうにもなりません。お願いします!未来に来て俺と一緒に戦って下さい!」
トランクスはこれ以上ないほどの勢いで頭を下げた。恐らくその内心は自分一人で解決できなかった
悔しさが全身に満ちているのだろう。その両手は血を吹くほどに固く握り締められ、わずかに震えていた。
「バカが。とっとと顔を上げろ。他の腰抜け共ならともかく、この俺がそんな連中がいると聞いて
行かないと言うとでも思っているのか」
「父さん・・・」
「まあ、いずれは来るであろう連中だ。少し早めに手を合わせておくのもいいだろう」
「そうですよね、僕も頑張ります」
ピッコロと悟飯の言葉に、トランクスは心の底から感謝を込めて、もう一度頭を下げた。
「でも、肝心のタイムマシンはどうするの?あんたの乗ってきたマシンじゃ乗れても精々二人でしょ?」
ブルマが当然とも言うべき質問をすると、トランクスは懐から紙の束を取り出した。
「ここに、未来の母さんが書いてくれた大人数用のタイムマシンの設計図があります。向こうでは作る時間も
資材もないので、こちらで作ってもらうようにと渡されました。このマシンなら7人まで乗ることが出来ます」
「どれどれ?うわっ、凄い。さすが未来の私ってとこね。でもこれ、作るのに結構時間かかるわよ」
「その点は問題ありません。戻る先は未来ですから。むしろ、未来に向かってからの戦闘を考えて、より強く
なるのための期間を設ける必要があると思います」
トランクスの意見に反対するものはいなかった。あのベジータさえも。
「しかし7人か。トランクスは当然として、俺と悟飯にベジータで4人。一応あと3人まで乗れるな」
言いながら、ピッコロは背後を見た。そこには天津飯、クリリン、ヤムチャ、餃子、人造人間18号が立っている。
「どうだ、お前達の中で行きたい奴はいるか?」
ピッコロの声に、クリリンが頭をかきつつ前に出た。
「んー、まあ、正直俺程度じゃ役に立つかわかんねーけど、一応行っとかなきゃな」
「あー、俺はパス」
と、情けない声でヤムチャが手を振る。その横で天津飯は難しい顔をしていたが、やがてぼそりと、
「・・・悪いが今回、俺と餃子も辞退させてもらう」
と言った。
「ええ?!」
天津飯の意外な言葉に、クリリンが音を立てそうな勢いで振り向く。
「情けないが、俺が行っても、正直足手まといにしかならんだろう」
「そんな、足手まといだなんて・・・」
「いや、俺はクリリンのように、力がないならばないなりに工夫して役に立てる程器用じゃない。かといって、
進んで死にに行く気にもなれない」
「で、でも・・・」
「放っておけ!」
うつむきながら話す天津飯に、なおもかける言葉を捜す悟飯を、ベジータの鋭い叱咤が打った。
「そいつの言う通り、連中相手にそいつ程度の実力では足手まといにしかならん」
「そ、そんな・・・」
「悪いが悟飯、今回に限っては俺も同じ意見だ。それに、嫌がる者を無理に連れて行くわけには行くまい」
「・・・」
多少のもどかしさを感じながらも、悟飯はそれ以上食い下がることはできなかった。
「私も行っていいか?」
と、多少気まずくなった空気を打ち消すように、18号が訊ねた。しかしそれに対してはトランクスが
苦い顔をしながら首を振った。
「残念ですが、あなたが来ると俺の世界の人間が、自分達の世界を滅ぼしかけた人造人間20号と
間違えて恐怖を抱き、あらぬ混乱が起こります。申し訳ありませんが、連れて行くわけにはいきません」
「まあ、そうだろうな」
答えを予想していたのか、さほど落胆するでもなく18号は退いた。
「なあ、悟空はどうするんだ?」
そのタイミングを見計らったかのようにクリリンの口からこぼれた言葉に、一瞬その場の時が止まった。
セルゲームの終盤、自爆しようとするセルもろとも界王星に瞬間移動して死亡し、後の事を悟飯に託して
生き返ることを拒否してからもう半年が経っているのに、いざ危機が迫ると思い浮かべてしまう。それ程に
悟空の存在は大きかった。
「一応言ってはみるが、多分参加はせんだろう。悟飯や、生き残った俺達に後を託すと言った以上、
余程のことがない限りその言葉を曲げることはするまい」
「はあ、あいつそういうことには結構頑固だしなあ・・・」
クリリンはため息をついた。今回の敵が複数であると予想出来る以上、頭数は多い方が良いのだろうが、
それだけの理由で悟空が生き返ることを選択するとも思えない。とはいえ、いざ強敵を迎えようという時に
悟空という存在がいないのは、どこかもどかしいものがあった。
「それじゃあ、未来に行くのは5人ですね」
「いや、6人だ」
確認するように言う悟飯の言葉を、ピッコロが否定した。
「え?でも・・・」
「今度の戦いが始まれば、また大なり小なりトランクスの世界の地球や人々に被害が出るのは間違いない。
それに備えて、デンデを連れて行こうと思う」
「あ、そうか。向こうにはもうドラゴンボールがないんだっけ。確かにあれがあるとなしとじゃ大違いだよなあ」
クリリンの言葉に全員がうなずいた。
「ふうん、6人か・・・」
そんな中、ブルマだけが何か別の事を考えているのか、ぽつりとつぶやいた。
結局、大型タイムマシンが出来上がる半年間を修行の期間と定め、未来へと行くメンバーの内、悟飯、ベジータ、トランクス、
ピッコロ、クリリンの5人は各々の力を引き上げるべく鍛練に励むこととなった。
「何ですか?ここ。どこかで見たような・・・」
どこに果てがあるのかわからないような、それでいて息の詰まるような空間を見回しながら、悟飯は傍らのベジータに訊いた。
「以前作らせた重力発生機をブルマの奴に改造させて、セルゲームの時に入った『精神と時の部屋』を、可能な限り
再現させたものだ。時の流れを遅らせるのは通常の4分の1が限界だが、重力は50倍にしてある」
「ああ、なるほど。そう言えば似てますね」
「はっきり言って俺やお前のレベルの人間が、この星の環境でわずか半年程度鍛えたところで大幅なパワーアップは望めん。
ならば、俺とお前とトランクスはここで身体を鍛えるしかなかろう」
「ええ?!で、でも・・・」
「お前の母親の所には今トランクスが説明に行っている。ぐだぐだ言わずにお前は自分のパワーアップに専念しろ」
「はあ・・・(大丈夫かな、トランクスさん)」
「ピッコロさん、お帰りなさい」
「デンデ、これから俺は『精神と時の部屋』に入るが、その前にお前に伝えることがある」
「わ!わ!ちょっと、18号ちょっとタンマ!」
「わめく暇があったらよけろ。修行に付き合ってくれと言ったのはお前だろう。私は容赦はしないぞ」
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