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「涼宮ハルヒの正義、SOS団はいつもハルヒのちキョン48-3」(2007/05/04 (金) 16:12:41) の最新版変更点
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「・・・という事なんでしょう。まったく・・・、涼宮さんらしいというか何というか。」
「じゃ、じゃあ、ここにいる全身タイツの人達は、私達を襲わないんですね。」
「おそらく・・・ですが。まあ、例えそうでも僕や長門さんがいますから。安心してください。
それに怪人のままのキョンくんもいますから。」
「・・・・好きでなったわけじゃないけどな。」
グウが戦闘員どもと戯れている間、俺と朝比奈さんは古泉の『この世界に対する考察』のようなモノを聞いていた。
古泉が話した考察の具体的な内容を要約するとこうだ。
ハルヒは無意識のうちに自分の都合の良い世界が創れる。
しかも自分が望んでいる一般常識とはかけ離れた世界をだ。
しかし、彼女の中にどうしても現実とかけ離れた事を拒否する心がある。
この部分が、目の前にいる戦闘員達を現実の戦闘員―――つまり、テレビの撮影と知っている人間や、
ヒーローショーに出演している人達と置換しているという事らしい。
「キキィ!あちい!!」
・・・まあ、あの様子を見ればそれも信じれるな。
「やっべ、アイツのケツ焦げてね?油が滴ってるよな。」
「今日は強火か。気合を入れなくてはな。
だ・か・ら喋るなって。
・・・・もういい。
今はこの世界をどうにかしないと・・・。
というか、何でハルヒの奴は一向に姿を見せないんだ?
ここはアイツの望んだ世界なんだから、真っ先にこの場に現れて、
戦闘員達をとっちめてもおかしくないんだが・・・。
仕方ない。ここはもう一度長門に相談するか。
さっきは『考える必要は無い』と言われたが、やはり状況が何も変わらない以上は、
相談と論議で事を進めるしかないだろう。
「目標物の構造解析を終了。成分・・・。」
「何だ長門。まだそんなことをやっているのか?どうせ唯の人間だよ。」
俺は長門へ気軽に話しかける。
古泉の仮説を否定する必要が現状に無い以上、こいつらは普通の人間であろう。
だから長門の苦労も徒労に・・・。
「成分は不明。」
「へっ?」
長門の言葉は、俺に驚愕と焦りを感じさせ始める。
「成分って目の前のグウと火の輪潜りをしている戦闘員達の事だろ?」
「そう。」
確か古泉の言う事が正しければ、彼等は唯の人間でしかないはず。
それなのに、対有機生命体ヒューマノイドの長門が分からない物となると・・・。
「ほ、本物の戦闘員・・・。」
「違う。これは涼宮ハルヒが戦闘員という架空の人物を欲した時に、
通常の人間とは別の構造としたいと思った名残り。」
あ~、俺はどうやってこの言葉を理解すればいいんだ?
本当にコイツの説明は訳が分からん。
だから一体何を言いたいんだ?
「要はアレですか。
さんざん妄想して理想の敵役を創った割には、その正体等は一切考えてなかった。
勿論、構造なんて論外です。
つまり彼女は仮面ライダーのことを大して詳しく無いんですよ。
きっとこの世界が出来たのも、唯単に怪人がいる世界で思いっきり闘いたかった。それだけでしょう。
それにこの場所や戦闘員の『あやふや』具合から見て、彼女が要している知識は僕達と同程度。
テレビで放映していた、番での記憶を頼りに構成されたとしか思えませんね。」
「・・・・そう。」
なるほど。たまに古泉は分かりやすい説明をしてくれる。
少々長たらしいのが玉に傷だが。
ふう~、これが毎回だったら苦労はしないんだがな。
それにしてもハルヒの奴・・・。
何で仮面ライダーに詳しくないのに、こんな世界なんか望んだんだ?
長門の創った怪人にどんな不満があったんだか。
「でも、これで一歩前進しましたね。さすが長門さんです。」
またか・・・、古泉よ。
何故にお前や長門は、一つの事で十も百も理解できるんだ?
これじゃあ、まるで俺が心底馬鹿みたいじゃないか。
確かに成績では俺が一番下だが・・・。
「そう。これで涼宮ハルヒを呼び寄せる事が出来る。」
次はお前か長門よ。呼び寄せるって何を言っているんだ?
まるで、ちょっとしたランプの精を呼び出す的な言い方は。
「あのう~、それはどういったことで・・・。」
朝比奈さん。
その役は確かに板についていますが、アイツを呼ぶことは貴方に不幸が降りかかる事とイコールなんですよ。
今は黙っておきましょう。
どうせすぐに分かるから。
「まあ、百聞は一見にしかず。やってみせましょう。さあ、朝比奈さん!
思いっきりセクシーな声で『助けて~!仮面ライダーハルヒ~!』と言ってみてください。」
「えっ!私が言うんですか?」
「ああー!なるほど。そういうことか。」
俺は朝比奈さんと古泉の会話を聞くことで、ようやく彼等が言いたい事を理解する。
つまりだ。
ハルヒの奴がさっきから姿を現さないのは、特撮物の王道をやりたいからなんだ。
その一例が怪人退治。
それに今思えば、アイツはキックでの攻撃しかしていない。
ライダーにだってパンチや投げ技があるというのに。
しかし、それも仕方が無いのだろう。
なんたってアイツには、仮面ライダーの知識などほとんどないのだから。
おそらく一般人と同程度の知識しか所有していない。
まあ、これは古泉がさっき言っていたが。
ともかく、アイツが無い知恵を絞って、自分を仮面ライダーとして演出しようとするならば、
やはり王道を進むしか道は無いのだ。
特撮ヒーローの18番ともいえる、朝比奈さんこと『ヒロインのピンチにヒーローが登場』を行うしか。
そして、この部屋には幸いにも蜘蛛男(俺)や戦闘員がいる。
全く・・・、これほどヒーローが出てきそうな状況もないだろう。
唯一つ分からないのは、ハルヒがそんな状況を心底『望んだ理由』だ。
『非日常』を好むアイツの挙動から想像すれば、『唯の気まぐれ』と片付けるのは簡単だが・・・。
「で、でも・・・、『セクシー』にって一体どうやったら・・・。」
古泉の言葉を上手く理解できないのか、朝比奈さんは少し困った顔で頬を赤らめる。
おそらく彼女の脳内では、自分のことをそれほどセクシーな人間だと思っていないのだろう。
しかしながら朝比奈さん。
貴方が悲鳴を一声でも挙げれば、例えロミオでもジュリエットを捨てて、こちらへやって来ますよ。
それくらいセクシーですよ。貴方様は。
「別にそんな気張らないでください。
本当にいつも通りでいいですよ。ほら、涼宮さんにスカートを掻き揚げられた時の様に!」
こ、古泉よ。
確かにその言葉は正しいが、それは酷というものでは。
「む、無理ですよ!!あれはワザと悲鳴をあげているわけではありませんし・・・。」
「そうですね・・・・、じゃあ、キョンくんにスカートを掻き揚げていただきましょう。」
「えっ!」
なっ!この俺が朝比奈さんのスカートをめくるなんて!
したい! いやいや、したくない!
大体そんなことをしなくたって、単純に大声で呼べば良いじゃないか!
「こ、古泉。確かにお前が言う事も一理あるが、それは流石に・・・。
そもそも単純に大声で叫べば来るだろ?」
よしよし。上手く心の内を隠せたぞ。
そうだ!決して、ハルヒを呼ぶために朝比奈さんのスカートをめくるなんて男として・・・。
「いえっ!何をおっしゃるのですか!!」
古泉は俺のまともな意見に対して、物凄い勢いで異論を入れる。
こ、コイツがこんなテンションなのは初めてだな。
「どこの世界のヒーローが本当の悲鳴と嘘の悲鳴が聞き分けられないのでしょうか!
きっと仮面ライダーハルヒも、本当の美少女の悲鳴を求めているはずです!」
「どこにいるんだよ。そんなヒーロー。
開始一話目にPTAの抗議で降板してしまえ。
それにヒーローを呼ぶんだったら、ヒロインのピンチで十分じゃないか。」
「な、なるほど。じゃあ、蜘蛛男姿のキョンくんが朝比奈さんを抱きしめてあんな事やこんな事・・・。」
「そんなことはダメに決まって・・・、ってお前!キャラはどうした!!一種の作画崩壊か!!」
全く・・・。何を考えているんだ古泉の奴。
そんなことを一瞬でもやってみろ!俺は変態ロードをまっしぐらだぞ!
はあ・・、早いこと朝比奈さんにハルヒを呼んで貰わなくては。
「朝比奈さん。とりあえず古泉は無視してハルヒの奴を呼んでみましょう。」
「そ、そうですね・・・。スカートはまた別の機会に・・・。」
雄としては大変嬉しい申し出ですが、そんな機会は二度と無いように祈っています。
勿論、人として。
「じゃあ、いきますね。」
朝比奈さんは大きく深呼吸を二回する。
そして次の瞬間、彼女はありったけの声でハルヒを――――仮面ライダーハルヒを呼んだ!!
「た、助けて~~!!仮面ライダーハルヒ~~~!!!」
「・・・・。」
「・・・・。」
「・・・・。」
「・・・・。」
朝比奈さんなりに思いっきり叫んだのであろう。
しかしながら、か細く可愛らしいその声は、どう考えてもこの部屋の半分にも伝わらない大きさだ。
現に、俺達とは少し離れているグウの耳には聞こえていないようだし。
これじゃあ、とてもとてもハルヒの耳には・・・。
「みくるちゃん!呼んだ!?」
「天井裏!?っていうか、この部屋に居たのか!!」
俺は初めて見た。
ヒロインのピンチに、元からその部屋に居たヒーローを。
しかも天井裏って・・・。
「ふふ・・・。相手はさっきの蜘蛛男ね!!この恨み、一兆倍にして返してあげるわ!!」
「おい!ヒーローが私怨で闘うな!って、違う!
俺は蜘蛛男じゃなく・・・・。もう!!長門!どうする?」
「知らない。」
そんな!この場に来て無責任な。
・・・・そ、それにハルヒを呼んだからって、俺はどうすればいいんだ?
『この世界に居たくないと思わせる方法』も考えてないし・・・。
「俺・・・どうする?」
「さあ~、知りませんな~。」
「グウは黙ってろ!大体、いつの間にこっちへ来たんだ!!」
「無論徒歩ですよ。全くキョン吉は訳の分からない事を・・・。」
こうして、ハルヒと俺の闘いが始まるのだった。
やれやれ・・・。
――――――――――涼宮ハルヒの正義改め、SOS団はいつもハルヒのちキョン・5――――――――――
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