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「SOS団はいつもハルヒのちキョン47-4」(2007/04/03 (火) 01:08:13) の最新版変更点
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次から次へと襲い掛かる大ピンチ!
果たして俺は、無事にハルヒを満足させる事が出来るのか?
次回、ハルヒ満足せず!
お楽しみ!
じゃねえ!!
はあ・・・、はあ・・・。何を不吉な事を考えているんだ俺は。
目の前の状況に頭が混乱しているのか?
いや違う。俺のシナプスはこの程度の伝達速度で参ったりはしない。
例え!例えだ。俺の末端神経がハルヒのせいで物言わぬ屍のようになったとしても、
最後まで抵抗―――もとい希望は捨てない!
そうだ!!とりあえず俺にはすることがある!
鶴屋さんが全く知らない人物になっていたとしても、今日のハルヒを満足させなければ地球が危ない。
動揺をしてはいけない。
『動揺はどうよ!』なんて一人ボケをしている暇も無い!
よっし!とりあえずハルヒに報告だ!
「ふう・・・、こっちは片付いたわ。後はあの蜘蛛男を倒せば・・・。って、アレは!!」
「は、ハルヒ!!鶴屋さんが!!鶴屋さんが能面顔に!!」
「はん!何よ!蜘蛛男如きが、私に馴れ慣れしく話しかけるんじゃないわよ!!」
おい、何を言ってんだハルヒ。
俺のどこをどう見たら怪人になるんだ。
というか、鶴屋さんの変態に関してはなんとも思わないのか!!
「あれ~、グウちゃんじゃないの?どうしたの、こんな都会の学校まで。」
「うむ。長ットチが急いで学校に来てくれというのでな。わざわざ遠路はるばるジャングルから来たのだよ。」
「へー。そうなんだ~。」
って、知り合いか~~!!!
もう何がナンダかわからないぞーーー!!
誰か~!!誰かこの状況を説明してくれ~!!
この状況を俺に理解させてくれたら、君をSOS団名誉団員に・・・。
―――そうだ!長門!!何処かにいるんだろ!!出てこーーい!!
説明だ!!まずは閉鎖空間に撤退して、状況確認じゃあ~~!!
「そうなんだ!でも、ちょっとまってて。今そこの『蜘蛛男』を始末しちゃうから♪」
「ん・・・、『蜘蛛男』・・・?」
俺が一人でパニックになっているのを余所に、ハルヒとグウという奴はどんどん話を進める。
それに・・・、この状況はヤバイんじゃないか?
今グウという奴は、ハルヒの『蜘蛛男』という単語に過度な反応を示したぞ。
つまり統計的に考えれば、次にグウという奴が発する言葉は・・・・。
「何を言っている。こいつ蜘蛛男でな・・・、ぐぬぬぬ。」
「が~はっはっは!!仮面ライダーハルヒよ!そこのカメレオンを倒したところで、この私は倒せまい!!
何故ならこっちは人質を取ったからな~~!!」
―――予想通り!!
だが、自分の演技力は予想をはるかに下回っているのは悲しい事だ。
ともかく!この場はハルヒが俺を怪人と思っている以上、正体をばらされる訳にはいかない!
すまないが見知らぬお前には人質になってもらうぞ!!
「な、なんて卑怯な奴なの!」
「いや~ん!助けて~!!変なところ触らないでー。」
「ぐっはっは・・・、って俺はどこも触ってないぞ!!」
そうだ!間違っても俺は自分より年下の・・・男?
いや、女?
ともかくそんな趣味は無い!
全く・・、俺の正体をバラさずに乗ってくれたのは感謝するが・・・。
「ちょっと!グウちゃんの胸を念入りに触るなんて・・・。
大体、その胸の触り方がなってないわ!!
そうね・・・、みくるちゃん!!こっちにきなさい。」
「ふえ・・・、あのう涼宮さん?
あれは蜘蛛男じゃなくて、キョン・・・・。きゃあああ~~!!!!」
ハルヒは俺がこの状況をやきもきしているのを知らずに、何故か胸の触り方を教授し始める。
だいたい俺はこの子供の胸なんて・・・、ああ~。
あれま~、ああいう風に乳首を掌で転がしながら揉みしだく・・・っておい!!
「やめんか~~!!!子供が見ているんだぞ!!」
「やあん~♪グウの胸を触りまくっている奴が何を言ってんですか。あっ・・・、できちゃう。」
「気色悪いこと言うな!!大体俺はお前の胸なんて触ってな・・・。」
あ・・れ・・・?俺の目の前に知らない手が何本も・・・。
「や~ん。今度は5本の腕で触ってきたわ~ん。」
しかもそれは雄雄しく黄色と黒の縞模様で構成されていて、漫画でよく見る蜘蛛男そっくりの・・・。
「俺の着ぐるみが生きてる!?」
「さすが怪人。凄いですな~。
しかも脳と直結してないせいでグウの胸を触った事は決して認めようとしない。
全く怖い怖い。」
グウという奴の言葉を聞いた途端、俺は全身の力が抜ける。
もはや目の前で行われている『第一回・涼宮ハルヒの正しい胸の揉み方教室』なんてどうでもいい。
感じる・・。感じるからだ。
俺の体・・・、いや正確には脇と肩から、異物が生えている事に。
いや、それだけではない。
先程までは蜘蛛男の着ぐるみを着ているという感覚。
体育館の入り口から入ってくる風が着ぐるみ内を通り過ぎていく感覚があったのに!
今は・・、今はグウという奴の服の感触が俺の体が感じる感覚になっている。
これじゃあ・・・、これじゃあまるで・・・。
「ということで巨乳のみくるちゃんの場合、どちらかというとカレーを作るときのように
お玉で鍋をかきまわすような感覚が一番良いかもね!分かった?古泉君。」
「はい、是非参考にさせていただきます。」
「人が絶望感に浸っているというのに、何かムラムラする会話をするなーー!!」
最早胸の揉み方なんてどうでもいい。
何で俺は本物の怪人になっているんだ?
いや、それよりも俺はどうする?
どうすればいい?
俺はどうすれば元に戻れるんだ?
「ふん!だから蜘蛛男は第一話で倒されるのよ。こんな男のロマンが分からないなんて。」
いやいやお前は女だろ!!
・・・・そんなことを言っている場合じゃ。
「まあいいわ!!ともかくその子を放して、私と勝負しなさい!蜘蛛男!」
「しょ、勝負って・・・。くっ・・、くそっ!!どうする・・・。
俺はハルヒと闘わなければならないのか?」
まさか俺がハルヒと格闘しなければならないなんて・・・。
しかし・・・、どうする?
闘ってどうなるんだ?勝って元に戻れるのはRPGのイベントだけだぞ。
「さあ!どうしたの!!早くグウちゃんを放して勝負しなさい!!」
まさに絶体絶命、窮鼠も猫を噛めないって言ったところか・・・。この状況は。
「まあ、ハルハルの思いが具現化したせいでお前が怪人化したのならば、ここで勝負して負ければいいんじゃないのか?」
ん・・・?このグウとかいう奴、いったい何を・・・・。
そうか!!確かに現実的に考えて、こんな事が起こる事など万に一つも無い。
きっと俺の体に起こった変化もハルヒの望んだものが具現化――改変するというトンでも能力のせいに違いない。
それ以外考えられない。
ならば俺の役目が終われば元に戻る可能性がある。
よっし!早くも希望が見えてきたぞ!!
しかし・・・、何でコイツがこんな事を・・・。
「まあ、怪人としての役目が終わったらその場で消滅する可能性もあるがな。」
「なっ・・・!」
「ちょっと!!私の話を聞いてんの!!!もういいわ。」
グウとかいう奴め・・・。
・・・・しかし、確かにコイツのいうことは正しいかもしれない。
俺が怪人として用済みなったら居る意味が無いんだしな。
ハルヒの奴は俺のことを怪人と思い込んでいるみたいだし・・・、って!
「ハルヒ!?何時の間に目の前に・・・!!」
「だから私の名前を気安く呼ぶなっていってるでしょうが!!」
ハルヒは鬼の形相でそういうと、グウとかいう奴を捕まえている腕の一本に向かって飛び蹴りを加えてきた!
「ぐあっ!!」
「グウちゃん今よ!!逃げなさい!!」
「あ~い。」
くう~、ハルヒの奴・・・。本当に手加減がないんだから・・・。
・・・・ん?
――――痛み?
確かこの腕は感覚が無かったはず。
まさか俺は完全に蜘蛛男に・・・!!
「よう~し!!はっ!!これでも喰らいなさい!!」
そしてハルヒは俺が自分の状態に絶望しているのを余所に、飛び蹴りのモーションから体を上手く右に捻ると、
そこからソバットを繰り出した。
「うっ・・・。」
その蹴りの重さと今まで体験した事のない痛みに、俺は嗚咽を零しながら地に伏す。
何だ?確かにハルヒは運動神経がいいが、こんなまるで本物のライダーのような身のこなしを・・・。
「やれ~!やれ~!仮面ライダーハルヒ~!」
そうか・・・、こいつの願った世界は・・・。
「へへ、応援ありがとグウちゃん。じゃあ、今度はこの技で!!」
「ぐふっ!!」
怪人が実在する世界じゃなくて・・・・。
「ひ~っさつ!!ライダー稲妻・・・・。」
「なっ、あいつ・・・、人間か?」
自分が正義の味方になる世界か!!
「違うわ!私は正義の味方・・・よ!!」
ハルヒはそう言って天高く飛ぶと、自身の足にの雷の化身を宿し始める。
そして・・・、その光景は俺の第六感を刺激し、絶対的な死と恐怖を予想させた。
(これは・・・、死ぬ!!絶対死ぬ!!)
最早、元に戻るとか言っている場合ではない。
あのグウとかいう奴のいう事が本当だろうと嘘だろうと、とりあえずこの蹴りだけは喰らってはいけない。
じゃあ、どうする?
「ちょっとあっけないけど・・、キョンもいないし・・・。まあいいわ!!
じゃあね!キ~ック!!」
今の俺何が出来る?
俺は唯の一般人だぞ!
長門のように空間をいじる事も出来ない。
朝比奈さんのようにいじられキャラでもない。
かといって、古泉のように従順が自身の安全を確保する事も出来ない。
「きゃあぁーー!キョンくん~~!!!」
どうする?どうする?
(何言ってんだ。お前は今、怪人だろ?)
ハルヒの足が眼前に迫ったその刹那。先程のグウとかいう奴の声が聞こえる。
そうか!!俺は今、人間ではないんだ。
俺は・・・。
俺は・・・。
「怪人だぁぁーー!!」
「な、なんですって!?」
俺がそう叫ぶと同時に、目にも止まらぬ速さで俺の体に生えている全ての腕がハルヒの足を掴む。
そして、まるで闘いなれた怪人のように俺の体は自然と次の行動を取っていた。
「うをりゃああ~~~~!!!!!!」
そう、ハルヒを体育館の端まで投げ飛ばしたのだ。
「私・・・・、飛んで・・・。」
――――次の瞬間。
けたたましい音と共に体育館端の壁は崩れ、丁度ハルヒの背中のサイズと同等の穴が姿を現す。
「はあ・・・、はあ・・・・。」
「・・・・・。」
どうやらすぐ立ち上がらないところを見ると、ハルヒは今の一撃で気絶したらしい。
女の子に暴力を振るうなんて男として最低だが、今の状態では四の五の言ってられない。
仕方ない。
俺は死にたくない。
人間に戻りたい。
そのために今は・・・、
「よしっ!!」
俺は闘う!
この体と、『目の前にいる仮面ライダーモドキ』とだ!!
闘って闘って!!俺は元の姿に戻るんだ!!
「くらえ!ライダー!!うおおおおおーーー!!」
「は~い、ここらでスト~ップ。」
目の前のライダーモドキを倒すために決死の覚悟で駆け出した俺の後ろから、
相当な温度差を持った声が体育館に響き渡る。
するとその声が俺の鼓膜に響くのと同時に、俺の視界は突然180度上下反転した。
(くっ・・・う・・・。何が起こったんだ?)
俺は突然の出来事に少しパニックになりながら辺りを見回す。
神妙な顔つきで俺を見る古泉。
吹き飛ばされたハルヒと俺の顔を交互に見ながら泣きじゃくる朝比奈さん。
最早パニック状態の演劇部員の子。
そして何故か俺と数メートルは離れているのに、俺の足を掴んでいるグウとかいう奴。
ん?俺の・・・足?
コイツの手・・・、伸びてます?
いやいや、そんなことを気にしている場合ではない。
俺はさっさと『仮面ライダーモドキ』に攻撃を加えなければ。
「おっし!もう一丁!!」
グウとかいう奴の手を足から離すと、俺は再度今だ気絶しているままの『仮面ライダーモドキ』に向かって突進する。
―――が!!
「て・・、てめえ!!何しやがる!」
もう一度、俺はその場で盛大にすっころんだ。
もちろん犯人はグウとかいう奴のしわさである。
しかし、奴は俺を二度も転ばした罪を全く感じた素振りは見せず、続けて以下の詭弁を喋り始めた。
「何しやがるではない。このまま闘ってしまってどうする?
どうにもならないだろう。それに大体、お前は元の姿に戻りたいのだろう?
それではそんなことをしても意味はあるまい。」
本当に詭弁だ。
これでは俺の心に決して響かない。
何故なら俺の状態は、最早笑って過ごせるモノではないからだ。
そう、何かを賭けなくては、何かを失わなければ、自分が取り戻したいモノを得られない状況なのだ。
確かに何をどうしたら良いかは分からないが・・・・。
「そうですよキョンくん。
ここまで涼宮さんの力が具現化してしまったことは想定外ですが、
これ以上、彼女を傷つけたりしてはダメです。」
そしてグウとかいう奴の言葉に話すタイミングを得たのか、先程まで状況を静観していた古泉も俺に言葉をかける。
勿論、その内容も詭弁だ・・・。
――――だが・・、確かにコイツ等の言うことは分かる。
それが正しい事も・・・分かる。
しかし!!それで俺はどうしろというんだ。
こんな姿になって!!
人間を辞めさせられて!!
しかもそれが、ハルヒの気まぐれから起こった現象だと!?
冗談じゃない!
いくらハルヒが神のような力を持っているからって、やっていいことと悪い事の限度がある。
俺はそれを見過ごせるほど、大人では・・・・。
「ちぇい!」
「ぐほっ!」
再度自分の心が自分で制御できなくなった途端、グウとかいう奴――グウが俺の頭に水平チョップを食らわす。
「くそっ!!さっきからお前は何様の・・・。」
「だまれ。確かにお前の今の境遇には同情するが、それでハルハルを攻撃したらお前は心まで人間ではなくなる。」
「グウ・・・。」
「それにお前をこの姿にしたのは、ハルハルの力ではなくこのグウ様の力だ。」
「へっ・・・?」
「あっ・・、そうなんですか?いや~、変だとは思ったんです。
閉鎖空間が発生したのを全く感じませんでしたから。」
はい・・?
今何といいました?
「何だ?聞いていなかったのか。やれやれ仕方ない。もう一度いってやろう。
お前をこの姿にしたのは、ハルハルの力ではなくこのグウ様の力だ。
ほれ!この魔法のステッキでちょちょいのちょいと!」
「さっきはそんなモノ持ってなかっただろうが!!
・・・って、古泉!長門!!何でお前等も一緒に魔法のステッキを持ってるんだ!踊ってんだ!!
ん・・・?」
「ピュルリクピュルリク・・・。」
「なが・・と?」
俺の言葉を受けて、長門はいつもながら無表情で首を縦に振る。
そういえば・・・今日は最初っからいなかったよな・・・。長門・・・。
ああ、ちなみに長門を一言で言えば、ショートカットの美少女で俺らSOS団の何でも屋&宇宙人だ。
何でも情報統合思念体に『造られた』らしく、『世界を思い通りに改変し、望んだとおりの出来事を発生させる能力』
の観察、監視が目的・・・じゃねえーー!!!
「ちょっと長門!!今までどこに言ってたんだ!!俺はお前がよこしたグウとかいう奴のせいで散々な目に!」
「仕方ない。私は『涼宮ハルヒの前では能力を使う権限が与えられていない』。
だから彼女呼び寄せ、いざという時の為に状況を監視していた。」
「た、確かにそうだったが・・・、ん?じゃあ、こいつもお前と同じ・・・。」
そうだったのか・・・、どうりでこのグウは色々と詳しいはずだ。
長門と同じ宇宙人なんだからな。
「違う。私も正確なことは知らない。」
「えっ・・・?ちが・・・う・・の?」
「何をいってんだキョン吉よ!グウのどこが宇宙人だって?おい!」
「じゃあ、そのところてんのように無駄に伸びている腕は何だ。
それと俺はキョン吉って名前じゃない。俺の名前は・・・・、」
「おっと、失敬。これはヨガですよ。ほっほっほっほ。」
「最後まで人のハナシを聞け!!大体ヨガで人を怪人に変えられるか!!」
グウは俺を心底からかう様な口調で伸びた腕を体の中?にしまいこむ。
もう・・・、最早何を見ても驚かんぞ・・・。
「まあそんなことは良いではないか。とりあえず、お前が怪人になった理由が分かったんだし。にょろ~。」
「お前が理由だ!!1+1が2になる位お前が元凶だ!!」
「いっや~ん。怪人が私をいじめるわ~ん。」
くそっ、なんだかコイツと会話を成立させる事は一生無理な気がする。
それにしても・・・、コイツと知り合いの奴は可哀想だな・・・。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「くっしょ!!ふう~、そういえばグウはどこだ・・・?」
「ハ~レ!!遊ぼう!!」
「あっ、マリー!今行くよ!!」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「・・・・。何だったんだ?今の?」
「さあ?分からない事を無理矢理紐解くことは、パンドラ箱のようにろくな事がありませんから。
気にしないでおきましょう。」
「古泉・・・。そうだな。って、ちょっと待て!!変な回想を入れて上手く会話をはぐらかすな!
ともかくグウとやら。何故俺を怪人にしたのかも問わないし興味もない。
だから俺を元の姿に戻してくれ!早く!」
俺はグウに向かって心からの思いを叫ぶ。
「人間に・・・、人間に戻りたいんだ!!」
そして・・・、この言葉が目の前の変人に通じたのか、グウは渋々といった表情でこう言った。
「え~っ!面白いのに・・・。」
「面白くもヘチマも無い!!
さっさと俺を一般ピープルに戻してくれ!その魔法のステッキとやらで!」
「ふむ・・・。仕方ないのう~。」
よかった・・・。やっと元の姿に戻れる。
思えば・・・、最初はどうしようもないと思った。
ハルヒが怪人を探せといった時なんて特にだ。
しかし世の中は広い。
例えこの世に存在しないものでも、似た物を創る事が出来ればどうにかなる事を知った。
そして世の中には話の通じない奴や、一般常識はごくごく小さい範囲での事柄しか通用しないことを知った。
「さあ、元に戻してしんぜよう~。テクマクマヤコンテクマクマヤコン・・。」
「ふう・・・。色々合ったが今日も今日とで少しは楽しかった・・・って、その呪文はアッコちゃん!!」
「いや、さっきと同じ。ほらこの魔法のステッキも。」
「違う!そのステッキ候補は明らかにゴボウ!!」
はあ・・・、はあ・・・・。
何だコイツは。俺を元に戻す気が・・・、
「仕方が無いのう。では真面目に・・・・、マハリークマハーリタ・・・。」
「サリーちゃ~ん!!」
――――無いのだろうな。
・・・・仕方ない。長門に戻してもらうか。
今ならハルヒも気絶しているから、長門の能力である空間の再構成で元に戻れるはずだ。
「なあ、長門。あのグウは治す気が無いみたいだから俺のこの姿を・・・・。
・・・・どうした長門?」
「閉鎖空間拡大中・・・・。現在地を楕円で描くように拡大。」
「なっ・・・!!」
お、おい!何だ?何言ってんだ?
確か・・・、さっきまでは閉鎖空間なんてものは無かったって・・・。
ちなみに閉鎖空間とは、ハルヒが無意識的に創り出した世界の一ページのようなものだ。
ようはアニメのセル画のような静止画のみの世界。
―――更に言えば、俺らが生きていくには不向きな空間・・・。場所とでも言っておこう。
「現在尚も拡大中。転換行列にエラーが発生。現在の算術的空間の拡大の予測には矛盾が・・・。」
しかし何故だ?さっき古泉が今の状況に閉鎖空間は発生した様子は無いと言っていたのに・・・。
「空間は現在半径15mに拡大。発祥元は・・・・。」
「何だ?発祥元がどうした?早く言えよ!!」
最後の最後で言葉を途切る長門に向かって、俺は多少乱暴な言い方で言う。
少し・・・、言い過ぎたかな。
「す、スマン長門!俺の言い方が悪かった!こんな状況の変化の連続に、俺・・・、少し気が立ってて。」
「アナタ・・・。」
「へっ・・・?」
俺の謝罪の台詞にも一切関知せず、長門は俺を指差したまま『無表情な目』で俺を見つめる。
「俺?俺がどうか・・・?」
「アナタの中心として閉鎖空間が拡大中。もう、逃げられない。」
「嘘・・・だ・・・。」
こうして俺が最後まで言葉を紡ぎ終える前に、閉鎖空間は体育館ごと俺達を飲み込んだのだった。
――――――――――涼宮ハルヒの正義改め、SOS団はいつもハルヒのちキョン・2――――――――――
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