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「涼宮ハルヒの正義 47-1」(2007/04/03 (火) 00:28:42) の最新版変更点
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平穏というのは忘れた頃にやってくる。
一般人と違った生活を・・・。いや、俺は一般人だが・・・。
ともかく様々な事柄に慌しく奔走していた毎日にも、ひと時の別れを遂げる瞬間だってあるということだ。
まあ・・・、
「キョン君~。お薬持ってきたよ~。」
「ああ、ありがと。」
風邪を引いたとき限定だが。
「えへへへ、キョン君がこの時間に家に居るのって久しぶりだね。
毎日毎日、部活に入りびたりだから返ってくるのは何時も夜だし。」
兄が風邪を引いたというのに、妙に嬉しそうな顔で話しかけてくる我が妹。
おい、俺が風邪を引いたのがそんなに嬉しいのか?
――――ま、どうでもいいか。
今はこの平穏な瞬間を少しでも長く噛み締めていよう。
どうせ二・三日もしたら学校に行かなくてはならんのだし。
「ねえ!キョン君!聞いてるの?」
「へっ?何が?」
俺が自問自答している間に、妹が一人で会話を進めていたようだ。
ったく・・、人が風邪をひいている時に限って話しかけてくるんだから・・・。
「はあ・・・、聞いてないんだね。」
「だから何の話だよ。」
ともかくコイツがこのまま俺と居たら、きっと風邪をうつしてしまうだろう。
仕方ない・・・。さっさと自分の部屋に追いやりますか。
ああ~、なんて妹思いの良い兄なんだ。
「だ・か・ら!部活のハナシ!!」
「部活?違う!アレは同好会未満だ!あんなのが部活に昇格した日には・・・。
ぐっ・・!と、ともかく、さっさと自分の部屋に戻りなさい!!風邪がうつるぞ。」
「なっ・・・、な~によ!その態度は!!もうキョン君が風邪を引いても看病してあげないんだから!!ベ~~だ!」
兄としては理想的な台詞も、どうやら我が妹は御気にめさらない様子だ。
大きく舌を出したまま、俺の部屋から出て行くのはその証明であろう。
いわゆる『兄の心・妹知らず』と言ったところか。
まあ、どちらにしても俺の平穏は暫く続きそうだ。
「やれやれ・・・、ふあああ~・・・・。」
わざわざ持って来てくれた薬を飲んでから、ひたすら惰眠をむさぼりますか。
次の日・・・・。
妹は俺の心を知らなかったみたいだが、風邪と平穏も俺の心を知らなかったようだ。
なんだ?妹が持ってきた薬はそこらの医者がくれる薬を遥かに凌駕する性能なのか?
それとも俺の体には、すぐさま風邪を治す抗体でも出来ているというのか?
そうか。それならば俺の血でも検査すれば風邪の特効薬が出来るだろう。
そして俺は特効薬を作り出した人の一人として、ノーベル平和賞でも科学賞でも何でも貰って平穏に余生を過ごすんだ!
きっと、この長くメンドクサイ学校への坂道も平穏への第一歩・・・。
「よう!昨日はどうしたんだ?お前のせいで、涼宮の奴が一日中不機嫌だったんだからな!」
そう意気込んだ数瞬後。
どこからともなく平穏への道が大きく崩れ去る音が聞こえる。
どうやら俺の友人である谷口の一言は、その前奏曲だったようだ。
はあ・・・・。やれやれ・・・。
――――――――――涼宮ハルヒの正義――――――――――
「いやあ、キョンくんと二人っきりでここに居るなんて、何だか不思議な感覚ですね。」
「おい古泉。その表現を真顔でするのはやめろ。それにお前が言うと、かなりやばい匂いがするぞ。」
放課後。俺は何時も通りSOS団の部室に足を運んでいた。
ちなみにSOS団とは、涼宮ハルヒという少女が作った同好会未満の部活である。
そして、今俺に話しかけてきた人物が古泉一樹。
季節外れの転校生という理由でハルヒに無理矢理入部させられた危篤な人物だ。
後、彼はエスパーらしい。
ん?俺はトチ狂ってなんかいないぞ。本当なんだから仕方が無い。
夢でありたい出来事なんかも、この目と身体で体験してしまったしな。
「ん、どうかしましたか?」
「いや・・・、じゃあ、ハルヒが来ないうちに将棋でもするか。」
俺は呟くようにそう言うと、ポットと横においてある将棋板を取り出すのだった。
―――数分後。
早くも俺が王手を掛けたのと同時に、部室のドアがゆっくりと開く。
そして潤んだ瞳をこちらに覗かせながら、ハルヒとは正反対のか細い声が部室内に響き渡った。
「お、おはようございます。皆さん。」
この聞くだけで心癒されるボイスを放つのは、ロリ+(プラス)巨乳という理由だけでSOS団に入れられた朝比奈さんだ。
一応、SOS団での彼女のポジションはマスコット兼メイドらしい。
「す、すいませ~ん。ちょっと掃除が長びいて・・・。」
そのため毎日ハルヒから激しいセクハラを受けているのだが・・・・。
まあいい。ちなみに彼女は未来人らしい。
光線銃や空飛ぶ車がある時代から来たかは分からないが。
「あれ・・・?涼宮さんはまだいらしていないんですね。それに・・・、長門さんも。」
そう言って朝比奈さんは、俺達うら若き男子がいるというのに制服を脱ぎ始める。
「あっ・・、朝比奈さん?」
「待ってください。メイド服に着替えてからお茶を入れますか・・・ら・・。きゃあああ~~~!!」
さすがの朝比奈さんも気づいたのか、彼女は豊満に実った胸を脱ぎかけの制服で隠しながら真っ赤な顔で悲鳴を上げる。
無論、俺らも真っ赤な顔でこの場から退散だ。
「き、着替え終えたら呼びますから!!」
全く・・、この天然過ぎるところが彼女の長所であり、短所という事か。
それにしても今日は・・・・。
「黒でしたね。個人的には白が似合うと思うのですが・・・。」
「だから真顔で言うなって!」
普段は意見が合う事の無い奴だが、流石にこの瞬間だけは合致したようだ。
確かに、朝比奈さんは白に限る。
「はい。今日は玉露が入っている高い葉なんですよ。味わって飲んでくださいね。」
「あっ・・・。どうも、朝比奈さん。」
「スイマセン。頂きます。」
ちょっとした情事から数分後。
俺や古泉。そして朝比奈さんは、いつも通りの部室ライフを送っていた。
ちなみに先程の一局目は、あっさりと俺が勝利した。
いつもながら古泉は勝気があるのかないのか・・・。
「・・・そういえば、今日の涼宮さんは偉く機嫌が良かったとか。昨日はもう大変でしたから、全く良かったですよ。」
早くも二局目を指し始めてから数手後。
何故か歩と桂馬だけを動かす古泉は、何かを思い出しかのような顔をしながら突然声を挙げる。
本当にコイツは勝つ気があるのか?
「さあな・・・。俺も登校時に谷口からアイツの不機嫌さ加減を聞いていたんだが・・・・。確かに拍子抜けだな。」
意味ありげな言った古泉の言葉に対して、俺は気の無い返事で返す。
おそらく古泉は、俺がハルヒに対して何かアプローチを取ったと思っているのだろう。
しかしあいにく俺には皆目検討もつかない。
何しろアイツの機嫌はMMRの予言よりも適当だからな。
大方、傍迷惑なことでも思いついたからだろうが・・・。
「さあ・・・、涼宮の機嫌が良い理由なんて、ここに来れば分かるんじゃないか?
いつも通り唐突にやってきて、いつも通り俺たちを巻き込んで・・・・。」
―――唐突でスマンが、世の中には『タイミング』というのがある。
きっと昔の天才達が、あらゆる事象を数式化しようと始めたのは、この『タイミング』というのが、
余りにも一定の条件に当てはまり過ぎていたからであろう。
そう、ニュートンやガリレオあたりが、『算術的視点から事象を定義することを考えちゃいました~!』
とかやり始めたのもそのせいであろう。
勿論、マーフィー然り、ラプラス然り・・・。
そんな世の中なもんだから、俺が喋り終わるのと同時に部室のドアが物凄い勢いで開かれ・・・。
「みんな!!今日は怪人を倒すわよ!!」
――――こういったことになる。
ハルヒが部室に入ってきてから十分後。
俺らは何の説明もなしに体育館に連れて来られていた。
「おい、ハルヒよ。いったい何を思いついたんだ?大体、怪人を倒すって・・・。仮面ライダーか?」
「そうよ!怪人といえばオペラ座と仮面ライダー!この2つ以外に何かあるとでも思ってんの?」
俺の半分冗談気味で言った言葉に、超真面目・・・。
いや、『これは万人の常識だ!』といった表情で答えるハルヒ。
マジだ。・・・にしてもコイツ、今回は一体何をやらかす気なんだ。
「だからキョン!とりあえず、怪人を探してきなさい!多分、そこらにいるはずだから。」
「はっ・・・?」
「『はっ』、じゃないわよキョン!蜘蛛男とかラッコ男とかを連れてくるのよ!」
「いや・・、だから・・・。」
おいおいハルヒよ・・・。いくらなんでも怪人はそこらに居ないだろ。
どれだけショッカーに攫われてんだよ日本人。
いや、それよりも怪人を探しに放課後の学校内をうろつくなんて、まるで友達の居ない少年が、
人生最後の思い出にしたい出来事ベストテンの上位に入るくらい虚しい事だぞ。
それを俺がやるのか?
違うな。やらされるんだ。
だいたい、何でアイツはそんなに自信満々で怪人がそこらに居ると断言しているんだ?
っていうか、それよりもこの世に怪人が居るのか?
もし、一兆歩譲ってこの世に怪人が居たとしても、俺がどうやってここまで怪人を連れてくるんだ?
『どうも、俺と一緒に体育館まで行って、死んで貰えませんかね~?』とでも言うのか?
いやいや、どう考えてもわざわざ死にに行く怪人なんて存在するがずがない。
それに下手をしたら俺は、『怪人を体育館まで誘導しようとして即死亡。』とかいう間抜けな死に様を、
世間様に晒さなくてはならないのだ!
大体、こういったのはエスパーの古泉にやらせた方が・・・・。
・・・・、そうだよ!きっとアイツならば、怪人の一人や二人ぐらい用意できるだろう。
何だか訳の分からない『組織』とやらに属しているらしいし。
よし、『善は急げ』。『急がば特攻』だ。
さっさと古泉に怪人探し役を押し付けなくては。
「お、おいハルヒ。そういうのは俺よりも古泉やらせた方が・・・・・。」
まあ、自分で振っておいてなんだが、この手のタイミングで物事を切り出そうとすると・・・・。
――――やはり言わずもかなだ。
「じゃあ、古泉君は私と一緒にここで特訓だから。
私がライダーで、アナタが私をサポートする親父さん(おやっさん)的存在ね。」
「はい。わかりました。仰せの通りに。」
俺の言葉と願いは、あっさりとハルヒの言葉によって掻き消され断念させられる。
くぅ・・・、こうなったら仕方が無い。
怪人探しは、せめて朝比奈さんと二人っきりで・・・・。
「じゃあ、みくるちゃんは怪人の人質になる存在だから、とりあえずそこら辺で怯えていて!」
「へっ?私、怪人に捕まっちゃうんですか~~!」
「そうよ!こうやって、服をズバババ~ン!!って、脱がされて・・・。」
ハルヒはそう言いながら、朝比奈さんの着ているメイド服の裾から思いっきり掻き揚げる。
それも、あまりにも手馴れすぎている為に掻き揚げる仕草が見えないくらいの速さでだ。
「きゃ、きゃあああ~~~!」
勿論、この行動の先に見『れ』るのは、ちょっとした今日二度目のヘブン。
バスト&ウェスト
それは正に、神が与えたそのスタイルは正にビーナスの化身。
世の人々がルネッサンスやら、カトリックやらでシメントリーを否定したのも分からなくはない。
対称でないから美しい。出るところが出て、引っ込んでいるところがそれなりだから最高だ!
そう、俺の眼前には、今まさに至高の肉体が・・・・。
「そうよ、そう!怪人が来た時も、ちゃんと悲鳴と素肌を露らにして場を盛り上げるのよ!!」
おっと、見惚れている場合ではない。
ハルヒを止めなくては。
「おい、ハルヒ!朝比奈さんが嫌がっているじゃないか!
大体、お前は毎日朝比奈さんをそういう目に合わせて・・・。」
それにしても朝比奈さん・・・、ブラも黒か・・・・。
やっぱり朝比奈さんは白に限るな。うん。
「はん!ちゃっかり、みくるちゃんの下着の色を確認しているあんたに言われたくわね!
そんなことより、さっさと怪人を探してきてくれない!見つけてこないと・・・・、死刑なんだからね!!」
くっ・・・、やはりハルヒには見透かされていたか。
すまない朝比奈さん。これも全て思春期が悪いのだ。
―――というわけで、
「怪人か・・・・・。どこにいるんだ?そんなモン。」
所詮、凡人は変人には勝てず。
俺はあっさりとハルヒの勢いに押されて、『当ても無ければ道理も無い』怪人探しをするのだった。
はあ・・・、やれやれ・・・・。
平穏というのは忘れた頃にやってくる。
一般人と違った生活を・・・。いや、俺は一般人だが・・・。
ともかく様々な事柄に慌しく奔走していた毎日にも、ひと時の別れを遂げる瞬間だってあるということだ。
まあ・・・、
「キョン君~。お薬持ってきたよ~。」
「ああ、ありがと。」
風邪を引いたとき限定だが。
「えへへへ、キョン君がこの時間に家に居るのって久しぶりだね。
毎日毎日、部活に入りびたりだから返ってくるのは何時も夜だし。」
兄が風邪を引いたというのに、妙に嬉しそうな顔で話しかけてくる我が妹。
おい、俺が風邪を引いたのがそんなに嬉しいのか?
――――ま、どうでもいいか。
今はこの平穏な瞬間を少しでも長く噛み締めていよう。
どうせ二・三日もしたら学校に行かなくてはならんのだし。
「ねえ!キョン君!聞いてるの?」
「へっ?何が?」
俺が自問自答している間に、妹が一人で会話を進めていたようだ。
ったく・・、人が風邪をひいている時に限って話しかけてくるんだから・・・。
「はあ・・・、聞いてないんだね。」
「だから何の話だよ。」
ともかくコイツがこのまま俺と居たら、きっと風邪をうつしてしまうだろう。
仕方ない・・・。さっさと自分の部屋に追いやりますか。
ああ~、なんて妹思いの良い兄なんだ。
「だ・か・ら!部活のハナシ!!」
「部活?違う!アレは同好会未満だ!あんなのが部活に昇格した日には・・・。
ぐっ・・!と、ともかく、さっさと自分の部屋に戻りなさい!!風邪がうつるぞ。」
「なっ・・・、な~によ!その態度は!!もうキョン君が風邪を引いても看病してあげないんだから!!ベ~~だ!」
兄としては理想的な台詞も、どうやら我が妹は御気にめさらない様子だ。
大きく舌を出したまま、俺の部屋から出て行くのはその証明であろう。
いわゆる『兄の心・妹知らず』と言ったところか。
まあ、どちらにしても俺の平穏は暫く続きそうだ。
「やれやれ・・・、ふあああ~・・・・。」
わざわざ持って来てくれた薬を飲んでから、ひたすら惰眠をむさぼりますか。
次の日・・・・。
妹は俺の心を知らなかったみたいだが、風邪と平穏も俺の心を知らなかったようだ。
なんだ?妹が持ってきた薬はそこらの医者がくれる薬を遥かに凌駕する性能なのか?
それとも俺の体には、すぐさま風邪を治す抗体でも出来ているというのか?
そうか。それならば俺の血でも検査すれば風邪の特効薬が出来るだろう。
そして俺は特効薬を作り出した人の一人として、ノーベル平和賞でも科学賞でも何でも貰って平穏に余生を過ごすんだ!
きっと、この長くメンドクサイ学校への坂道も平穏への第一歩・・・。
「よう!昨日はどうしたんだ?お前のせいで、涼宮の奴が一日中不機嫌だったんだからな!」
そう意気込んだ数瞬後。
どこからともなく平穏への道が大きく崩れ去る音が聞こえる。
どうやら俺の友人である谷口の一言は、その前奏曲だったようだ。
はあ・・・・。やれやれ・・・。
――――――――――涼宮ハルヒの正義――――――――――
「いやあ、キョンくんと二人っきりでここに居るなんて、何だか不思議な感覚ですね。」
「おい古泉。その表現を真顔でするのはやめろ。それにお前が言うと、かなりやばい匂いがするぞ。」
放課後。俺は何時も通りSOS団の部室に足を運んでいた。
ちなみにSOS団とは、涼宮ハルヒという少女が作った同好会未満の部活である。
そして、今俺に話しかけてきた人物が古泉一樹。
季節外れの転校生という理由でハルヒに無理矢理入部させられた危篤な人物だ。
後、彼はエスパーらしい。
ん?俺はトチ狂ってなんかいないぞ。本当なんだから仕方が無い。
夢でありたい出来事なんかも、この目と身体で体験してしまったしな。
「ん、どうかしましたか?」
「いや・・・、じゃあ、ハルヒが来ないうちに将棋でもするか。」
俺は呟くようにそう言うと、ポットと横においてある将棋板を取り出すのだった。
―――数分後。
早くも俺が王手を掛けたのと同時に、部室のドアがゆっくりと開く。
そして潤んだ瞳をこちらに覗かせながら、ハルヒとは正反対のか細い声が部室内に響き渡った。
「お、おはようございます。皆さん。」
この聞くだけで心癒されるボイスを放つのは、ロリ+(プラス)巨乳という理由だけでSOS団に入れられた朝比奈さんだ。
一応、SOS団での彼女のポジションはマスコット兼メイドらしい。
「す、すいませ~ん。ちょっと掃除が長びいて・・・。」
そのため毎日ハルヒから激しいセクハラを受けているのだが・・・・。
まあいい。ちなみに彼女は未来人らしい。
光線銃や空飛ぶ車がある時代から来たかは分からないが。
「あれ・・・?涼宮さんはまだいらしていないんですね。それに・・・、長門さんも。」
そう言って朝比奈さんは、俺達うら若き男子がいるというのに制服を脱ぎ始める。
「あっ・・、朝比奈さん?」
「待ってください。メイド服に着替えてからお茶を入れますか・・・ら・・。きゃあああ~~~!!」
さすがの朝比奈さんも気づいたのか、彼女は豊満に実った胸を脱ぎかけの制服で隠しながら真っ赤な顔で悲鳴を上げる。
無論、俺らも真っ赤な顔でこの場から退散だ。
「き、着替え終えたら呼びますから!!」
全く・・、この天然過ぎるところが彼女の長所であり、短所という事か。
それにしても今日は・・・・。
「黒でしたね。個人的には白が似合うと思うのですが・・・。」
「だから真顔で言うなって!」
普段は意見が合う事の無い奴だが、流石にこの瞬間だけは合致したようだ。
確かに、朝比奈さんは白に限る。
「はい。今日は玉露が入っている高い葉なんですよ。味わって飲んでくださいね。」
「あっ・・・。どうも、朝比奈さん。」
「スイマセン。頂きます。」
ちょっとした情事から数分後。
俺や古泉。そして朝比奈さんは、いつも通りの部室ライフを送っていた。
ちなみに先程の一局目は、あっさりと俺が勝利した。
いつもながら古泉は勝気があるのかないのか・・・。
「・・・そういえば、今日の涼宮さんは偉く機嫌が良かったとか。昨日はもう大変でしたから、全く良かったですよ。」
早くも二局目を指し始めてから数手後。
何故か歩と桂馬だけを動かす古泉は、何かを思い出しかのような顔をしながら突然声を挙げる。
本当にコイツは勝つ気があるのか?
「さあな・・・。俺も登校時に谷口からアイツの不機嫌さ加減を聞いていたんだが・・・・。確かに拍子抜けだな。」
意味ありげな言った古泉の言葉に対して、俺は気の無い返事で返す。
おそらく古泉は、俺がハルヒに対して何かアプローチを取ったと思っているのだろう。
しかしあいにく俺には皆目検討もつかない。
何しろアイツの機嫌はMMRの予言よりも適当だからな。
大方、傍迷惑なことでも思いついたからだろうが・・・。
「さあ・・・、涼宮の機嫌が良い理由なんて、ここに来れば分かるんじゃないか?
いつも通り唐突にやってきて、いつも通り俺たちを巻き込んで・・・・。」
―――唐突でスマンが、世の中には『タイミング』というのがある。
きっと昔の天才達が、あらゆる事象を数式化しようと始めたのは、この『タイミング』というのが、
余りにも一定の条件に当てはまり過ぎていたからであろう。
そう、ニュートンやガリレオあたりが、『算術的視点から事象を定義することを考えちゃいました~!』
とかやり始めたのもそのせいであろう。
勿論、マーフィー然り、ラプラス然り・・・。
そんな世の中なもんだから、俺が喋り終わるのと同時に部室のドアが物凄い勢いで開かれ・・・。
「みんな!!今日は怪人を倒すわよ!!」
――――こういったことになる。
ハルヒが部室に入ってきてから十分後。
俺らは何の説明もなしに体育館に連れて来られていた。
「おい、ハルヒよ。いったい何を思いついたんだ?大体、怪人を倒すって・・・。仮面ライダーか?」
「そうよ!怪人といえばオペラ座と仮面ライダー!この2つ以外に何かあるとでも思ってんの?」
俺の半分冗談気味で言った言葉に、超真面目・・・。
いや、『これは万人の常識だ!』といった表情で答えるハルヒ。
マジだ。・・・にしてもコイツ、今回は一体何をやらかす気なんだ。
「だからキョン!とりあえず、怪人を探してきなさい!多分、そこらにいるはずだから。」
「はっ・・・?」
「『はっ』、じゃないわよキョン!蜘蛛男とかラッコ男とかを連れてくるのよ!」
「いや・・、だから・・・。」
おいおいハルヒよ・・・。いくらなんでも怪人はそこらに居ないだろ。
どれだけショッカーに攫われてんだよ日本人。
いや、それよりも怪人を探しに放課後の学校内をうろつくなんて、まるで友達の居ない少年が、
人生最後の思い出にしたい出来事ベストテンの上位に入るくらい虚しい事だぞ。
それを俺がやるのか?
違うな。やらされるんだ。
だいたい、何でアイツはそんなに自信満々で怪人がそこらに居ると断言しているんだ?
っていうか、それよりもこの世に怪人が居るのか?
もし、一兆歩譲ってこの世に怪人が居たとしても、俺がどうやってここまで怪人を連れてくるんだ?
『どうも、俺と一緒に体育館まで行って、死んで貰えませんかね~?』とでも言うのか?
いやいや、どう考えてもわざわざ死にに行く怪人なんて存在するがずがない。
それに下手をしたら俺は、『怪人を体育館まで誘導しようとして即死亡。』とかいう間抜けな死に様を、
世間様に晒さなくてはならないのだ!
大体、こういったのはエスパーの古泉にやらせた方が・・・・。
・・・・、そうだよ!きっとアイツならば、怪人の一人や二人ぐらい用意できるだろう。
何だか訳の分からない『組織』とやらに属しているらしいし。
よし、『善は急げ』。『急がば特攻』だ。
さっさと古泉に怪人探し役を押し付けなくては。
「お、おいハルヒ。そういうのは俺よりも古泉やらせた方が・・・・・。」
まあ、自分で振っておいてなんだが、この手のタイミングで物事を切り出そうとすると・・・・。
――――やはり言わずもかなだ。
「じゃあ、古泉君は私と一緒にここで特訓だから。
私がライダーで、アナタが私をサポートする親父さん(おやっさん)的存在ね。」
「はい。わかりました。仰せの通りに。」
俺の言葉と願いは、あっさりとハルヒの言葉によって掻き消され断念させられる。
くぅ・・・、こうなったら仕方が無い。
怪人探しは、せめて朝比奈さんと二人っきりで・・・・。
「じゃあ、みくるちゃんは怪人の人質になる存在だから、とりあえずそこら辺で怯えていて!」
「へっ?私、怪人に捕まっちゃうんですか~~!」
「そうよ!こうやって、服をズバババ~ン!!って、脱がされて・・・。」
ハルヒはそう言いながら、朝比奈さんの着ているメイド服の裾から思いっきり掻き揚げる。
それも、あまりにも手馴れすぎている為に掻き揚げる仕草が見えないくらいの速さでだ。
「きゃ、きゃあああ~~~!」
勿論、この行動の先に見『れ』るのは、ちょっとした今日二度目のヘブン。
バスト&ウェスト
それは正に、神が与えたそのスタイルは正にビーナスの化身。
世の人々がルネッサンスやら、カトリックやらでシメントリーを否定したのも分からなくはない。
対称でないから美しい。出るところが出て、引っ込んでいるところがそれなりだから最高だ!
そう、俺の眼前には、今まさに至高の肉体が・・・・。
「そうよ、そう!怪人が来た時も、ちゃんと悲鳴と素肌を露らにして場を盛り上げるのよ!!」
おっと、見惚れている場合ではない。
ハルヒを止めなくては。
「おい、ハルヒ!朝比奈さんが嫌がっているじゃないか!
大体、お前は毎日朝比奈さんをそういう目に合わせて・・・。」
それにしても朝比奈さん・・・、ブラも黒か・・・・。
やっぱり朝比奈さんは白に限るな。うん。
「はん!ちゃっかり、みくるちゃんの下着の色を確認しているあんたに言われたくわね!
そんなことより、さっさと怪人を探してきてくれない!見つけてこないと・・・・、死刑なんだからね!!」
くっ・・・、やはりハルヒには見透かされていたか。
すまない朝比奈さん。これも全て思春期が悪いのだ。
―――というわけで、
「怪人か・・・・・。どこにいるんだ?そんなモン。」
所詮、凡人は変人には勝てず。
俺はあっさりとハルヒの勢いに押されて、『当ても無ければ道理も無い』怪人探しをするのだった。
はあ・・・、やれやれ・・・・。
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