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「大長編イカ娘 栄子と山の侵略者 2」(2012/08/31 (金) 19:25:07) の最新版変更点
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「昨日の今日で何人集まるかと思ったが……
暇人ばかりだな」
「うるさいぞ栄子! (千鶴さんとキャンプ……ありがとう栄子)」
「どうせ使い道がない券を使ってあげるんだから、感謝して欲しいわ。
(イカ星人とキャンプ……これは大チャンス!)」
「そうよそうよ!
(イカちゃんイカちゃんイカちゃんイカちゃんイカちゃん)」
「なんか文句言ってるわりには嬉しそうだな」
「みんなー。乗ってー」
千鶴が車の運転席から声をかけてきた。
その車は白地に黒でプリントされており、窓には鉄格子がかかっている。
「護送車じゃないか!」
「うふふ。ちょっと借りてきたの」
「相変わらず謎だな姉貴のコネは……」
「おじゃまします」
真っ先に乗り込んだのは清美だ。物々しい鉄格子にも物怖じする様子はない。
続いてイカ娘。そしてたける。清美含め三人で後ろの席に座った。
早苗とシンディ、悟郎と磯崎、渚と鮎美がそれぞれ隣同士で座る。
栄子が助手席へ。そして運転席の千鶴がアクセルを踏み込むと、イカ娘初体験のキャンプが始まった。
「うう……退屈でゲソ。
陸地には変化というものがないのでゲソか?」
「高速道路ってのはそういうものだよ。
姉貴はもっと大変なんだから黙ってろ」
「あ、退屈だったら、トランプでもしない?」
清美がリュックサックをガサゴソとしはじめた。
「清美は栄子と違って気がきくでゲソ」
「せっかくだから、何か賭けないか?」
磯崎が言った。
「金はだめだぞ」
「大半が高校生のなかで、そんなことしねえよ……。
負けたやつ『二人』がマキ拾いをするっていうのはどうだ?」
(『二人』……!)
(罰ゲームに見せて、その実お目当ての人と仲良くなるチャンス……!)
(計画性なしのチャラ男と見せかけて、こいつ、考えている……!)
「いいですよー」
清美がほうぼうで発せられる殺気に気付かずに言った。
「二人罰ゲームってことは、順位がつくゲームがいいですね。
大貧民かな?」
「その貧乏くさい名前の競技は何でゲソ?」
「ええとね」
「ふむふむ」
「それから」
「おお、それは」
「ちなみに」
「……すべてマスターしたでゲソ!
さっそくやろうじゃなイカ?」
「ち、千鶴さんは参加しないんですか?」
「運転しなきゃだから、パスさせてもらうわ」
少し落ち込み気味の悟郎がカードを配ると、各々がそれぞれのやり方で思考を巡らせ始めた。
(シンディー、分かっているわね)
(もちろんよ早苗。我々の目的はひとつ)
(イカちゃんを愛でること!)
(イカ星人を研究すること!)
(そのためには、イカちゃんに最下位もしくはブービーになってもらわなくては)
ここに早苗・シンディーの同盟が誕生した。
そして決戦の火ぶたが切って落とされた!
「勝ったー」
あっという間にあがったのは小学生のたけるだった。
「強かったわね、たける」
「学校でやって慣れてるからね。
それにしてもみんな、手を抜いてるんじゃないかと思うほど作戦ミスが多かったよ」
(たける……たぶん本当に手を抜いてるんだ。
見たところ少なくとも早苗とシンディー、
たぶん磯崎も目標は下位でお目当ての人間と二人っきりになること!
でもまあ言わないでおこう)
と、栄子が考えている間に鮎美があがった。
「お、鮎美ちゃん、結構強いな」
「カードとお話したので、手札が読めました」
「カードとお話……?」
(この子もだんだん神がかって来たなあ)
「決まったでゲソ!」
イカ娘が誇らしげに2を出した。
「対抗はいないでゲソ?」
「イカ星人はわたしが止める!」
シンディーがジョーカーを出した。
(早苗、後は頼んだわよ)
(シンディーの友情に感謝するわ)
「さあ、どうする、イカ星人!」
「3を3枚出すでゲソ」
「ローカルルールぅ!?」
「さあ、スリーカードはいるでゲソか? いないでゲソね。
じゃあ、10を出して、『10捨て』で5を出してあがりでゲソ」
「あがられた!」
「それも鮮やかなローカルルールさばき!」
「ふっふっふ。人間どもの遊びなど理解するのはたやすいでゲソ」
「こいつ、本当にパズル的なの強いよなー」
こうして、マキ拾いをかけた大貧民大会は幕を閉じた。
上位陣はたける、鮎美、イカ娘。
そして下位二人には千鶴が参加しないのでやる気をなくしていた悟郎と、ジョーカーを使い果たしたシンディーが選ばれた。
「ちょうどトランプもひと段落ついたところで……
見えてきたわよ。倉鎌キャンプ場」
千鶴が前方を指さした。イカ娘が大きく口をあけた。
つづく
「昨日の今日で何人集まるかと思ったが……
暇人ばかりだな」
「うるさいぞ栄子! (千鶴さんとキャンプ……ありがとう栄子)」
「どうせ使い道がない券を使ってあげるんだから、感謝して欲しいわ。
(イカ星人とキャンプ……これは大チャンス!)」
「そうよそうよ!
(イカちゃんイカちゃんイカちゃんイカちゃんイカちゃん)」
「なんか文句言ってるわりには嬉しそうだな」
「みんなー。乗ってー」
千鶴が車の運転席から声をかけてきた。
その車は白地に黒でプリントされており、窓には鉄格子がかかっている。
「護送車じゃないか!」
「うふふ。ちょっと借りてきたの」
「相変わらず謎だな姉貴のコネは……」
「おじゃまします」
真っ先に乗り込んだのは清美だ。物々しい鉄格子にも物怖じする様子はない。
続いてイカ娘。そしてたける。清美含め三人で後ろの席に座った。
早苗とシンディ、悟郎と磯崎、渚と鮎美がそれぞれ隣同士で座る。
栄子が助手席へ。そして運転席の千鶴がアクセルを踏み込むと、イカ娘初体験のキャンプが始まった。
「うう……退屈でゲソ。
陸地には変化というものがないのでゲソか?」
「高速道路ってのはそういうものだよ。
姉貴はもっと大変なんだから黙ってろ」
「あ、退屈だったら、トランプでもしない?」
清美がリュックサックをガサゴソとしはじめた。
「清美は栄子と違って気がきくでゲソ」
「せっかくだから、何か賭けないか?」
磯崎が言った。
「金はだめだぞ」
「大半が高校生のなかで、そんなことしねえよ……。
負けたやつ『二人』がマキ拾いをするっていうのはどうだ?」
(『二人』……!)
(罰ゲームに見せて、その実お目当ての人と仲良くなるチャンス……!)
(計画性なしのチャラ男と見せかけて、こいつ、考えている……!)
「いいですよー」
清美がほうぼうで発せられる殺気に気付かずに言った。
「二人罰ゲームってことは、順位がつくゲームがいいですね。
大貧民かな?」
「その貧乏くさい名前の競技は何でゲソ?」
「ええとね」
「ふむふむ」
「それから」
「おお、それは」
「ちなみに」
「……すべてマスターしたでゲソ!
さっそくやろうじゃなイカ?」
「ち、千鶴さんは参加しないんですか?」
「運転しなきゃだから、パスさせてもらうわ」
少し落ち込み気味の悟郎がカードを配ると、各々がそれぞれのやり方で思考を巡らせ始めた。
(シンディー、分かっているわね)
(もちろんよ早苗。我々の目的はひとつ)
(イカちゃんを愛でること!)
(イカ星人を研究すること!)
(そのためには、イカちゃんに最下位もしくはブービーになってもらわなくては)
ここに早苗・シンディーの同盟が誕生した。
そして決戦の火ぶたが切って落とされた!
「勝ったー」
あっという間にあがったのは小学生のたけるだった。
「強かったわね、たける」
「学校でやって慣れてるからね。
それにしてもみんな、手を抜いてるんじゃないかと思うほど作戦ミスが多かったよ」
(たける……たぶん本当に手を抜いてるんだ。
見たところ少なくとも早苗とシンディー、
たぶん磯崎も目標は下位でお目当ての人間と二人っきりになること!
でもまあ言わないでおこう)
と、栄子が考えている間に鮎美があがった。
「お、鮎美ちゃん、結構強いな」
「カードとお話したので、手札が読めました」
「カードとお話……?」
(この子もだんだん神がかって来たなあ)
「決まったでゲソ!」
イカ娘が誇らしげに2を出した。
「対抗はいないでゲソ?」
「イカ星人はわたしが止める!」
シンディーがジョーカーを出した。
(早苗、後は頼んだわよ)
(シンディーの友情に感謝するわ)
「さあ、どうする、イカ星人!」
「3を3枚出すでゲソ」
「ローカルルールぅ!?」
「さあ、スリーカードはいるでゲソか? いないでゲソね。
じゃあ、10を出して、『10捨て』で5を出してあがりでゲソ」
「あがられた!」
「それも鮮やかなローカルルールさばき!」
「ふっふっふ。人間どもの遊びなど理解するのはたやすいでゲソ」
「こいつ、本当にパズル的なの強いよなー」
こうして、マキ拾いをかけた大貧民大会は幕を閉じた。
上位陣はたける、鮎美、イカ娘。
そして下位二人には千鶴が参加しないのでやる気をなくしていた悟郎と、ジョーカーを使い果たしたシンディーが選ばれた。
「ちょうどトランプもひと段落ついたところで……
見えてきたわよ。倉鎌キャンプ場」
千鶴が前方を指さした。イカ娘が大きく口をあけた。
つづく
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