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「永遠の扉 第096話 (2)」(2011/12/23 (金) 18:46:17) の最新版変更点
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「で、マレフィックアースというのは一体どういう存在なんだい?」
ウィルとデッドの一悶着を仲裁し終えると、ムーンフェイスはニマリと笑った。
「未来の話だけどさ。核鉄とか武装錬金とかに関する面倒臭い仮説があるんだよね」
「ほう」
ウィルを見る。相変わらず面倒くさそうな表情で後頭部を掻いている彼が”そういう”存在だというのは以前から知っている。
未来から来た。だから、ウィル。
「でもボク的には荒唐無稽だしどうせ話しても馬鹿にされるというか面倒臭いし……やーめた
赤い筒がウィルの脇腹に突き刺さり、そして吹き飛ばした。硝煙めいた匂いにムーンフェイスは気付いた。爆破の反動で
浮き上がったデッド。それが頭突きをかましたのだと。
「なあおにーちゃん」
筒は何事もなかったようにムーンフェイスを振り仰いだ。ウィルはその横で尻もちをつきながら面倒臭げに頭をかいた。
「不思議に思ったコトあらへん? 『なんで核鉄は100コしかないんやろ』って」
「あとさ。『本当に核鉄は100コしかないのか』って考えたコトはある?」
「まあ確かに不思議ではあるね。錬金術の歴史は長いんだ。誰か……それこそパピヨン君のような存在が101番目以降
の核鉄を拵えていてもいい筈だ。或いは……造られるのではなく発見という形でもいい」
何しろ。綽綽とした態度のままムーンフェイスは鋭い笑みを浮かべた。
「有史以来総ての核鉄を管理しきれた組織はないよ。ある程度集めては散逸の繰り返しだ。というのに誰も彼もが核鉄は
100個だと信じている。どこかに101番以降が埋もれているかも知れないというのにだ。信じている100という数が余りに
キリが良すぎるのも良くないね」
人為的な何かを孕んでいる。何者かの都合がそこにあるような。
「核鉄が人の手によって作り出されたものであるならその研究成果を示す文献ぐらい残っていても良さそうだ。そうだとす
れば……いや、そうでないにしてもか。誰か1人ぐらい作ろうとするだろう」
「なにしろホムンクルスの数は無尽蔵やからな。ちょっと幼体作って投与するだけで化け物の群れが完成や。100個しかない、
核鉄で対抗するにはあまりに分が悪すぎる」
「ホムンクルスの私がいうのもあれだが核鉄も幼体のように量産出来たら……どれほど素晴らしいだろうね」
「けど、ボクが見てきた長い歴史の中でそれをやろうとした人間はいなかったよ。いつもわずかしかない核鉄にすがり、絶
望的な戦いを繰り広げてきた。どの歴史でもそう。ずっと何度も。……不自然なほどにね」
(むーん?)
違和感が奔る。何かおかしい。しかしそれも介さずウィルは乱れた髪もそのままに大きな生あくびをした。
「だからさあ。荒唐無稽な仮説だけどひょっとしたら正しいのかも。よく考えると疑う方が面倒臭いし」
「むーん。焦らされる方になって初めて分かるもどかしさ。そろそろ結論を急いでくれるとありがたいんだけど」
筒は、薄く笑ったようだった。
「もし、やで?」
「核鉄自体が武装錬金やったらどうする?」
「人の闘争本能を形にし戦端を開くための……『武器』の武装錬金やったら」
「手にした瞬間、抜本的な解決をできなくするような強制力があったとしたら」
「武装錬金使うたび消費した体力や精神が……」
「核鉄の創造主のとこ行っていたらどうする?」
「核鉄の創造主だけ利するためだけに使われていたとしたら」
「おにーちゃんはどう思う?」
「うぃるめがいうには世界という奴は無数にあるらしい」
「並行世界って奴ですか? でもそういうのって漫画の話じゃ──…」
ひひっ。少女はすすり泣くような声を立てた。そして人差し指を金髪ピアスの胸に突き、「いやいや」と間延びした声を上げた。
「現に最近それを証明する輩がこの街に来たではないか。え? ヌシもあの場で見た筈じゃ」
あの場……? しばし考え込んだ金髪ピアスは「あ」と息を呑んだ。
「ディケイド」
「そうじゃ。次元を渡り歩くという世界の破壊者。わしも見たよ。ヌシ同様、あのメイドカフェ野次馬してたからの」
「そういう輩がいらっしゃるというコトはである!! ウィルの並行世界説! まさに正しいのであろー!!!」
沈黙に耐えかねたのだろう。2mを超える美丈夫がやおら立ち上がり拳を元気よく突き上げた。
「あの勤労に対する敬意なき少年はいった!!」
「世界は無数に存在する!! と!!」
「で、じゃな。次元というか宇宙というか、とにかくそういう広大な舞台の中には、世界同士近場により固まり、競合を繰り返
す……そんな地帯があるという」
「競合、というのは?」
「戦いである!! 世界の中で戦いを展開し、何やら及公らぶっちぎったドデカイ高次の存在に見せるらしい!!」
「御前試合よろしく判定を仰ぐのじゃ。であるからしてその戦いという奴は”引き起こされた”奴が多い。うぃる坊の与太話の
錬金術師が如く他の世界の存在に気付いた連中が舵を取り、いわゆるげーむますたーとして主導する」
「戦いの質が高ければ高次の存在どもはエネルギーを放出し、その世界をますます繁栄させる。何柱もの神がかった存在
が介入するコトもしばしばだ。世界の動きが滑らかになり色が鮮やかになり美しい音が満ちるのだ」
「むろん戦いの主催者どもも莫大なえねるぎーを手にする」
「しくじったとしても我々が武装錬金に費やしたエネルギーそのものは主催者を成長させる!!」
頭が痛くなってきた。リヴォルハインの武装錬金といい、今晩は金髪ピアスの脳髄が軋みに軋む時らしい。
「ボクのいた未来の与太話だけどさぁ。えーと。『むかし他の世界の存在に気付いた錬金術師が居ました。彼はずっとこ
の世界を良くしたいと思っていました。他の世界は戦いの代償に発展する可能性を秘めていました。だから彼は研究を
重ねこの世界に戦いを蒔こうと考えました。まず自らをホムンクルスにし悠久の命を獲得した彼は人喰いの衝動を持つ
この生き物を”敵”とし、同時に対抗しうる”武器”を作りだしました。しかし敢えてその数は少なくしました。圧倒的不利の
”味方”が”敵”を全滅するその過程を面白おかしく演出できるよう』……そんな寓話」
「確かに、荒唐無稽だね。少なくても私は聞いたコトがない」
「しかもその錬金術師、自分が斃されたら戦い終わるから肉体捨てて精神生命体みたいなんになったらしいで。核鉄っちゅ
う武装錬金……精神具象化したアレとは別に。無茶苦茶やろ?」
笑うしかない説だろう。錬金術につきまといがちな四方山話としかムーンフェイスには思えない。
「真偽はともかく……とかく世界が戦いに傾きがちなのは間違いない」
つまりだ。なめらかに掌を翻すとムーンフェイスは
「核鉄が100しかないせいで人間の私たちに対する敵意はずいぶんと助長されているからね。もちろん人喰いをやめようとも
しない私たちにも責任はある訳だけど……むーん。そこはなかなかやめられない」
もし核鉄が無限にあり、人類総てがホムンクルスへの対抗手段を獲得できたとすれば?
「戦い以外の選択肢だって取れる筈だ。文明を発展させ力と錯覚させるさまざまの器具や手順を編み出せば猛獣さえ見世
物に貶める。それが人間だ。現に彼らは本来素手で勝てない捕食者さえ隣人として愛しんでいる。檻を抜け、家族に牙を立
てない限りは、だけど」
といった。これにはデッドも大いに頷き──猛獣とホムンクルスの頭脳レベルの差を入れていないという反論もわずかに
混ぜたが──次に戦団への批判を上らせた。
「奴らいまホムンクルスへの対抗手段を独占しとるようやけど、それは別に人類さん全部から頼まれた訳やないからな。秘
密結社とか何とかのたまって勝手にやっとるだけや」
核鉄の数が少ないからこそそれが人類全体の一般的な通念とならず、通念とならないばかりにローカル、またはニッチな
組織だけが一手に掌握している。およそそういう公式性のない新興宗教団体にも似た寄り合いというのは腐りやすい。デッド
はそう断言した。
「ウチのおかん社長でよう言っとったけど、親族経営じみたアレは結局ナァナァで組織を堕落させるもんらしい。だからウチを
継がせるつもりはなかった……ああ話ズレたな。とにかく戦団や。リヴォもゆうとったけどアイツら共存とか、抜本的な解決
は何も考えてない。ただホムンクルス殺して人間守ればいい。それだけや」
望まずしてホムンクルスになったものだっている。デッドはある少女の名を挙げた。ムーンフェイスも頷いた。
「ヴィクター君のような不都合が起きれば我々でも思いつかないような卑劣な手段で対抗し、隠蔽する。解決も図らぬまま100
年後まで先伸ばしにし」
現代人を大いに苛んでいる。
そんな構造を作り出した理由の1つは核鉄の少なさにこそ求められるだろう。核鉄が少ないからこそ戦士も少ない。肉体面
ではいうまでもなくホムンクルスに劣る戦士たちだ。武装錬金を手にしてなお殺される危険性を秘めた戦士たちが些少な数で
──自らのみならず他者を守るという条件付きで──戦うとすればこれはもう手加減知らず。宥和を捨て、闘争本能を振り
絞り殺戮を繰り返すしか術はない。するとホムンクルスたちも抵抗を選ばざるを得ない。核鉄の数が限られているからこそ
奪おうとする。戦士を殺せばそれだけで2倍安全だ。やらない馬鹿はいない。激化する。戦いは。
「そんな流れのようなもの……舞台装置を核鉄やホムンクルス以外の何事かに置き換えれば国際情勢にさえ通用する、
誰かが源から引いた無意識下の闘争本能。人類全体が多かれ少なかれ内包し共有する戦いへの意識……君たちが寓話
じみた核鉄の創造主とやらに形を求める見えざる流れこそ」
「そう。マレフィックアース」
「この星を凶(まが)くする奴や」
「りう゛ぉの分散こんぴゅーてぃんぐというのはじゃな。無論研究の裨益(ひえき)、助けにするためでもあるが……もっと大き
な検証のために存在しておる」
コーンスープを飲み干したイオイソゴはぽつりと呟いた。あどけない外見がウソのような厳かさだった。
「我々が仮定するまれふぃっくあーす……核鉄の創造主の構造というものが論理的に成立するかどうか。それを試すため
でもある」
「ええと。武装錬金の発動者からエネルギーを集められるっていう、アレですか……?」
「そして!!! 各自めいめいの”知恵”という名のエネルギーは集約できるコトは証明された!!」
話を聞くうち金髪ピアスにも彼らの目論見が分かってきた。
「つまり……居るかどうかはともかく。あなた達はそのマレフィックアースと名付けた何か巨大なエネルギーを──…」
「そうじゃ。適した器に下ろしたい。憑依させるという方が分かりやすいかの?」
とここで言葉を切り、イオイソゴは席を立ちどこかへ歩きだした。どこへ行くのかと眼で追ううち彼女はドリンクの供出装置
やコップの並ぶスペースで立ち止まった。笑いながら指さしたのはスープの鍋だった。お代わり自由。先ほど何やら涙目の
店員が3度目の補充を行ったそれの前にイオイソゴはカップを10個ほど置いた。銀色のお玉から琥珀色の液体がばしゃ
ばしゃ降り注ぐのを金髪ピアスはただ黙然と見送った。今ごろ厨房では5リットルほどのスープがコンロの上で煮立ちつつ
あるのだろう。涙とともに、生まれているのだろう。
「ひひ。器はまさに器よ。斯様に汲み上げる。旨味のあるものを分配し我々の理想のため使役する」
あ。と金髪ピアスは息を呑んだ。
(コイツのいう器っていうのはカップの方じゃねえ。スープ鍋の方だ。熱とか配合を経た純度のあるモノを自分たち……カッ
プに注ぐための)
「そうである!! しかもあのスープ鍋と違いマレフィックアースの器は汲めども汲めども尽きぬのである! 井戸水のよう
にこんこんと純度ある何かを無尽蔵に!!!」
リヴォルハインの言葉に背中が粟立つのを感じた。何故ならば……。
少女はとてとてと戻ってきた。大きな鍋を両手で抱えて。
「もらったもらった!!!」
双眸を輝かせた彼女は見せるつけるように鍋をぴょこぴょこ前後させている。体の半分ほどあるそれはまだかなりの熱を
持っており傍にいるだけで皮膚がチリチリ焼けそうだった。
「いや、勝手に貰っていいんですかソレ」
「んー。店員さんがもう鍋から直で呑んでええと言ってくれたし、いいじゃろ!」
幼児特有の高い声を上げながらイオイソゴは両目を細めた。向き合う不等号の形はバブル経済より景気が良かった。
(あれだけお代わりすればそうなるわな)
厨房から出てきたウェイトレスが壮大な溜息とともに汚れたカップのタワーを回収するのが見えた。ごめんなさい。横目
を這わせながら内心謝る。
「で、何か言いたげじゃがなんじゃ?」
いや、その。しばらく口ごもるがどうせリヴォルハイン経由で──リルカズフューネラルという武装錬金は社員の意識が社
長に筒抜けなのだ──バレるのだと意を決し、恐る恐るだが具申する。
「だったらあなたたちは……負けないんじゃ」
マレフィックアースという構造に対する意見である。
「ま、そうなるじゃろうな。仮説が正しければ武装錬金に費やした体力や精神力はまれふぃっくあーすのもとへ行く。我々が
斯様な存在を擁するとすればこれはもう……」
ワンサイドゲーム。
戦士たちはマレフィックたちを斃さんと決死の思いで武装錬金を展開し、向かってくるだろう。
だがそのために消費したエネルギーは皮肉にも斃すべき敵の1人に。
(還元される)
強化される恐れさえある。
しかも。
器を経由し濾過されたエネルギー。マレフィックたちはそれを『何か』に使うつもりらしい。
リルカズフューネラルという民間軍事会社の武装錬金が分散コンピューティングの要領で鐶光の──リヴォルハインからの
情報で金髪ピアスは”青っち”の妹がどういう存在か知った──5倍速老化の治療法を模索しているように。
だが同時に疑問が浮かぶ。
(それだけのエネルギー……いったい何に使うんだ?)
ただ何かを壊すためという風ではない。むしろ破壊さえフェーズの1つにしか思っていないフシがある。好例がリバースだ。
人を撲(なぐ)る。一般的な価値観からいえば罪悪感と自責で押しつぶされるおぞましい行為さえ軽々とこなしていた。意思
を伝えたい。恐ろしく人間じみた衝動を恐ろしく人間離れした膂力で発散し、ぬけぬけと暴力嫌いさえ公言していた。
(世界総てをぶっ壊したいとかいうタイプじゃないんだよなあコイツら。多かれ少なかれ世界って奴が好きみたいでその部分
だけは壊したくないって思ってるみたいだ。例えばクライマックスがアニメヲタクなように)
先ほどイオイソゴに釘を刺されたにも関わらずの詮索である。猫さえ殺す心のタイプ、野次馬根性はどうも抜けきれない。
(ねーねーキンパくん)
(なんだよ)
思考を中断したのは……
念話。リヴォルハインからの通達だ。
(先ほど聞いたけどである。マイドクトア……リバース=イングラムが邪魔なのであるか?」
どうやら「襲う」という単語をそのまま理解したらしい。どういえばいいか迷っていると、彼はこういった。
(実は及公、マイドクトアを以前より亡きものにしたいと思っている!!)
.
.
聞けば彼女の武装錬金がリヴォルハインの増殖速度を極端に遅くしているらしい。
(だから殺す? いや、敬意はどうなんだ敬意は!! お前作ってくれた奴だろうが!!)
(うむ!! その点については及公大変に感謝していらっしゃる!! だからマイドクトアの妹の治療法についてはかなり
本気で演算中だ!! 実際一時期、鐶光めの特異体質を我が身を以て再現し、あれこれ考えられたのである!!)
(あー。だからクライマックスと会ったとき変身してたのか? でもなんでイソゴばーさん)
(ゴばーちゃんが好きだから!!! なぜならば会うたび塩味の飴とかくれる!! 今日はくれるかなくれないかな!!)
(知るか!!!)
(とにかく鐶光めの老化については治す!! ウソも騙しもない正しい!! 研究結果において!!)
だが、とリヴォルハインはこうも伝えた。
(その完成結果の提供を以て及公のマイドクトアに対する敬意とする!! それが済めば及公の理想がため邪魔なので
消していい!! マイドクトアさえいなくなれば及公の増殖速度は爆発的に増大する!! 比例して処理速度も!!)
(…………)
仲間意識も何もない男だと思った。そもそもつい今しがたイオイソゴを好きだといったばかりではないか。「組織の質自体
は悪とせん」そう断言し、仲間への温情を見せた彼女を。にも関わらずリヴォルハインはヌケヌケと仲間殺しを宣言してい
る。空恐ろしいものを感じた。
(及公は大義をお持ちだ。達すれば錬金術の災禍に苦しむ人たちを救える大義。マレフィックアースの敷いた果てしない戦
いの宿命を消すコトのできる大義。それを達するためならば多少の犠牲などお厭いにならぬのが及公!!!)
(だから!! リバース=イングラム殺害を……手伝うのだ!!
(こいつ……)
もし気取られ始末されても他人ごとなのだろう。無数いる社員の1人が消える。その程度にしか扱われていない。
(なんて傲慢な奴だ!!)
「ひひっ」
苦悩する金髪ピアスを流し眼が一瞥した。気取られたか。じわり焦燥する金髪をよそに老女は笑う。何も知らないかのご
とく、純粋に。
「ともかくじゃ。わしはまれふぃっくあーすの器を探すべく銀成学園に潜入中じゃ。りう゛ぉよ。明日少し手伝え。そろそろ鳩尾
無銘めがくるころじゃ。匂いを誤魔化せ。社員にせずとも柑橘の香水つけさせるぐらいできるじゃろ」
「あいさー!!!」
「さーて、探そうかのう。まれふぃっくあーすの器」
イオイソゴが指折り上げる器の条件。
それは。
「まずは稟質(ひんしつ)。生まれつきその本質が清らかであることが肝要」
「次に現状。幸福であってはならぬ。幸福であってはならぬのじゃ…………」
.
そして彼女はもう1つ言葉を紡ぐ。
しばらくのち、銀成学園廊下で毒島に遭遇した時。
ついぞ彼女には言わなかった情報を。
「最後に。武装錬金」
「器として、分配に適した形状のものを」
「発動できる人間。……それこそ我々の悲願に必要」
(うぃる坊は言った)
【確か居たんだよねー。”どの歴史”だったか忘れたけど正にマレフィックアースにピッタリな奴】
【顔も名前も忘れたけど……】
【この時期、銀成学園に通っていたのは確かだよ】
「ひひ。りう゛ぉの武装錬金特性。……金髪めの母親が”ああ”なったのは武装錬金を半ば強制的に発動させられた為」
「そして演劇。これらをうまく活用すれば器を一気に見つけられよう。ひひっ!!」
「大胆かつ秘密裏に。相反するが可能じゃ。うぃる坊の見た歴史。その一つが実証しておる」
「仮に無理でも最有力候補に縋ればいい。ひひ。寝返らせるなど容易いわ……」
「恋慕。満たされなさ……揺らいでおるよ奴は。少女らしさとやらを取り戻したばかりに」
「かの武藤カズキの妹めに寄せる複雑な感情。それをつけば離間など。ひひっ。容易い。実に容易い……」
「いまのところマレフィックアースの器の最有力候補は」
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