「バーディーと導きの神~暴虐のガロウズ~43-1」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
「バーディーと導きの神~暴虐のガロウズ~43-1」(2007/02/11 (日) 14:07:39) の最新版変更点
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「ありました。ザンの目印です」
シドガーが岩石砂漠の岩肌に刻まれた矢印を発見して一行に告げた。
「ザンたち、順調に進んでいるようだな」
ソシュウが岩肌に刻まれた『兄ちゃんたちがんばれ!』の文字を発見してほっと一安心する。
「今夜はここに野営するか。他の怪物どもがまた来ないとも限らんからな」
牙炎が宣言する。
「シアンとバーディーが来るかもしれんし」
ヨキーウが付け加える。
「そうだな。ルアイソーテの連中はまだ後方だろうし、ここで合流を待つのも悪くないかもな」
ソシュウも答え、一行は見張り番を立てて岩石砂漠の端にその身を休めたのだった。
夜が明けた早々、バーディーとシアン、それからルアイソーテ軍のサーラを加えた三人は、
牙炎たちと合流すべく行動を開始した。
シアンが先頭に立って、抗術の中心を目指して進んでいく。
今度はちゃんと岩石地帯らしき場所に出てきていた。
しかし、その行動に疑問を呈する者がいた。サーラだ。
「あれえ、あなたたち抗術の中心に向かってるんじゃなかったの?」
「そうだよ。それがどうした?」
昨夜のことが後を引いてるのか、仏頂面のシアンがそっけなく答える。
「でも抗術の中心ってこっちよ」
サーラが進行方向の右手を指差す。
「む……」
「え、そうなの?」
シアンをちらんと見やるバーディー。
「あなた魔導士なのにこの圧迫感を感じないの?」
サーラも揶揄するようにシアンを言葉でいじめる。
「か、感じてるさ、そのくらいっ!」
いつになくシアンが動揺した声を出す。
仕方なくシアンはサーラが指し示した方向に向かって走り出す。
そしてしばらく走ったその時、霧の彼方で何者かが格闘している音が聞こえてきた。
「ムンッ!」
気合の入った声が聞こえ、続いて大地を揺るがすような大音響を立ててなにかが落下した
ような振動が伝わってくる。
「大佐か?」
シアンが駆け出そうとしたが、耳のいいバーディーがそれを止める。
「待ってシアン。声が違うわ」
「じゃあ誰だってんだよ?」
「静かに!影が見えてきたわ」
サーラが身を伏せて二人に忠告する。同時に地面に伏せるバーディーとシアン。
次第にその姿が見えてくる。
「あれは……」
バーディーがつぶやく。見えてきたのは人間型の怪物だった。のっぺらぼうに牙の生えた口。
筋肉質のその体。ガロウズの強化兵そのものだった。
「あれはこの島の怪物たちとは様子が違うわ」
特捜のカンから、その姿の異質さを見抜いたバーディー。
サーラがそれを肯定する。
「多分、ガロウズに改造されたあたしの元仲間ね……」
ガロウズが本当にやってしまったことにショックを受けたサーラは、仲間のその変わり様に
怒りさえ覚える。
その時、強化兵の後ろから、バーディーたちがこの島に来たときに初めて遭遇した双頭竜が
その鎌首をもたげて強化兵を攻撃しようとした。
しかし、強化兵は呪文を唱えると、その双頭竜を念放射であっさり一刀両断にした。
「すげ……。この抗術の中、あいつを一撃かよ……」
そうシアンが呆けたようにつぶやいた時、強化兵が不意にこちらを向いた。
「まずい!見つかったわよ!」
サーラが起き上がる。
「あいつはヤバイわ!」
すでにバーディーは飛び出している。
「お、おい!」
女たちの対応に面食らいながら、シアンも自身の体を戦闘体勢にもっていく。
「だああああっ!」
最初の一撃はバーディーに軍配が上がった。
地面すれすれの低い位置から強化兵の懐に入ったバーディーは、強烈なボディーブローを
見舞った。
たまらず吹っ飛び、大岩に体ごと突っ込んでそれを破壊して倒れる強化兵。
「やりやがる!」
シアンが改めてバーディーの戦闘能力に舌を巻く。
しかしサーラがその気を引き締める。
「まだよ!」
倒れたと思った強化兵は、地面を転がりながら体勢を整えると、バネではじかれたように
飛び上がり、バーディーに球形の念を放射する。
「ぐっ!」
そのあまりの速さについていけなかったバーディーは、それをまともに食らって別の岩石を
粉砕しながら倒れこむ。
「バーディー!」
倒れこんだバーディーに向かってさらに襲い掛かろうとする強化兵の間に入ろうとしたシアン
だったが、サーラに引き止められる。
「待ちなさいっ!」
するとガラッと岩石を跳ね上げてバーディーが飛び上がり、強化兵にカウンターの回し蹴りを入れる。
「こんなことでやられる私じゃないわよ!」
トンッと軽やかに地面に降り立ち、軽いステップを踏むバーディー。
「頑丈すぎるにもほどがあるぜ!」
「どっちのことよ!」
「両方だ!」
軽口を叩きあい、シアンが念を放射する。強化兵はそれを飛びずさってかわすが、そこに
タイミングを合わせたバーディーの強烈な飛び蹴りが決まる。
そして強化兵はサーラの側まで転がり、昏倒したようにぐったりとした状態になる。
「ごめんよ……」
サーラはそうつぶやくと、強化兵全体に意識を集中して伝導熱放射でその体に火をつける。
全身が炎に包まれる強化兵。
だが、そこで終わりではなかった。
「危ないっ!」
バーディーが危険を察知して飛び出す。
「ガアッ!」
全身を炎に包まれたまま強化兵は立ち上がり、サーラに一撃をくれようとする。
そこにバーディーのラリアットが決まり強化兵は吹っ飛ぶ。
「効いてないの!?」
サーラは驚愕する。
「固い甲皮を持ってるのよ!炎じゃだめよ!」
サーラの前に立ち、かばう格好のバーディー。
「じゃあどうするのよ?」
「動きを止めて気絶させるわよ!」
「どうやって?」
「任せて!」
そう言って飛び出していくバーディー。
サーラの炎を振り払った強化兵はバーディーを迎え撃つ。
「だああああっ!」
フェイントをかけたバーディーの右フックが強化兵の顎を捉える。
そして脳を揺すられた強化兵の膝がカクンと落ちた瞬間を見計らい、バーディーの必殺技が
炸裂する。
「クラッシュ!」
強化兵の腹に当てたバーディーの手から電撃が爆ぜる。
強化兵は完全に意識を失った。
「なんなんだこいつは?」
二人の元に戻ってきたシアンが呑気な声で強化兵を転がす。
「言ったでしょ。ガロウズに改造された私の元仲間だって」
サーラが不満げに先ほど言ったことを反芻する。
「これがか?どうやったら人間をこんなにできるんだよ?」
「それは……」
バーディーが言いかけたそのとき、バーディーの頭部に装備された近距離通信回線の呼び出し
音が鳴った。
「ありました。ザンの目印です」
シドガーが岩石砂漠の岩肌に刻まれた矢印を発見して一行に告げた。
「ザンたち、順調に進んでいるようだな」
ソシュウが岩肌に刻まれた『兄ちゃんたちがんばれ!』の文字を発見してほっと一安心する。
「今夜はここに野営するか。他の怪物どもがまた来ないとも限らんからな」
牙炎が宣言する。
「シアンとバーディーが来るかもしれんし」
ヨキーウが付け加える。
「そうだな。ルアイソーテの連中はまだ後方だろうし、ここで合流を待つのも悪くないかもな」
ソシュウも答え、一行は見張り番を立てて岩石砂漠の端にその身を休めたのだった。
夜が明けた早々、バーディーとシアン、それからルアイソーテ軍のサーラを加えた三人は、
牙炎たちと合流すべく行動を開始した。
シアンが先頭に立って、抗術の中心を目指して進んでいく。
今度はちゃんと岩石地帯らしき場所に出てきていた。
しかし、その行動に疑問を呈する者がいた。サーラだ。
「あれえ、あなたたち抗術の中心に向かってるんじゃなかったの?」
「そうだよ。それがどうした?」
昨夜のことが後を引いてるのか、仏頂面のシアンがそっけなく答える。
「でも抗術の中心ってこっちよ」
サーラが進行方向の右手を指差す。
「む……」
「え、そうなの?」
シアンをちらんと見やるバーディー。
「あなた魔導士なのにこの圧迫感を感じないの?」
サーラも揶揄するようにシアンを言葉でいじめる。
「か、感じてるさ、そのくらいっ!」
いつになくシアンが動揺した声を出す。
仕方なくシアンはサーラが指し示した方向に向かって走り出す。
そしてしばらく走ったその時、霧の彼方で何者かが格闘している音が聞こえてきた。
「ムンッ!」
気合の入った声が聞こえ、続いて大地を揺るがすような大音響を立ててなにかが落下した
ような振動が伝わってくる。
「大佐か?」
シアンが駆け出そうとしたが、耳のいいバーディーがそれを止める。
「待ってシアン。声が違うわ」
「じゃあ誰だってんだよ?」
「静かに!影が見えてきたわ」
サーラが身を伏せて二人に忠告する。同時に地面に伏せるバーディーとシアン。
次第にその姿が見えてくる。
「あれは……」
バーディーがつぶやく。見えてきたのは人間型の怪物だった。のっぺらぼうに牙の生えた口。
筋肉質のその体。ガロウズの強化兵そのものだった。
「あれはこの島の怪物たちとは様子が違うわ」
特捜のカンから、その姿の異質さを見抜いたバーディー。
サーラがそれを肯定する。
「多分、ガロウズに改造されたあたしの元仲間ね……」
ガロウズが本当にやってしまったことにショックを受けたサーラは、仲間のその変わり様に
怒りさえ覚える。
その時、強化兵の後ろから、バーディーたちがこの島に来たときに初めて遭遇した双頭竜が
その鎌首をもたげて強化兵を攻撃しようとした。
しかし、強化兵は呪文を唱えると、その双頭竜を念放射であっさり一刀両断にした。
「すげ……。この抗術の中、あいつを一撃かよ……」
そうシアンが呆けたようにつぶやいた時、強化兵が不意にこちらを向いた。
「まずい!見つかったわよ!」
サーラが起き上がる。
「あいつはヤバイわ!」
すでにバーディーは飛び出している。
「お、おい!」
女たちの対応に面食らいながら、シアンも自身の体を戦闘体勢にもっていく。
「だああああっ!」
最初の一撃はバーディーに軍配が上がった。
地面すれすれの低い位置から強化兵の懐に入ったバーディーは、強烈なボディーブローを
見舞った。
たまらず吹っ飛び、大岩に体ごと突っ込んでそれを破壊して倒れる強化兵。
「やりやがる!」
シアンが改めてバーディーの戦闘能力に舌を巻く。
しかしサーラがその気を引き締める。
「まだよ!」
倒れたと思った強化兵は、地面を転がりながら体勢を整えると、バネではじかれたように
飛び上がり、バーディーに球形の念を放射する。
「ぐっ!」
そのあまりの速さについていけなかったバーディーは、それをまともに食らって別の岩石を
粉砕しながら倒れこむ。
「バーディー!」
倒れこんだバーディーに向かってさらに襲い掛かろうとする強化兵の間に入ろうとしたシアン
だったが、サーラに引き止められる。
「待ちなさいっ!」
するとガラッと岩石を跳ね上げてバーディーが飛び上がり、強化兵にカウンターの回し蹴りを入れる。
「こんなことでやられる私じゃないわよ!」
トンッと軽やかに地面に降り立ち、軽いステップを踏むバーディー。
「頑丈すぎるにもほどがあるぜ!」
「どっちのことよ!」
「両方だ!」
軽口を叩きあい、シアンが念を放射する。強化兵はそれを飛びずさってかわすが、そこに
タイミングを合わせたバーディーの強烈な飛び蹴りが決まる。
そして強化兵はサーラの側まで転がり、昏倒したようにぐったりとした状態になる。
「ごめんよ……」
サーラはそうつぶやくと、強化兵全体に意識を集中して伝導熱放射でその体に火をつける。
全身が炎に包まれる強化兵。
だが、そこで終わりではなかった。
「危ないっ!」
バーディーが危険を察知して飛び出す。
「ガアッ!」
全身を炎に包まれたまま強化兵は立ち上がり、サーラに一撃をくれようとする。
そこにバーディーのラリアットが決まり強化兵は吹っ飛ぶ。
「効いてないの!?」
サーラは驚愕する。
「固い甲皮を持ってるのよ!炎じゃだめよ!」
サーラの前に立ち、かばう格好のバーディー。
「じゃあどうするのよ?」
「動きを止めて気絶させるわよ!」
「どうやって?」
「任せて!」
そう言って飛び出していくバーディー。
サーラの炎を振り払った強化兵はバーディーを迎え撃つ。
「だああああっ!」
フェイントをかけたバーディーの右フックが強化兵の顎を捉える。
そして脳を揺すられた強化兵の膝がカクンと落ちた瞬間を見計らい、バーディーの必殺技が
炸裂する。
「クラッシュ!」
強化兵の腹に当てたバーディーの手から電撃が爆ぜる。
強化兵は完全に意識を失った。
「なんなんだこいつは?」
二人の元に戻ってきたシアンが呑気な声で強化兵を転がす。
「言ったでしょ。ガロウズに改造された私の元仲間だって」
サーラが不満げに先ほど言ったことを反芻する。
「これがか?どうやったら人間をこんなにできるんだよ?」
「それは……」
バーディーが言いかけたそのとき、バーディーの頭部に装備された近距離通信回線の呼び出し
音が鳴った。
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