「柳・日々野編1」(2010/10/30 (土) 20:13:18) の最新版変更点
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
意外に広い都市公園で、うつぶせになって倒れてるオッサンの左手が微かに動いた。
色彩のおかしい右手が少し離れたところにある。
下顎も微細骨折を通り越した感じになっていて、まだ見ぬ発見者に叫ばれそうだ。
柳龍光との果し合いに応えるべきかどうか、渋川は迷っていた。
柳からの果たし状をOAバブル時代のコピー機で1枚複写し、園田にFAXした。
しかし園田からの返事は無かった。(機械モンは苦手じゃわい・・・・・)。
時刻が近づいてきたから、武道家の意地に流されるように支度をした。
途中、流体で言えば水門や滝に相当するようなハードルがたくさんあった。
そこを流されて流されて、着いたときなぜか勝負は既に終わっていた。
勇次郎との再戦に応えるべきかどうか、本部は迷っていた。
本部以蔵、「支部以蔵(渋いぞう)」の芸名で地元の催し物に出ようとしていた矢先。
銃刀法の観念が1960年代で止ってる本部の携帯電話は、勇次郎からのコールを受けた。
「練馬祭のチラシを見たぞ」「せっかくだし、鬼を斬ってみないか」「場所は・・・」。
本部は電車で二駅向こうの街へ、鬼の公園目指して道場を飛び出した。
バキの通う高校には、先月から第2学年に強烈な転校生が来ている。
日々野晴矢。世界的な大事件だった連続脱獄の余波で、転校してきた。
「ステュクス」での乱闘事件が、スペックの再逮捕の前に起きていたことで
捜査のメスが入った。晴矢も或る意味で、彼らと同じタイプの人間だ。
「下僕(ダチ)」のフォローもあり、この高校でやり直すことになったのだ。
晴矢は、本気で世界征服ができると信じている。
だが決して、誇大妄想狂でもないし猪突猛進型の馬鹿でもない。
ケンカの構想を練ったら、そのための相手を調べる。"武丸"程度ならそんな必要なかった。
しかし2年生になってから豪田との再戦や天野瑞希、御坊茶魔に辛勝したことから
晴矢は敵を知ることの重要性を知った。そして、範馬刃牙との戦いを避けている。
晴矢は最初、その人物に好感を持っていた。
資料が示す事実は、晴矢の夢が人間に不可能な事ではないのを証明していた。
その人物は朱沢鋭一○害事件(時効)の最重要参考人(次点はドリアン)だ。
傭兵としての武勇伝に、「ガイヤの頭をボコボコにしたのを見た」というものがある。
飛騨のUMAを狩り、それがどうやら素手によるものらしいこと(UMAの頭部は紛失)。
もう、「乗り場」(『範馬』の暗号)の実家どころじゃなかった。好感は畏怖に変わった。
晴矢には、バキに対し手加減して勝つほどの強さはない。克ち合えば、やるしか無いのだ。
策と速攻、それも最短の手数が成功しないなら自身の重篤を意味する。六分四分で晴矢だ。
そして、過去にバキの存在を脅かした事のある強者がどうなったのか・・・・・・。
「猿酒なんか、酒精で弱い雑菌を淘汰してあるから腹壊すぞ」。
ガイヤの相棒(バーディ)と山へ行ったとき、晴矢は負け惜しみを言ったことがある。
高校に上がって初めての負け惜しみだ。防衛大学校OB訪問から約3週間後の出来事。
本当は、樹上で発揮する野猿の身体能力は連れ合い(ガイヤの相棒)を上回ると聞いて
まだ見ぬ猿に対しびびったのだ。
高校では「大学進学を目指しているから」吹聴し、不良たちから絡まれないようにしている。
そうすることで、「こいつには勝って当たり前、ワンパンKOでもされたら青春終わり」と
思わせているのだ。バキとの戦いの芽を、除草剤(農薬)でも撒くかの如く摘んでいる。
柳の手にかかったら、どんな生物も大変なことになる。
その手が全摘出になった後でも、帰るフリをしてからの流れるようなコンビネーションで
確実に仕留める。そして、仲間たちに対しワケのわからん言い訳を繕う。
まさに、鬼。近くの民家で盗撮の番をし、満を持して出てきた鬼。柳を○す気だったとしか思えない。
意外に広い都市公園が薄明るい太陽を迎える頃、茶色い猫が鉄臭いシミを不審そうに嗅いでいた。
不審そうに、というのは人間(近くの高校の女生徒たち)の主観だ。本当のところはわからない。
持って帰って、「タマ」と名付けたいぐらい普通の茶色系の色をした猫だ。
陽が薄暗くなる時、晴矢は夕刊で柳龍光の貨客船ジャックを知った。
貨客船の出発時刻から考えて、凄い数の私服警邏が自分を狙ったものでないのを推定した。
「やめるか~~ァ、世界征服」。何げない独り言がデストラーデ高のノボルにインスピレーションを与えた。
表示オプション
横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: