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「天体戦士サンレッド外伝・東方望月抄 ~惑いて来たれ、遊惰の宴~ 二回戦迫る」(2010/08/20 (金) 14:24:03) の最新版変更点
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~二回戦迫る~
医務室のベッドの上で、メディスン・メランコリーは目を覚ました。
何故だか、頭がズキズキする。ハンマーでぶん殴られたような鈍痛だ。
「う…うーん…?ここは…」
「気が付いた?」
目を開けると、そこには彼女にとって見慣れた顔があった。
緩いウェーブがかかる、碧の髪。可憐な面立ちには、穏やかな微笑み。
風見幽香―――<四季のフラワーマスター>の二つ名で呼ばれる、大妖怪。
「あれ…幽香?ここ…どこ?」
「医務室。貴女、頭を打って運ばれたのよ」
「頭…?そういえば、嫌な夢を見たわ。赤いチンピラが私に向けて脳天直撃セガサターン…あれ?」
限りなく現実に即していそうな悪夢であった。
「夢にしてはやけにリアルだった…」
「そう…酷く魘されてたわよ。怖い夢だったのね。可哀想に」
「あ…もしかして、ずっとここにいてくれたの?」
「勿論よ」
幽香はにっこりと、まるで大輪の向日葵のような笑顔を咲かせた。
「貴女は私の大事なお友達だもの、メディ」
「えへ…あ、そういえばトーナメントは!?」
「そろそろ一回戦は全部終わるわ。私の試合から全部すっ飛ばしたということね」
「えーっ!?じゃあ、一回戦は全然見れなかったって事じゃない!…ま、いいか」
むくれるメディスンだったが「二回戦には間に合ったもんね」と気を取り直した。
「次も勝ってね、幽香。私、たくさん応援するから!」
「ふふ、ありがとう…でもね」
幽香はメディスンの額に手を翳し。
「ごめんなさいね…次の試合、貴女には見せたくないの」
「え」
ピンっ、と、人差し指で眉間を弾いた。頭蓋を揺らされ、メディスンは再び昏倒する。
「もう少し、眠っていてね。少なくとも、サンレッドとの闘いが終わるまで」
「―――ほんと、酷い妖怪ね。貴女」
隣のベッドから、非難の声。
風見幽香の一回戦での対戦相手―――蓬莱山輝夜。
包帯でぐるぐる巻きにされ、ほとんどミイラ女と化した彼女は、刺々しい口調を隠そうともしない。
「自分を慕ってくれる小さな女の子に、もっと優しくしてあげようとか思わないのかしら?」
「あら、お姫様ったら。それは誤解というものよ?」
むしろ、これが優しさだ―――風見幽香はそう答えた。
「次の試合…この子には、ちょっと刺激が強いものになるかもしれないからね」
「何よ、それ」
「分かるのよ、同類は…」
「はあ?どういう意味?」
「サンレッド―――彼は、私と同じ種類の生物よ」
「同じ種類…」
「そう。戦闘を求めるという点では星熊勇儀とも似ていたけれど―――また違う意味で、私と彼は同じ」
幽香は、口元を三日月の形に歪める。それはメディスンに向けていた微笑とは、まるで違う。
闘争を愉悦とする、狂戦士の笑みだ。
「必要とあらば、暴力の行使に対して、まるで忌避を感じない―――そういうタイプよ」
「…………」
「だから―――サンレッドとの闘いは、見せたくない。この子には」
「少しばかり、えげつない真似もする予定だし―――ね」
それ以上は語る事なく、風見幽香は医務室を後にする。
残された輝夜は理解できない、という顔でその後姿を見送っていた。
「…分かる必要なんかないぞ、輝夜」
輝夜の隣で同じくミイラ女と化していた藤原妹紅は、そうのたまう。
なお、ここでいう隣とは<隣のベッド>ではなく、文字通り<同じベッドで一緒に寝ている>のである。
負傷者に対してベッドの数が足りないので、一つのベッドを二人で使っているのだ。
決して百合的あざとさを狙ったわけではないので、誤解なきように。
「あいつは…別だ。種族の違いだとか、そういった話じゃない。在り方そのものが―――隔絶している」
そして、その幽香が認めている
サンレッドは己と同じ類なのだと。
「たった一つ言えるのは―――この闘い。どちらかが完全に動かなくなるまでは、終わらないだろうな」
―――そして幻想郷最大トーナメント開催より、数時間が経過した。
『さあ、夜も更けてまいりましたが、トーナメントはまだまだ続く!』
実況・射命丸文の声が夜空に轟く。
『一回戦・全16試合!どれもが目を瞠る名勝負でした!次より始まる二回戦ではどのような闘いが繰り広げられる
のでしょうか!?この清く正しき射命丸文も、仕事を忘れて興奮してきました!』
その言葉を、レッドさんはといえば、ぽかんとした顔で聞いていた。
「え…おい、どういうこった。全然見た覚えがねーんだけど…」
「何を言ってるんですか、レッドさん。あんなに凄い試合ばかりだったのに」
ヴァンプ様は奇怪なものでも見るような目つきである。
「第五試合なんて、会場の皆が涙したぐらいだったじゃないですか、ねえ」
「ああ。秋静葉・穣子の姉妹対決という地味にも程がある試合が、あんなに盛り上がるなんてなあ」
魔理沙が感慨深げに語る。
「第七試合も、まさかの番狂わせだったわね。あの土着神の頂点・洩矢諏訪子を、因幡てゐが怒涛のトラップ攻勢に
よって破るとは、予想も出来なかったわよ」
アリスも興奮冷めやらぬといった面持ちである。
「続く第八試合…流石は我等が紅魔館の主レミリア・スカーレットの面目躍如といったところね。レミィにとっては
最悪の相性といえる地底の太陽・霊烏路空を、真っ向勝負で打ち倒すとは思わなかったわ」
と、パチュリーは親友であるレミリアを称える。
「神奈子さんとか魅魔さんとか、ムチャクチャ強かったよねー。相手が可哀想になるくらいだったよ」
「そして迎えた一回戦の最終試合…八雲紫。あの能力は、やはり無敵にして不可侵か…」
「うんうん。紫ちゃんってば、あれはすごすぎだよー」
ジロー・コタロウの兄弟も顔を見合わせて頷き合う。
茫然としていたレッドさんだったが、気を取り直してポン、と手を打った。
「あ、ああ、ああ!思い出した、思い出した!第十三試合とか、どっちもマジやばかったよなー。ははは」
その言葉に対して返ってきたのは「え?」と言わんばかりの、皆からの胡乱な眼差しであった。
「何言ってるんです、レッドさん。その試合は魔界神・神綺が一瞬にして終わらせちゃったじゃないですか。さては
余所見でもしていましたね?」
妖夢がジト目でレッドを見つめる。
「確かに。相手との力の差がありすぎて、盛り上がりには欠けるきらいがありましたね」
「もう、レッドさんったら!ちゃんと見てなきゃダメじゃない!」
「そうですよ!いずれは闘わなきゃいけない相手なんですから、しっかり見とかないと」
川崎から来た仲間達(※約一名は悪の将軍です)にまで非難され、レッドさんは力なく肩を落とした。
「しゃ…釈然としねえ…!」
『―――では、ここで小休止を取ります。二回戦の開始は30分後を予定しておりますので、しばし御寛ぎ下さい』
「じゃあ私、今のうちにトイレに行ってきますね」
「いちいち言うなよ。何処にでも行っちまえ」
「も~、何で怒ってるんですか、レッドさんったら」
「いーから行けよ。どーせ混んでんだから早く並ばねーと、休憩が終わっちまうぞ」
それは大変と、ヴァンプ様は急ぎ足でトイレへと向かうのだった。
「兄者。ぼく、ジュース買いに行ってもいい?」
「構いませんが…お前、お金は持っているんですか?」
「大丈夫だよ。ゆゆちゃんちにいる間は、たくさんお手伝いしたから、いっぱいお小遣いもらったんだ。ろーどーに
よってちんぎんを得たんだよ!」
「そ…そうですか」
ちょっと気まずそうに顔を伏せるジロー。ついでにレッドさんも一緒に顔を伏せた。
「なら行ってきなさい。くれぐれも迷子になどなるんじゃありませんよ」
「ラジャー!」
「ジュースだけ買ったら、すぐ戻ってくるようになさい。ウロウロして迷ったなどとなったら、許しませんからね」
「オーケー!」
元気よく、コタロウは駆け出した。それを見送るレッドさんとジローさんの顔は、暗かった。
「ろーどー…」
「ちんぎん…」
心なしか、周囲の視線が痛い。妖夢などは完全に<この真っ赤なヒモコンビが>という目付きである。
「…怯んではいけませんよ、レッド。ここは我々が真っ当に社会的生活を営んでいるという事実を、はっきりと主張
すべきです」
「お、おう。そうだな」
そして、二人は声を張り上げた。
「お、俺は世界の平和を守るのが仕事なんだよ!相手、ヴァンプだけど…」
「わ、私もミミコさんの護衛という立派な仕事がありますとも!遅刻率はほぼ100%ですが…」
―――墓穴を掘る労働をした二人だった。賃金は、なし。
「ふー、レッドさんの言った通り、混んでたなあ」
ハンカチで手を拭き拭き、ヴァンプ様はトイレを出て一息ついていた。
「しかし広いなあ、この闘技場。私ったら方向音痴だから、迷子になっちゃいそう…あれ?」
ふと、辺りをキョロキョロと見回す。
「あ、あれ…私、どっちから来たのかな…?」
たらり、と汗が背中を滑り落ちたその時。
「―――少し、いいかしら?」
「へ?」
―――彼女は、真正面から堂々と声をかけてきた。
「あら、ごめんなさい。いきなりで驚かせちゃったかしら?」
「あ、いえいえ。そんな事は…あれ?」
ヴァンプ様は、その人物の顔に見覚えがある事に気付いた。
「あなた、風見幽香さんじゃないですか?次のレッドさんの対戦相手の!」
「ええ、そうよ。あなたは…ええと、何ていったかしら?」
「はい。私、レッドさんの宿敵で悪の組織フロシャイムの幹部・ヴァンプ将軍と申します」
「そう。ヴァンプ将軍ね」
彼女は―――風見幽香は一歩、ヴァンプ様へ近づく。
ヴァンプ様は、気付かない。
自分が今、幻想郷でも最悪の部類に入る存在と、接触してしまっているという事実に。
「あなたがサンレッドと一緒にいる所を見かけたけれど…随分と仲がいいみたいね?」
「ええ、まあ。友好的な敵対関係を結んでおりますので、ははは」
「そう。そうなの」
幽香は笑う。
太陽に向けて咲き誇る向日葵のように明るく、それでいて刺々しい荊を持つ薔薇のように剣呑に。
そして。
「そんなあなたに―――少し、やってほしい事があるの。大丈夫。とても簡単な事だから」
獲物を見つけた、食虫植物のように。
―――その頃、まさに人の海と化した売店にて。
コタロウは迷子だった。
ジュースを買ったついでにそこらの売店を覗いているうちに、完全に現在地を見失ってしまったのである。
本来、彼ら兄弟の間には強い共感能力があり、お互いの居場所は離れていても分かるのだが、これだけ多くの雑音が
混ざった状態では、互いがよほど強く念じないと上手く機能しない。
「ま…まずいよ。これは」
だからといってアナウンスで迷子の案内など頼もうものなら、後で兄からどのような折檻を受ける事になるか。
『お前という奴は~~~~~!だから買うものだけ買ってすぐに戻って来いと命じたでしょう!何故に兄の言う事を
聞けないのです!何!?八つ目鰻の蒲焼きが美味しそうだった?ええい、この阿呆め!肉体と精神の鍛練が足りない
からそのような俗なモノに目を奪われるのです!どうやら私は、お前を甘やかしすぎたようですね…今日からはその
弛んだ性根を叩き直してやります!まずは100kgのバーベルを持ち上げながらウサギ跳びで幻想郷を一周!』
などと、キャメルクラッチをかましながら叫ぶ兄の姿がありありと脳裏に浮かぶ。
何かないか、この絶対的な危機を回避するための名案は…!
そんな事を考えながら立ち止まっていたせいで、人混みに背中を押された拍子にジュースを落としてしまう。
―――しかし。
次の瞬間には、落としたはずのジュースは一滴たりとも零れることなく、何事もなかったかのようにコタロウの手に
納まっていた。
「あ、あれ?」
目を白黒させるコタロウ。
「あ…ありのまま起こった事を話すよ!<ぼくはジュースを落としたと思ったら持ってた>!」
「その通り。催眠術だの超スピードだの、チャチなものでは断じてありません―――我が忠実なる下僕の、恐るべき
能力の片鱗ですわ」
ふと気付けば、そこにコタロウとさほど変わらぬ年頃に見える少女が立っていた。
その背後に突き従うは、メイド服を着た見目麗しき従者。
幻想郷最強の吸血鬼―――<永遠に紅い幼き月>レミリア・スカーレット。
そして、彼女の最も信頼する部下である<完全で瀟洒な従者>十六夜咲夜(いざよい・さくや)である。
「あ…レミリアちゃんだ!久しぶり、元気だった?後ろにいるのは誰?すっごい美人さんだね!」
見知った顔を見るなりこれである。周囲にいてその一幕を見ていた者達は、一様に顔を蒼褪めさせた。
吸血鬼レミリア・スカーレットの評判は、非常に剣呑で物騒なものだ。
傲岸不遜の唯我独尊。
屍を積み上げ嗤う、吸血姫。
事実、彼女は上級妖怪の例に漏れず非常に好戦的で、なおかつ人間に対する友好度も極めて低い。
少しでも怒らせようものなら、こんな少年など一瞬で首を刎ねられるだろう―――
だが、そうはならなかった。
レミリアは怒るどころか、心からの友愛と畏敬をその顔に浮かべてスカートの裾をつまみ、恭しくも洗練された仕草
で、コタロウに頭を下げる。
「賢者よ。今宵、拝謁が叶いし事は無上の喜び。我が血は未だ浅き脈動なれど、赦されるのならばどうか、汝の高貴
なる流れと共にあらんことを」
野次馬達は予想もしていなかったレミリアの態度にざわめくが、レミリアにとっては当然の事だった。
賢者イヴ―――<真祖混沌>と並ぶ最も古き始祖にして、月下に生きる牙持つ者達の女神。
それは、自尊心と自負心の塊であるレミリアにとっても例外ではない。
そしてコタロウはその転生体にして、いずれは新たな<賢者>として覚醒する運命を背負っている。
ならばこそ、この程度の礼儀と礼節は当然―――少なくとも、レミリアはそう考える。
されど、コタロウはそんな事を知る由もなく、きょとんとしていた。
「えっと…なんか、難しくてよく分からないけど、ぼくと一緒にいたいって事かな?」
「はい。あなたさえ御赦し下さるのならば」
「もー、そんなに堅苦しくしなくてもいいよ」
コタロウは、笑顔でレミリアの手を取った。吸血姫はやや戸惑いながらも、その手を握り返す。
「兄者達もいるから、皆で一緒にトーナメントを見よう。ね?」
「―――はい。御供いたします、賢者よ」
「ケンジャじゃないよ、ぼくは望月コタロウ!兄者がつけてくれた、立派な名前なんだからね」
「ならば…コタロウとお呼びしても、よろしいでしょうか?」
「当り前じゃん!友達なんだから、遠慮はなしだよ」
コタロウの中では、いつの間にやらレミリアと友達だったらしい。
馴れ馴れしいにも程があるが、レミリアは心底嬉しくて堪らない、とばかりに顔を綻ばせた。
「では、改めて…コタロウ。御一緒させていただきます」
「あ…でも、どうしよう。兄者のいる所、分かんないや」
「はぐれてしまったのですか?」
「うん…あ、いや!ぼくが迷子になったんじゃないよ!兄者の方が迷子になっちゃったの!これ、ホント!」
ジローさんが聞いていたらバックドロップをかまされそうなセリフであった。
レミリアはというと、それを信じたのかどうか、ただ「それは困ったものですね」と首肯した。
「ですが、問題はありません。望月ジローなら、私が探しましょう」
「え、ほんとに?」
「はい。この闘技場程度の広さならば、一度でも出会った事のある者の気配など何処にいても探れます」
「うわー、頼もしいな!ぼく、レミリアちゃんの友達でよかったー!」
「ふふ、ありがとうございます」
「あ、そういえば、レミリアちゃんの後ろにいる綺麗な人は誰なの?何だかさっきから黙りこくって」
コタロウは、咲夜を見た瞬間、二の句が継げなくなった。
彼女は仏のようなスマイルを浮かべたまま、鼻からナイアガラの滝のような血を迸らせていたのだ。
「る…けど…」
「ああ…これは失礼を。私、紅魔館にてメイド長をやっております、十六夜咲夜と申します」
「そ…そうなんだ…」
「どうしました、そんな巫女が弾幕を喰らったような顔で…ああ、この鼻血ですか?いえ…実は私…ふふ、下品な話
なんですが<少女>だけでなく<少年>もイケル口でして…」
コタロウには、何を言っているのか分からない。
ただ一つ、ここにいては危ないと理解(わか)った。
「うふふふふ…お嬢様とこんなに可愛い男の子とのツーショット…うふふふふふふふふふふふふふふふふ…」
「大丈夫です、コタロウ」
安心させるように、レミリアが語りかける。
「こう見えて、咲夜は優秀なメイドですので…何も問題は起こりません。多分」
「多分ってなにー!?」
「うふふふふふふ…狼狽する美少年…素晴らしいわぁぁぁぁぁぁぁっ!」
―――咲夜の失血量は、既に10000ccを越えていたという…。
と。
コタロウがある意味最大の危機に陥っているとは露知らず、ジロー達は未だ戻らぬ二人を待っていた。
「おっそいなー。レッドの奴もいっちゃったし、もうすぐ二回戦が始まっちまうぞ。二人揃って迷子か?」
「そんな所でしょうね」
魔理沙の言葉に、ジローが同意する。
「全く、あやつときたらあれだけ言ったのに…帰ってきたらラリアット…いや、キ○肉バスターの方が…」
実に物騒な単語を呟くジロー。
普段、彼がコタロウに対してどれだけ良き兄として振る舞っているのか窺えるというものである(皮肉)。
「もう、ジローさんは。そんな怖い顔しなくてもいいでしょうに」
「む…怖い顔などしていません」
「いいえ。具体的に言うなら<アニメ化で喜んだのも束の間、微妙な作画とチグハグに挿入されたせいで解かり辛い
過去話でファンからは酷評され、新規のお客さんも食いついてくれず、DVD売り上げも爆死に終わったラノベ作品
の主人公>といった顔をしていました」
「具体的すぎるわ!」
ジローさんと妖夢さん、相変わらず仲睦まじいコンビであった。
「まあ、それはおいといて将軍さんの方はどうすんだよ?」
「彼は…後で、レッドに<何で見てねーんだよテメー>とか言われて、殴られそうな気もしますね…」
「あちゃー。気の毒に」
その時である。
『―――レディース・アーンド・ジェントルメン!大変長らくお待たせしました!』
実況が響き渡り、騒然とした場内が一瞬、静まり返る。
『戦士達は傷つき倒れ淘汰され、勝者のみが生き残る!問答無用・情け無用・容赦無用・弱肉強食の宴・幻想郷最大
トーナメント―――更なる闘いが待ち受ける二回戦、今こそ開始です!』
二回戦第一試合―――天体戦士サンレッドVS風見幽香。
暴力を旨とする二匹の野獣が今、激突する。
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