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「戦隊者は、基本的に惑星規模の事件に対し強いですからね。」(2010/03/04 (木) 19:47:37) の最新版変更点
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「オリバさんが、受刑者なわけないよね・・・」。何げなく、のび太が出来杉に言う。
帝愛の騒乱、と呼ばれる一連の暴動事件が鎮まってきた頃、のび太は出来杉と裏山にいた。
のび太は裏山を騒乱時に利用しており、通学路で暴動の便乗派から静香を守っていた出来杉を諸共に招待してから、
裏山を元に戻してからも出来杉は時折こうしてのび太と一緒に裏山へ来るようになっていたのだ。
その過程で、龍書文たちのことなどをのび太は話した。
出来杉は、自分はスネ夫が別荘等へ行くときだけでなくドラえもんたちが冒険をしているときもハブられてるなどと
不満げだった。だがまぁ、出来杉は周辺事情などへの理解も優れていて、不満げなのは本心ではなかった。
出来杉は「いや、ビスケット・オリバはまだ免刑になってないよ」。
英語が読めるだけ、C言語がわかるだけではない出来杉は学習ルームを九州のナツミちゃんどころじゃなく活用する。
オリバが筋肉で抑え込んでるもの。
それは、そういった行刑で今も問題となっているあまり強くない薬効・・・
それを強化するため、大柄なオリバが安楽のうちに罪を償える量に増量された凄惨化合物。
「知らなかったのかい? 行刑を待つ人は確定囚、服役してる人は受刑者、
だから自由刑じゃない人がブタ箱に居るだけじゃ受刑はしてない。でも彼は行刑中だから、受刑者なんだ」。
無拍子の抜き撃ちを会得したのび太だが、社会科学の知識はあまり成長してない。
尤も、中学受験にすら出てこない範囲を知ってる5年生も珍しいのだが。
「じゃあ、オリバさんは今も代謝してるのか。そんなものを宿して」。
オリバはアリゾナ州のドライブインに居た。表に自動二輪車を停めて。
ドライブインといっても宿場町みたいな規模で、街頭カメラや自販機もある過ごし易そうな街だった。
但し、冬の陽光は激しくて、それがまた周辺の砂漠地帯で反射してるから治安が良くても雨戸を閉めるのは当たり前だった。
その雑居ビルは3階にフランス料理店が入居していて、50ドルぐらい持って自分へのゴホウビに来る奴とか
景気が良いのか悪いかわからん奴らが商談に来たり、精一杯の婚活に励む奴が来てたりする気さくな雰囲気を醸し出していた。
しかし客の全員が、店の隅の床の方は見ないようにしていた。
オリバが、カブト蟲の幼虫みたいな姿勢になってウネっている。
折悪く半裸で調味用のオイルを塗りたくってるから臭くも汚らしくもないし、
味沢が平然と料理の感想とかを聞きに来るから、
客たちは味沢を「マーケティングなら間に合ってる」などとわけのわからない文句で厨房へ返すことこそすれ、
オリバを不審に思うようなことはなかった。不審といえば不審なのだが、異常ではないようなのだ。
オリバは真剣な顔で押し黙り、ただウネっていた。
力強くも月下に揺れる何らかの自然物が如きウネりは、ディスプレイとしての資格すら有ったのだ。
店の裏手には、投げ捨てられた観葉植物が野晒しになっているので、そこだけはいつもと違った。
オリバは戦っていた。だが、何も排泄しない。透明ゲボすら、吐かない。ただ、絨毯をサラサラいわせてウネっている。
そのうち、「ウゥッ!」と呻り両目をカッと見開く。クチは強く閉じられている。
客たちは、それもあんまり気にしていない。オリバと同じように、それぞれの大切なことがあるのだ。
オリバの毒が裏返った。それも、自然界には存在しない毒が一種類だけ。
それを筋肉と愛だけで抑え、そして裏返したのだ。
オリバはさりげなく立ち、そして歩き厨房のすぐ外側に積んであるキャベツの段ボウル箱を一個持ち上げると
また戻ってきて床に置いた。そして商談してる奴らの机でコール機を押した。
そしてまた来た道を戻り、段ボウル箱の前に陣取る。
オリバは無視され商談は続くが、味沢が出てくると一時中断。そして、味沢が横を素通りすると商談は再開された。
オリバは「メインをいくつか頼む」と爽やかな笑顔で味沢に告げる。厨房へ後姿が消えゆく味沢。
3分もしないうちに、カゼインをブチ込んだ小型バケツ(プリンを製造してから洗ってない)がキャベツ箱の隣に置かれた。
静まり返る店内。
小型バケツの水面は、床に置かれて微妙に波打っていた。だがさすがに、洗剤は浮いていなかった。
キャベツ箱には、味沢がポケットから抜いた紙ナプキン付きのオタマがボフッと置かれる。
小型バケツは、客達の懸念をよそに乾いてゆく。オリバが一番美味しいと思う逸品。ベスト・チョイス。
オリバが幸せそうに、小型バケツをキャベツ箱に置く。
すると間髪入れず缶コーヒーが厨房から飛来する!
客達が気付く頃、オリバのレとミの指と親指は缶コーヒーを保持している。それがまた、音も無く。
漂う闘気はハンパじゃなく、しかし素人衆(プロボクシングの他州王者を含む)はなんとなくワクワクしていた。
食後のコーヒーを終えると、オリバは一旦1階の入り口まで出てデザートとコーヒーの値段を見てくると
またレストランまで戻ってきて「書いてなかったけど、いくらかな」とレジ当番に聞いた。爽やかな笑顔。
レジ当番も、これには「シェフにおまかせと、1ドルじゃないでしょうか」としか言えない。
少額の現金を持たないオリバは、懐から輪ゴムの札束を取り出すと50ドル札を一枚抜いて両手でレジ係に渡す。
レジ係が紙幣を受け取ると、もう振り返らずにオリバはドアをくぐり歩き始めた。
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