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「天体戦士サンレッド ショートショート集(サマサさま)」(2009/12/09 (水) 19:50:45) の最新版変更点
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~~~天体戦士サンレッド・これまでのあらすじ~~~
―――2010年、世界は未曾有の危機を迎えた!
世界を蹂躙する、悪の組織フロシャイム。迎え撃つ、正義の戦士サンレッド。
今、闘いは最終局面へ―――
迫りくる悪の化身。
仮初の平和は脆くも砕かれ、絶望が世界を包む。
「サンレッド…お遊びは終わった。ここからは、殺し合いの時間だ!」
「ふ…今までお前が俺達に勝ってこれたのは、俺達が真の力の一割も出していなかったからだと思い知りな!」
「レッド!とうとうお前をぶっ殺すよー!」
鋼鉄の神は大地を蹴り、全てを破壊する。
「クックック…ゆけい、ヴァンプレイオス!愚かな人間共に我らの力を示すのだ!」
その強大な力の前に、人類に逃げ場はない。
それに乗じて胎動を始める、更なる邪悪。
「フフ…サンレッドカ。面白イ男ジャナイカ、我ト炎ノ力デ勝負シヨウトハ…」
千年の静寂を破り、動きだした伝説の悪魔。
その炎は世界を蝕み、天をも焦がす。
吸血鬼。食物連鎖において絶対の頂点に立つ、不死不滅の王。
「レッドさん…こっちももう、それなりに切羽詰まってるんでね。その首、今度こそ貰うっすよ」
人ならざる超常の力。もはや力なき人々に、安息の夜は来ない。
だが、影は光なくば生まれない。
悪に抗う<正義>は、確かに存在するのだ。
「あんた…どうしても行くのね」
「そうだよ、かよ子」
太陽の戦士は愛する女性に別れを告げて、静かな、されど凄絶な覚悟を背負い、戦場へ。
「俺は、ヒーローだからな」
「大佐殿…もはや一刻の猶予もありません!」
「分かっています、相良軍曹」
可憐な顔立ちを凛々しく引き締め、少女が号令する。
「<アーバレスト>の使用を許可します!サンレッドと共に、この世界に平和を!」
銀の刀を振るいし吸血鬼は、最愛の女性と最愛の弟に向けて、ただ笑う。
これから死地へ向かうとは思えぬ、優しい笑みを。
「ジローさん…」
「兄者…」
「二人とも、そんな顔をしないでください…私は好きなんです、この川崎市が。だから守りたい。この街を」
大地を埋め尽くし、空を覆い隠す悪の軍団。
ヒーローが絶体絶命の危機に陥ったその時、一陣の風と共に現れたのは。
「サンレッド…テメエを倒すのはオレだ。オレ以外のヤツにやられるのは許さねえ!」
魔界より来たる、超金属の肉体に熱い闘志を秘めた戦士。かつての敵はこの時、最強の友となった。
「お久しぶりです…レッドさん!」
幼きあの日、強く優しいヒーローに憧れた異世界の少年。彼は今、新たなヒーローとして太陽に並び立つ。
―――そして、全ての終焉。
「ヴァンプ将軍…全て…全てお前が仕組んだ事だったのか!」
真なる巨悪は、冷徹に嘲り笑う。
「サンレッド…今こそ雌雄を決する時だ!」
太陽を宿し、ヒーローは皆の想いを胸に、大空へと羽ばたく。
「天体戦士サンレッド・究極形態―――ファイアーバードフォーム!」
―――天体戦士サンレッドVSフロシャイム。
最後に立つのは、正義か悪か―――
―――窓の外で、チュンチュンと雀の鳴き声。ヴァンプ様は布団から起き上がった。
「あれ…なんか、すっごい壮大な夢見ちゃった」
ぽっと顔を赤らめ、ポツリと呟く。
「いいなあ…すっごくよかったなあ、今の夢。おっと、今日はレッドさんとの対決の日だった!よーし、今日こそは
絶対にレッドさんを抹殺しなくっちゃ!」
ボカッ。
されど、現実は厳しい。今日も今日とてフロシャイムの皆さんは、レッドさんにワンパンKOされるのだった。
ショートショート①炎の悪魔・再び
「サンレッド…君ニ今、敢エテ問オウ」
炎の悪魔・シャイタンは厳かに言い放つ。
「本当ニ<タコワサビ>モ<枝豆>モ好キナダケ頼ンデイインダネ!?」
「厳かに言い放つ内容じゃねーだろ、いいよ。パチンコで確変の嵐だったんだからよー。俺の奢りだ、はっはっは」
―――ここは溝ノ口のとある居酒屋。
天体戦士サンレッドと炎の悪魔シャイタンは、仲良く一緒に飲んでいた。
「あれ?レッドさんじゃないですか。それに…もしかして、シャイタンさん?」
そこに来ました、我らがヴァンプ様。
「ヤア、ヴァンプジャナイカ。久シブリダネ」
「ええ、こんばんは。また日本に来られたんですか?」
「おう。例の鎌仲とかいう奴のコンサートにまた出演するんだとさ…つーかよ、お前は何を勝手に俺らの隣に座って
るんだよ。さも当然のように」
「ハハハ、イイジャナイカ。二人ヨリ三人ノ方ガ楽シイヨ」
「ちっ、しゃーねーなー。言っとくけど、お前の分は奢りじゃねーぞ」
とてもじゃないがヒーローと悪魔と悪の将軍の会話ではなかった。それはさておき。
「そうそう、私ね、シャイタンさんやレッドさんに前から訊いてみたいことがあったんですけど」
「何だよ」
「ほら、漫画やアニメで炎系の能力者がよくやるアレ。指先に小さな火を出してタバコに火を付けるの」
「アアー。アルアル、ソウイウノ」
「二人とも炎系ですし、出来るのかなーって思って」
ウーン、とレッドさんとシャイタンは腕組みする。
「やれねーことはないけどよ…アレ、力の加減が難しいんだよ、意外と」
「ソウソウ。ウッカリシテ力ヲ入レスギチャッタラ、モウサ…」
二人はわざとらしく嘆息する。
「川崎市がなくなるな」
「ウン、ナクナル」
「ははは、まっさかー。いくらなんでも」
「いやいや、ヴァンプ。お前、俺達を舐めすぎだって」
「ソウダヨ。洒落ニナラナイッテ。マジ、我トレッドガ本気出シタラ、マジ洒落ジャ済マナイッテ」
―――神奈川県川崎市・溝ノ口は今日も平和である。
ショートショート②軍曹と大佐のさっと一品
「相良宗介軍曹と!」
「テレサ・テスタロッサ大佐の!」
「「さっと一品!!」」
ワーパチパチパチパチ(拍手)
「さあ、サガラさん!今日はどんな料理を教えてくれるんですか!?」
「はっ。戦場で役立つ男の料理です、サー!」
「せ、戦場ですか…でも、このコーナーは現代日本で生きる皆さんのための料理を…」
「いえ。今の世の中、いつ戦火に見舞われてもおかしくはありません。いざという時に逞しく生き抜くための知識を
得ておくべきだと思います」
「は、はい…では、お願いします」
「はっ、お任せください。まず、用意するものは簡単。塩とライター、あるいはマッチ。それと何か燃やすものを」
「塩…ライターかマッチ…燃やすもの…」
「そして、手近な獣を捕まえます。犬でも猫でもいいし、野鳥でもいい。とにかく肉でありさえすれば。腕に自信が
あるなら、熊か猪を狙うのもよろしいでしょう」
「いぬ…ねこ…」
「そして、獲物の血を抜きます。そうしないと生臭いので、慣れていないと食べにくいですから」
☆軍曹のワンポイントアドバイス
抜いた生き血は保管しておく事。本当に食料がなくなった時、大切な栄養源になるぞ!
「次にライターと火種を使い、焚き火をします。この際に敵に発見されぬよう、十分に注意を。そして塩を肉にしっかり
揉みこんで下味をつけて焼く。これだけです。後は豪快に丸齧り…」
スタスタスタ。一人の少女が客席から降りてきて、ハリセンを力強く構えた。
スッパ~~~~~ン!
「痛いぞ、千鳥」
「何を教えてんのよ、アンタは!このコーナーは本来<ヴァンプ将軍のさっと一品>でしょうが!なのに何でアンタ
達が出演してんのよ!?」
「フロシャイムのメディア戦略を阻止するために決まっているだろう。こうして俺がより役に立つ料理を教える事で、
奴らの魔の手に陥って洗脳された人々の目を覚ませればと…」
「その前にアンタが目を覚ませェェェェ!つーか永眠しろォォォォ!」
「で、では皆様!またの機会があればー!」
ショートショート③黒き血の兄弟
「コタロウ…お前のすべき事は分かっていますね」
「任せてよ、兄者」
吸血鬼の兄弟は、いつになく真剣な顔で、得物を手にして目線を交わす。
一体何が起ころうとしているのか!?
「ではコタロウ、お前は風呂場の汚れを落とすのです。私はリビングに掃除機をかけますので!」
「ラジャー!」
兄は掃除機を手に、弟は洗剤とブラシを手に掃除を始めた。
今日は二人の雇い主から給料を貰う日。吸血鬼兄弟は、自主的に掃除をするのだった。
(笑えないあなた…ヒモの素質があるかもしれませんよ)
ショートショート④ヒム、更なる高みへ!
魔界から来た戦士・ヒム。最近の彼はフロシャイム川崎支部にもちょくちょく足を運んでいる。
一匹狼と悪の組織という違いはあれど、やはり志を同じくする者同士、通じ合う何かがあるのかもしれない。
そんなある日の事。
「おう、ヒムちゃん。これでいいのか?」
「ありがとよ、ミイラの旦那」
ヒムは大きな紙袋を抱えて、フロシャイム川崎支部を後にした。
その様子を見ていたメダリオは、カーメンマンに問う。
「なあ、カーメン。お前、ヒムに何を渡したんだ?」
「本だよ。あいつ、レッド抹殺のための特訓するのにどうしても必要な資料だから貸してくれってさ」
「へー。お前、そんな本持ってたの。一体全体、どんな本よ?」
カーメンマンは頬をポリポリしながら、言った。
「<アストロ球団><巨人の星><ミスター・フルスイング>」
「…何の特訓する気だ、あいつは」
「そっとしといてやれよ…本人、真面目なんだよ…」
―――ヒムは後日、町内の野球大会で八面六臂の大活躍をしたそうな。
ショートショート⑤川崎支部の掟
「ヴァンプ様。頼まれてたもの、買ってきましたー」
頭巾とマスクで顔を隠したフロシャイム怪人・ヴァイヤーは、スーパーの袋をヴァンプ様に渡した。
「ご苦労様。えっと、卵に豚肉、それと…ああっ!」
ヴァンプ様は、恐るべき過ちに気付き、彼には珍しく声を荒げた。
「ヴァ…ヴァイヤーくん!ウチで飴っていったらキンカンのど飴のことでしょ!?」
―――嗚呼、世知辛くも逞しく今日を生きる者達に、笑顔あれ。
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