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*【至高と究極】 とある日の放課後――陶芸部部室の一角、焼き窯の前に二人の女生徒の姿があった。 大菩薩峠連火――陶芸部部長にして、稀代の陶芸家。 大勝百歩日高次郎極――軽音部員にして、ラーメンの求道者。 「約束のもの、焼き上がりましたえ」 焼き窯から連火が取り出したのは、ラーメン丼である。 数時間前まで窯で燃えていた炎の如く、目に焼き付く様な紅。 内側は、美しい白磁に紅の雷文、丼の底には『極』の文字―― 「ありがとうございます、大菩薩峠さん」 丼を受け取り、丁寧に頭を下げる極。 「今度は、私が約束を果たす番ですね」 そう言うと、極が『臨戦態勢』に入る。 焼き窯の側に急遽造られた、野外炊飯場の竈には既に寸胴が幾つも据えられている。 (余談ではあるが、この竈も――焼き窯も、果ては陶芸部部室も全て  大菩薩峠が『造った』ものである) 『丼を提供するから、ラーメンを一杯食べたい』―― 押しも押されもしない大陶芸家からの申し出を、ラーメン作りのサラブレッドはたやすく了承した。 ハルマゲドン勃発の折、古参魔人側に与する立場となった連火からの申し出を、 新参魔人に力を貸す側である極が、である。 「――できました」 だが、二人の――ラーメンへの情熱と、器への美学が、そんな柵を超えた。 至高の一杯には、それに相応しい究極の器を。 「いただきます」 表面に輝く背脂、琥珀色に煌めくスープ、彩りを添える数々の具、黄金色に輝く細麺。 柔らかな笑みと感謝と共に、連火はその一杯に口をつけた。

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