<解答> (田代)

音の到来方向の知覚(音源定位)に用いられる手がかりは、音が両耳に達する時間と強度である。

①両耳間時間差(interaural time difference : ITD)
両耳への信号の到達時間差は、信号間に位相差をもたらす。
θ:顔の正面方向と音の到来方向との角度
a:人の頭の半径
c:音速
としたとき、
左右の経路差 d=asinθ+aθ より
   ITD=(asinθ+aθ)/c
最小可聴角度は1°~2°であるといわれており、約20μsのずれとなる。
しかし、両耳間の最大の時間の遅れ(840μs)よりも1サイクルが短い周波数の音の場合、有効ではない。
したがって、低周波数の音について、ITDは有効な手がかりとなる。

②両耳間音圧差(interaural level difference : ILD)
頭によってできる陰影効果で、両耳間の強度差ができる。
しかし、頭の大きさに比べて波長が長い場合は、音波は回折しほとんど陰影をつくらない。
したがって、高周波数の音について、ILDは有効な手がかりとなる。

以上のように、音源定位は、低周波数についてはITD、高周波数についてはILDという二重のシステムで行われる。
これを、duplex theoryという。(システム間の切り替えは1000~5000Hzの範囲内)

その他に、頭部伝達関数(head related transfer function : HRTF)も大きな手がかりとなる。
耳介によって、陰影ができたり、フィルタの役割をしてディップ(音色づけ)が起こったりして、左右以外の方向は知覚している。
経験による聴覚システムの働きでその音色などによって定位できていると考えられる。


(ハース効果・先行音効果:複数の音源がなっているとき、最も早く聴き手に到達する音源の方向に音源定位される。)

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最終更新:2007年01月23日 21:47