119.唐の人の諱を避ける方法


 唐の人が諸々の史書を編修しようとする時には,(唐の皇帝の父)祖の諱を避けるのに三つの方法を用いた。(一つは)前(の時代の)人で「虎」や「淵」という同じ名を持つ者がいれば,その字を用いる。例えば晉書での公孫淵を公孫文懿と稱したりするようにである。劉淵は劉元海と稱し、褚淵は囘じように褚彦と稱した。石虎を石季龍と稱したりするのもこれである。
 これとちがって、(唐の皇帝の父祖の諱の)文字を刪ってしまうというのもある。梁書の蕭淵明、蕭淵藻を,ただ蕭明、蕭藻を稱したりするようにである。陳書の韓擒虎をただ韓擒と稱したりするのもこれである。
 またこれともちがって、その(唐の皇帝の父祖の諱の)文字を、似た意味(や物等)の文字に改めるというのもあり,だいたい「虎」の字があれば皆猛獸の字に改めて,李叔虎なら李叔彪と稱し,殷淵源は殷深源と稱している。陶淵明なら陶泉明と稱し,北魏の廣陽王の元淵ならば廣陽王の元深と稱しているのがこれである。その後の(皇帝の李世民の)諱である「世」は「代」とし,「民」は「人」とし,(高宗の)諱の「治」は「理」とするという類は,皆似た意味(や物等)の文字に改めるという方法である。



119.唐人避諱之法

  唐人修諸史時,避祖諱之法有三:如「虎」字、「淵」字,或前人名有同之者,有字則稱其字。如晉書公孫淵稱公孫文懿。劉淵稱劉元海。褚淵稱褚彦囘。石虎稱石季龍是也。否則竟刪去其所犯之字。如梁書蕭淵明、蕭淵藻,但稱蕭明、蕭藻,陳書韓擒虎但稱韓擒是也。否則以文義改易其字,凡遇「虎」字皆稱猛獸,李叔虎稱李叔彪,殷淵源稱殷深源。陶淵明稱陶泉明,魏廣陽王淵稱廣陽王深是也。其後諱「世」爲「代」,諱「民」爲「人」,諱「治」爲「理」之類,皆從立義改換之法。


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相墓 119.唐人避諱之法 宋書多徐爰舊本

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最終更新:2008年07月29日 13:22