557.明祖本紀

『明史』太祖本紀は大半を『明太祖実録』および『御製皇陵碑』『世徳碑』『紀夢文』『西征記』『平西蜀文』『周顛仙人伝』の書述を基本とし、この他には則ち『皇明祖訓』『皇朝本記』『天黄玉牒』『国朝礼賢録』および陸深の『平胡録』『北平録』『平漢録』『平呉録』『平蜀記』、黄標の『平夏記』、張耽の『雲南機務抄黄』、高岱の『鴻猷録』、唐枢の『国深集』、王世貞の『名卿績記』、顧燐の『国宝新編』、徐禎卿の『翦勝野聞』、王文祿の『龍興慈記』などの書物、およそ数十百種であり、おおむね全てがその採綴に資した。それでも記事を精選せず『南史』『北史』のように無駄な異聞を捜して、人の耳目を幻惑し、往々転た真実を見失ってしまうだろう。『明史』はすなわち博く群書を攬りつつ、必ず確核を求めた。思うに記事を博く取材するが、記事を審かに選択するというのが、本当の良史と言える。それぞれの史家の記述を参照しなければ、修史者がした訂正の苦心が分からないのである。

557.明祖本紀

  明史太祖本紀大概多本之實録及御製皇陵碑、世德碑、紀夢文、西征記、平西蜀文、周顛仙人傳,此外則皇明祖訓、皇朝本記、天潢玉牒、國朝禮賢録,及陸深之平胡録、北平録、平漢録、平呉録、平蜀記,黄標之平夏記,張紞之雲南機務抄,黄高岱之鴻猷録,唐樞之國琛集,王世貞之名卿績記,顧璘之國寶新編,徐禎卿之翦勝野聞,王文祿之龍興慈記等書,無慮數十百種,類皆資其採掇,然使決擇不精,如南北史徒搜異聞以炫人耳目,往往轉至失實,明史則博攬群書,而必求確核,蓋取之博而擇之審,洵稱良史,不參觀於各家記述,不知修史者訂正之苦心也。


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劉香 557.明祖本紀 皇陵碑

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最終更新:2009年05月05日 16:17