私はゲームが下手です。だから具体的な攻略法というものは書けません。
なので、ここでは「これさえ忘れなければ絶対大丈夫」という基本的な考え方だけを書くことにします。
それが私のアイドレス攻略法です。


1. イグドラシルについて

イグドラシルはアイドレスの要ともなる、ゲーム的なパラメータを決定付ける重要なものです。その選択は直接行動の幅を限定してきます。作業量的にも、必要事項を満たした絵と設定文がいるという事で、育てるたびにどの藩国も、どう育てようか、どう選ぼうか、苦労なさっていることと思われます。

ここで、「いい絵を」「いい文章を」と、自分の技量に対してプレッシャーを感じるのは間違いだという事をはっきりと述べておきます。

技術とは、心の中にあるものをこめるためにあり、クオリティは、どれだけ心がこめられた作品かで評価されるから、結果として技術の高い人の方が、より強く心を込める事が出来るというだけで、そこに心を一度込めたなら、誰一人、何一つ、本気で出した己の技量を、己の心を恥じるべきではないと、私はそう信じています。自分を信じられない人間に、他人を信じることは絶対に出来ません。

イグドラシルは、心の束ね。
束ねた結果であって、束ねるきっかけではあっても、チェックをただ通過したからといって、心を束ねた事にはなりません。自分達がどこを目指しているのか、それを思い出し、定期的に確かめるためのきっかけでしかありません。

心に目指すということは、忘れないということです。忘れないということは、迷わないということです。

目指すところが同じなら、どんなに価値観や趣味の異なる人間も、同じ方向へと歩いていける。
目指すところを、いつも忘れないでいられれば、力を合せ続けることが出来る。

それが、アイドレスが一人のゲームではない理由。イグドラシルの育成が、「一人の上手で早い作者」に任されるべきものではなく、みんなでアイデアを持ち寄って、それに従ってみんなで力をあわせて達成するべきものである理由だと、私はそう考えます。そうして生み、育まれたイグドラシルの方が、一人で作られた素晴らしいイグドラシルより遥かに価値がある。

また、舞台がアイドレスである以上、一人で自己満足の作品を作っていると思っている時でさえも、絶対孤独な一人遊びにはなりません。それは誰かと笑いあうためにある、自分というものを固めるための、大事な時間。

藩王は、自分が目指している『心』を決して変えず、常に口にし、実際に行動で示し。
それ以外の人達は、自分がどの藩王の掲げている『心』についていくべきかを見極め、その藩王を信じ、藩王の進んでいる道に少しでも変化があれば、どうしてなのか理由をちゃんと聞き、それが『心』変わりなら、その変化を当然のものと納得してついていくか、それとも袂を分かつか、ちゃんと二人で話をして、ちゃんと選ぶこと。仲間の『心』が見えなくなったら、『言葉』でちゃんと確かめ、はっきりするまで厳しい態度を取るのも辞さないこと。

それ以外に必要なことも、それ以上に必要なことも何一つないと、私はそう考えます。
信じるとは、相手が自分にとって曖昧な状態のままなのに、それを見守っていると言い訳して自分と相手を甘やかすのではなく、間違っていたり、迷っていると感じたら、時には決定的な対立もためらわずに激しく行動して目を覚まさせる、そういう行動のことだと思っています。

行動するなら、徹底的に、ためらわず。
自分が何をしているのかはっきりと自覚をしなければ、せっかくの勇気の力が半減してしまうから、自分の、そして相手の『心』を見失わないようにだけ、努力をしてください。

イグドラシル。
アイドレスの象徴的な存在。
その育成にはこれだけの大事な基本が込められていると、そう誰もが真顔で本気になって反論に対して徹底的に語れるようになれば、アイドレスの攻略は、確実に前よりもっと簡単になると、私はそう信じています。


2. たった一人であるということ

ここまで強い言葉で語ったことをお許しください。人にはいろんなタイプがあって、強いものを好む人もいれば、そうでない人もいることを、承知の上で強い言葉を語らせていただきました。

アイドレスは一人のゲームではありませんが、アイドレスを遊ぶプレイヤーは、いつだって一人です。大事な大事な、たった一人です。

人を信じるというのは、強い行動でだけ成り立つものではなくて、もっとやんわりとした、普通の日常の積み重ねの中にも当たり前のように溢れています。どんな人でも日常の中に生きていて、強い、意志と信念なんていうものは、意識しないでいる時の方が多くて普通なんです。

チャットには顔を出しているでしょうか。
BBSに書き込みは?
メッセンジャーで個人的でくだらない、まったくアイドレスと関係のない話をしたり、メールのやりとり、日記へのコメント、何かの作品に対するちょっとした感想、そんなものを当たり前とする日常を、アイドレスの中で過ごせていますか?

馴れ合いといって突き放せば、斜に構えて格好のよい響きにも感じられるかも知れませんが、要するに、そこから外れることは、ただの一人ぼっちです。アイドレスに参加していることにはなりません。

時間がない。そこまで本気を出してやるほどのものじゃない。たかがゲーム、気楽に遊びたい。
それでいいと思います。

でも、一人のゲームではない以上、参加する時にその考え方をはっきり言っておかないでいるのは周りに対する壁を作ることであり、信じることが前提のゲームの中で、そうと気づかなくても周りの信頼を裏切ることです。それは寂しくも格好のいい孤立でも信念ゆえの孤独でもなんでもなく、ただのルール違反。

感情を口にしないのは美徳じゃないです。
感情を口に、できないのは、けれども絶対に悪いことじゃない。
人はそんなに強くないから。

けれども、最後の最後、アイドレスから……
みんなから離れるという決断をした時だけは、必ず誰かに言うようにしてほしいと、そうお願いをさせてください。

都合で来られなくなるよと嘘をつくのでもいい。

何も言わないことは、インターネットだけでつながっている、アイドレスの世界では、本当にいないことと同じなのだから。


3.宇宙(ネット)

宇宙と書いてネットと読む。アイドレスの一番最初に語られた、象徴的な言葉です。
ネットとは、当然ですが、つながりそのもののこと。つながりは、どこかで入り口を閉ざされたら、あっけなく止まります。

たかが藩国、たかが天戸。
苦労をして運営し支えてきた誇りあればこそ、簡単には認めるわけにはいかない「たかが」の一言ですが、繰り返しますが、アイドレスの世界は「つながりそのもの」が「世界そのもの」という設定であり、設定だけじゃなく、実際にもそうです。区切ることにこだわって、自分を特別なものにしようとした時、アイドレスの世界は確実に一つ、小さく弱くなります。

あなたの言葉に自覚はあるでしょうか。
あなたの言葉に、アイドレスの全員からいつも見られているという自覚はあるでしょうか。
あなたの言葉に、まったくアイドレスを知らない、まったく自分を取り巻く環境のことを知らない人達から見られているという自覚はあるでしょうか。

入り口が閉ざされた瞬間からアイドレスは終わっていきます。人にはたった二つしか手がついておらず、一つは自分を誘った相手とつながっているのなら、もう一つ、入り口を閉ざすだけで、アイドレスは確実につながる先を失い終わっていきます。

アイドレスよ終われと願うのではない限り、アイドレスにおける公とは、たとえどれだけ自分達の場所として限定されたはずの空間であっても、ウェブ上に公開されているすべてのスペースだと、自覚を忘れないでください。

自分の言葉は、まず最初に、自分自身に対して投げつけられてから、外へと飛び出ていくのだということを、忘れないでください。

それがアイドレスを、攻略するのではなく、遊ぶための、たった一つのマナーです。
遊んでいなければ攻略もへったくれもありません。

どうぞあなたの言葉があなたに対して自覚的でありますように。


4. 最後に

ここまで徹底的に具体的な攻略法を、本当に一切書きませんでした。
それにはある一つの理由があります。私がゲームの下手なこと以上に、もっと大事な一つのことが。

情報とは、青き心の報せと書きます。
アイドレスは情報で出来た世界です。
それは、心で出来た世界ということです。

はっきりいって、具体的な攻略法なんてどうでもいいと思っています。
前提をいきなり最後でひっくり返すなよとお思いになるかもしれませんが、私は繰り返し語っているように、ゲームの下手な、とびきり下手なプレイヤーで、前線で指揮を取り勇気ある決断をすることも出来なければ、緻密な予測を立ててどんぴしゃりとプレイングをすることも出来ません。当然、どうすればそんな芸当が可能かなんて攻略法は書けません。

けれど、それを出来る人達がアイドレスの中にはいます。いてくれます。

その人達と共に居、その人達を支え、その人達とふれあい、その人達から学ぶには、その人達とつながっていなければ出来ません。だから私は書きました。誰かと心でつながっていられる方法を。それが、私なりのアイドレス攻略法です。

忘れないでください。

人間にとり、心というものがすべてなのだという事を、忘れないでください。

ゲームはそれを確かめるきっかけ。

勝つ事も、生き残る事もゲームの最終的な目的にはなりえません。

心に目指す目標は、そんなちっぽけなものじゃない。

あなたの「好き」は、そんなちっぽけなものじゃないはずだ。

ゲームに勝つことが喜びなのではなく、喜びがそこにあるから勝つのです。

どうか心の順序を忘れないでください。

それでは、これを読んだあなたによりよいゲームのありますことを祈って……

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The undersigned:Joker as a Clown:城 華一郎(じょう かいちろう)

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最終更新:2008年01月29日 00:15