悪魔
L:悪魔 = {
t:名称 = 悪魔(NPC)
t:要点 = 巨大な爪,知性のある目つき,巨大な化け物
t:周辺環境 = 夜
t:評価 = 体格30,筋力30,耐久力30,外見-20,敏捷0,器用10,感覚8,知識25,幸運-10
t:特殊 = {
*悪魔は同性能の108柱が現れ、逗留する。
*悪魔は都の結界が破られるまでは、貢ぎ物を使った交渉を行うことで味方する。
*悪魔は飛行できる
*悪魔は全距離戦闘行為が出来る。
*悪魔はAR15として扱う。
}
t:→次のアイドレス = 地獄の出現(条件付きイベント),地獄の鎧(アイテム),悪魔の剣(アイテム),悪魔を封じた指輪(アイテム)
}
巫と悪魔
闇の向こうに危険な動物が潜み、いつ襲ってくるかわからないから。
そして時は流れ、堀を割り塀をめぐらせ集落が町となってからも、夜の闇は変わらず人を怯えさせるものだった。
闇に乗じて猛獣に襲われることはなくなったが、替わりに物の怪や妖と呼ばれるものが闇の住人となったのである。
(もちろん夜だけでなく昼間に活動をしているものもいるが、ここでは大半が夜活発に活動していることからこのような書き方をしている)
静かな夜に、灯りの届かない部屋の隅や自分の背後に何かがいる気配がしたら
飲んで帰る道で、一人のはずなのに後ろから足音が聞こえたような気がしたら
そこには目に見えない何者かがいるのかもしれないのだ。
もちろん人外の存在がすべて人に害をなすというわけではないため、すべてを恐れているわけではなく、おそれうやまっているというところか。
そういったお国柄だったせいか、神聖巫連盟の夜に新たな住人が加わったことも国民には比較的穏やかに受け入れられた。
国民は、この新しい住人に対しても古くからいた人外の者と同じように畏敬の念を抱いた。
ちなみにこの場合、為政者たちが何もしないうちに国内に夜の住人が広がっていたわけではない。
式神使いや式使い、悪魔使いといった職に就く人々の力を借りて、国民にどんな形であっても害をなさないように契約が結ばれていたのである。
そしてあってはならない万が一あった場合に備えて、国で専門に対処を行う部署が作られもした。
人と人外の者とが共に暮らしていくことのできる環境が整えられていったのである。
*
悪魔目撃談
そこに、一人の小柄な老人がいるようになったのはいつからなんだろう
少なくとも僕が仕事で政庁に時々顔を出すようになってからはずっといる気がする
……なんでこんなことを思ったかって?
その老人をずっと観察していたわけじゃないけど、誰かと話をしているところを 見たことがないんだ
そしてこの国で、それはちょっとおかしなことなんだ
国民みな家族ってわけじゃないけど、普通は少なくとも近所の人とかとはとても仲がよくて 毎日会う人だったらご近所さんとかじゃなくても親しく話すようになるものなんだ
なのに 毎日いるはずの あの老人に 話をする人が いない
それに、これは観察していて気づいたことなんだけど、道行く人 みんなあの老人をまったく気にしていないみたいなんだ
すぐ近くを歩く人がちらりと目をやることもなく、同じ広場でお店を広げている人が話しかけにいくでもない
うーん 今度話しかけてみようかな
いつもと変わらず石に腰掛け自然と一体になっている老人に声をかけることにした
「あの すいませ……」
声をかけようとした、その声をさえぎって老人が小さく、だがはっきりとした口調で言った
『ここのところ視線を感じていたのに接触してこなかったから不思議に思っておったが、異世界の者じゃったか』
「え?」 (異世界の者って……
『ワシのことが気になるのならば夜に森へくるといい』
目線を動かすこともなくそういうと、老人は僕に興味をなくしたかのようにまた道行く人々を眺めているようだった
なんだか話は終わりで“さっさと消えろ”というオーラが出てたので、僕はひとまずこの場を去り夜を待つことにした
夜になるのを待って、森へと足を運んだ。
月がきれいな夜だった
でも、その月はなんだか赤くて 少し心がざわついた
そしてその森には、昼間と同じ格好で僕を待っている老人がいた
近くまで行って夜の挨拶をしてから気がついたことだが、月の光に照らされた顔は昼間の好々爺とした印象とは違い、口元には笑みを浮かべながらも知性のある目つきをした、どこか信用できないような そんな顔だった
『で、私に何の用かな』
……どうやら違っているのは顔つきだけでなく、声も口調もだったようだ
「この国の人とはどこか違う、あなたは何者なんですか」
どんな聞き方をしようかと、いろいろ考えて来てはいたけれど 老人の様子を見て、ストレートに聞いていた
『私は……悪魔さ』
そんなことをさらっと言う老人 正直何を言っているんだろうという感じだ
『ま、いきなり言われても信じられないわな』
そう言うと 老人は立ち上がった
そして何事かつぶやいたかと思うと……むくむくと体が大きくなり、老人は巨大な化け物へと姿を変えた
手には巨大な爪、口には牙、そして大きな体。そこにいたのは、悪魔というか、巨大な化け物だった
「ひいぃぃぃ」
突然の出来事に驚き、腰を抜かす僕の上からその化け物の声が降ってきた
『がっはっは。そんなに驚くとはな。とって食いはしないさ。』
続いて黒い巨体がしゅるしゅると縮んだかと思うと、また別の姿になった。
くるりと巻いた羊の角に黒い皮膚、黒い翼、伸びた尻尾と赤い瞳
その黒い化け物は、全身で悪魔であることを主張しているかのような 実にわかりやすい姿だった
……まぁ姿がいかにもな悪魔だろうが巨大な化け物だろうが、驚くことには変わりないのだが
『はっはっは そう驚いてもらえるとやりがいがあるな』
悪魔は笑うと次は蛇のような足?をもった女性の姿に変わっていた
『こんな姿にもなれるんだけど、お好みはどれかしら?(はあと』
「もういいですから……最初の姿に戻ってくれませんか」
ついでに言うと、その女性の姿は ちょっと目のやり場に困るものだった
===
悪魔は老人の姿に戻り、二人近くの石に腰掛けて話の続きをすることにした
「さて、悪魔……ですか。では、その悪魔であるあなたは 昼間の広場で何をしているんですか」
『悪魔の仕事さ』
(悪魔の仕事というと 人を堕落させたり魂を集めたり?
すると悪魔はそんな疑問に、親切にも(心を読んで)答えてくれた
『私の仕事は人の願いを叶えることさ』
で、後に続く説明によると、悪魔とは様々な形で人と取引をするものらしい。
この悪魔は、心の底に叶えたい願いを持つ人を嗅ぎ付け現れるらしい。
そしてその人と取引をし、対価と引き換えに願いを叶える手伝いをするのだという。
ちなみにこの対価、“魂”という曖昧なものではなく“有形無形問わず、その人がもっとも大切にしているもの”らしい。
騙して命を奪ったりウソをついたり とかはルール違反らしい。あくまでも同意の上の取引で。
で、なんでも持ち主の強い想いが宿る“大切なもの”は、悪魔にとって価値があるとかなんとか。
「ん? ではここに姿を現しているということは……私が願いを言う ということですか?」
『いや、お前さんは違うよ。仕事時間外で暇だったからこうしてしゃべっているわけさ』
「そうですか」
『まぁ、なにかあったら言うといい。こうして出会ったのも何かの縁だろう、安くしといてやろう』
笑いながらそう言うと、悪魔は腰を上げた
『さて、私はそろそろいくとしよう』
『あぁ、言うまでもないが私のことは内緒にしてくれたまえ。たまにどこからか情報を手に入れた馬鹿者がやってきたりするのでね』
(とはいうものの、どうせ「悪魔に会った」なんて言っても信じてもらえないんだろうが……
どこへ行くのかと悪魔の背中を目で追ってみたが、森の闇に溶けてよく分からなかった。
「んむー “悪魔”か。気になるからちょっと調べてみるかな」
月明かりに照らされながら、ひとりつぶやいて帰路についた。
その日は体が疲れていたらしく、家に着いたらそのまま眠ってしまった。
……いた
昨日の悪魔は、老人の姿でまたいつもどおり風景に溶け込んでいた。
あんまり話しかけるのもどうかと思ったので、とりあえず会釈だけして仕事に向かう。
「ぜんぜん人と話しているところを見ないけど、儲かってる(?)のか?」
そんな考えが浮かんだが、すぐに頭を切り替える
さぁ 仕事しよ
調べるのはゆっくりでいいかな どうせ国内には資料ないだろうし
ヴァンシスカに聞いてみるのもいいかもしれないし……
===
そんなこんなで
神聖巫連盟には悪魔がいるようです。
ページ製作:雹
最終更新:2009年01月18日 21:34