ムネオ日記


2010年11月3日(水) 鈴 木 宗 男
 1日、ロシアのメドベージェフ大統領が国後島を訪問した時、北方領土返還運動原点の地、根室市では元島民はじめ、市民が集まり緊急集会を開き「返せ北方領土」と書かれた鉢巻きを着け「島を返せ」と七度、シュプレヒコールしている。
 外交は政府の専管事項である。ロシアに向けて声を出すのではなく、何故日本政府に向けて「領土問題解決に向けて首脳会談を行え」「外務省はまじめに取り組んでいるか」「政府はもっと真剣に領土問題をロシアに訴えれ」と叫ばないのか。
 橋本、小渕、森政権迄は日露関係は良好で、領土問題も前進し、島は近づいた。小泉政権以後はどうなったか。政治のツケ、外務官僚の不作為で今回のような状況を招いている。元島民も根室市も政府に向かって声を出すことをお勧めしたい。外交交渉は、国対国のやりとりであるのだから。
 それにしても平成13年3月25日イルクーツクでの森・プーチン会談は、一番島が近づいた時期だった。その一ヶ月後小泉政権が誕生し、田中外相の登場である。冷戦時代の、四島一括に戻ってしまい、積み上げてきたものが無くなってしまった。
 外交は積み重ね・信頼が基本である。基本を忘れて良い外交は出来ない。小渕首相が倒れなければ、森首相がもう一年続いていたら、と政治の世界「タラ」「レバ」は無いことは承知しているが、思い起こす時、何とも言えぬ無念さ、悔しさが込み上げてくる。歴史を作るというのは、難しいものである。
 しかし、昨日の一部朝刊で、鈴木宗男、橋本龍太郎、森喜朗らの時は、ロシアとは太いパイプがあったと書かれている。テレビでも、テリー伊藤さんは「鈴木宗男さんみたいな人が居ないと駄目だ」とのコメントもあった。日露関係の事が話題になる時、「鈴木宗男」という名前が出るだけでも私は国益にかなう仕事をしてきたと自負するものである。
 人を批判するのは結構だが、一所懸命頑張った者が否定され、何もしないのが良いとされる社会は衰退していくのみである。
 私以上にロシアに一所懸命取り組んでくれる政治家の出現を待ちたい。私は与えられた立場、環境で少しでも北方四島解決に向けて世論喚起をして参りたい。

2010年11月2日(火) 鈴 木 宗 男
 新聞・テレビ・メディアは、昨日のロシア メドベージェフ大統領の国後島訪問の話題、ニュースで持ちきりである。
 不思議でならないのは、日本のモスクワ大使館・ユジノサハリンスク総領事館はどんな情報を外務本省にあげていたのか。

 『10月28日、在モスクワ日本大使館で記者会見した河野雅治駐露大使に記者団から「メドベージェフ大統領が11月早々に北方領土を訪問するとの情報がある」との質問が集中した。
 大使は「噂はあるが、具体的な計画があるとは承知していない。準備している話はない」と語った。大統領が国後島を訪問する4日前のことである。(産経新聞2日3面)』

 佐藤優さんも

 『日本外務省は「メドベージェフ大統領の北方領土訪問はない」と分析を誤った』

 と、同じく産経新聞で述べている。
 外務官僚の不作為が大きく国益を損ねている事は事実である。
 情報戦に初めから負けていたのでは話にならない。
 メドベージェフ大統領の国後島訪問をうけ、面白い事に菅首相はじめ野党のコメントも「遺憾だ」と言う表現で一致している事だ。

 「菅首相は1日午前の衆院予算委員会集中審議で「(北方領土は)我が国の領土であるという立場をずっと一貫して取っているので、その地域に大統領が来られたというのは大変遺憾なことだ」と、述べた。
 外相も「日本の原則的立場と全く相いれず我が国、国民の感情を傷つけるもので極めて遺憾だ」と強調した。(読売新聞1日夕刊1面)

 『自民党の石破政調会長は1日「極めて遺憾だ。今後の日露関係にいい影響を与えない」と記者団に語った。
 公明党の山口代表は国会内で記者団に対し「極めて遺憾で政府として厳重に抗議すべきだ」と求めた。
 社民党の福島党首は「極めて遺憾だ。政府は北方四島の返還が進捗(しんちょく)するよう努力してほしい」と述べた』(読売新聞1日夕刊2面)

 遺憾という言葉が与野党これほど使われた事はめずらしい。合せて臨場感・切迫感のない他人事(ひとごと)・評論家的いい方ではないか。
 北方領土問題解決に向けてどうしたらよいのか。小泉政権以後の不作為はなかったか。この空白の10年はどうしてか。大統領の訪問をきに、どうしたら解決につながるのか、前向きな話が出てこない。
 唯一、福島党首が「政府は北方四島の返還が進捗(しんちょく)するよう努力してほしい」と話している事が救いである。
 こうした時、強硬論を言うのは簡単だがそれで問題解決、先につながるのか。よくよく冷静に考えて頂きたい。
 外交の場合、責任ある政治は運動をしているのではなく、交渉し結果を出さなくてはいけないのだ。日本の主張だけをして通るのはよい外交ではない。
 外交には相手がある。お互いの名誉と尊厳がかかっている。この上で戦略・戦術をよくよく考えて進めていくしかないのである。
 無責任に対抗措置をとるとか、経済面を含めた厳しい対応をすべきとか、横浜APEC(アジア太平洋経済協力首脳会議)で日ロ首脳会談をするべきでないとか、さもさもの様に強く出る事が愛国者で、日本の声を代表するかのごとく振舞う人がいるが、それで何か成果があるのかとお尋ねしたい。
 ロシアは日本の経済力を今や期待していない。日本の応用技術には大きな関心と協力は期待している。首脳会談を拒否してもロシアは何も痛くも痒くもない。逆に話し合いの機会を無くすことは日本にとって不利益になる。現実を直視しなければいけない。空想的解決を何億回言っても、島は1ミリも近づいてこない。離れていくだけである。現実的解決に向け今、何をしなければいけないのか。菅首相はよく考えるべきであり、言葉の遊びをしている余裕はない。
 日本として2012年のロシア ウラジオストックAPECに最大限の努力はします。経済の近代化イノベーション化に世界一の日本の応用技術を活かす用意があります。ロシアと日本の協力が世界に貢献するのです。両国最高首脳が確認している未解決の係争地域である北方領土をメドベージェフ大統領と私で歴史の1ページを作りたい。その為には日ロ関係に造詣の深い鳩山前首相を私の代理として派遣します。鳩山前首相の発言は私の発言です。是非とも大統領ここは現実的解決に向けてお互い腹を割って話し合いましょうと、日本がカードを切って行くべきである。
 北方領土ビジネスの第一人者と言われる、袴田茂樹青山学院大学教授は

「アジア太平洋経済協力会議(APEC)で首脳会談を拒否するくらい、強い姿勢を示さなければ日本は北方領土問題をあきらめたと思われかねない」(読売新聞1日夕刊2面)

とコメントしているが、「首脳会談を拒否して困るのは日本ではないのか。ここでも身勝手な自分の生き残りしか考えない不届き者がいる」と正論を言ってくる人がいる。
 世の中きちんと見る人は見ていると感じた次第である。

2010年11月1日(月) 鈴 木 宗 男
 ロシアのメドベージェフ大統領が、今朝の9時17分(現地時間10時17分)、国後島を訪問した。ソ連時代を通じて、ロシアの最高指導者が訪問したのは初めてだ。昨夕、私のところには、明日の日本時間10時(現地時間11時)に国後島を訪問すると港湾庁関係者からの情報として既に入っていた。
 メドベージェフ大統領が北方四島を訪問するという話は以前から出ていたものである。
 この間、モスクワの日本大使館、外務省はどんな情報を得て、また、政府はロシアに対してどういう動きをしていたのか。全く見えてこない。
 午前の予算委員会でも、菅総理は「北方領土は我が国の固有の領土であるという立場を一貫して取っているので、その地域に大統領が来たというのは大変遺憾なことだ」と述べている。前原外相は「事実確認はまだしていない。日本の原則的立場と全く相容れず、我が国国民の感情を傷つけるものだ」と言っている。まるで他人事(ひとごと)みたいな話だ。
 10月26日付のロシアの国営ラジオ「ロシアの声」(旧モスクワ放送)の日本語放送は、既にロシア政府としてのシグナルを日本政府に向けて発信している。こうした情報を、外務省はどう受け止めていたのか。
 ここで大事なことは、ロシアに厳重抗議をするとか、あるいは日本のモスクワ大使の召還だとか、強硬な姿勢を取らないことである。
 日ロ両国の最高首脳は、「北方四島は日ロの係争地域であり、未解決の地域である」と認めているのだ。過去の全ての約束、条約、宣言、声明等に基づいて、話し合いで解決することになっている。ここは大人の対応をすることだ。
 こういう事態になると、よく居丈高に強硬論を言う人がいるが、それは逆に国益を損なう話である。
 今も私のところには、古釜布のロシア正教前で、メドベージェフ大統領の隣にホロシャビン・サハリン州知事がいて、現地のテレビ局のインタビューに答えているという情報も入っている。
 とにかくここは腹を据えて、新たな戦略・戦術を考えるしかない。

 15時のNHKニュースは先ほど私がムネオ日記(13:00更新)で触れた、ロシア正教前でのインタビューの映像が出ていた。
 正しい情報だったわけだが、日本外務省・ユジノサハリンスク総領事館はどんな仕事をしていたのか。前原外相はベールイロシア大使に抗議するよりも外務省欧州局長に対してどんな情報を収集し、いかなる仕事をしていたか検証すべきである。
 メドベージェフ大統領の国後島訪問を機に、日本としては領土問題解決に向けて横浜APECで十分時間をとって、平和条約交渉の話し合いをしましょうと、前向きのメッセージを今日中に出すべきである。
 今、北方四島は残念ながらロシアに実効支配されている。
 その島に「行くな、やめろ」と言っても日本の権限はおよばない。領土・国境制定・国家主権に関して解決できるのは日ロ両国の最高首脳の決断しかない。
 冷静に先を読んで大人のゲームをしていく事をおすすめしたい。

 メドベージェフ大統領の国後島訪問でテレビ・新聞の取材が多数きたがムネオ日記に出ている事を話させていただいた。
 昨夕、退院する。今後の予定は11月10日に切除後の病理組織の結果説明を受ける。わかりやすく言うと食道がんの転移の可能性があるかないかである。
 その結果によって次の対応を考える事にする。
 ここはお医者さんに任せるしかない。






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最終更新:2010年11月03日 14:44