Vol2 「ミノルタSR-T101初期型の巻上げを軽くする」


ミノルタの傑作中の傑作、SR-T101には大きく分けるとシャッターダイヤルが黒い初期型と銀色の後期型があります。
製造時期 シャッターダイヤル 巻き上げ ミラーアップ 備考
最初期型 (やや)重い 初期型とは細かな点が異なるのみ
初期型 (やや)重い、一部軽いものあり
後期型 軽い ブラックはダイヤル黒いが、形状が初期とは違う
最後期型 軽い

さて、私が使用しているSR-T101は黒ダイヤルの最初期型です。巻き上げははっきりいって重いです。SR-1の方が軽いですね。(SR-1も最初期型はとても重いのですが私のはいろいろ加工して軽くしました)
しかし、後期のものは比べ物にならないほど軽いのです、感動するほど・・・お店のジャンクでも・笑
でも、ちょっとした改良だけでそこまで軽く出来るとは思えないのです、初期型でももっと軽く出来るのでは?(本当はもっと軽いはずなのが、経年変化(?)で重くなっている)と思ったのです。
結果的に、これは当たりだったようです。

(少なくとも)初期型の分割巻き上げ機構は、非常にシンプルな設計になっています。
巻き上げレバーが取り付けられている外軸にコイルバネを繋ぎ、巻き上げ、シャッターチャージ等につながる内軸にはめ込んであるだけです。
巻き上げ方向に回すとバネが内軸を締め付けることで外軸とともに回転し、戻す方向ではバネが緩むので外軸だけがフリーに回転します。この部分は金属の筒で覆われていますので普段は見ることができません。この中が油切れか、金属粉・ごみの類が動きを悪くしているのではと見当をつけました。それ以外の部分に注油しても何の効果も無かったからです。

シャッターボタンの下にあるカニ目を回すと(逆ネジです)この部分を分解できるものの、恐ろしく強力にしめこんであるし、これまた強力なスプリングが使われているので元に戻すのは難事ですから分解したくありません。
そこで、外から見えている筒にドリルで穴を開け、洗浄・注油しようと思いました。

センタポンチなんて使うのは論外、リューターに球状ハイスビットをつけ目印とします。
2箇所穴を開けないとオイルが入っていきません。
後は1~2mm程度のドリルで穴を開けるだけですが、内部のバネを切ってしまうとお釈迦ですので慎重に行います。

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ブレーキクリーナーを流し込むと、真っ黒になって流れ出します。汚れまみれだったようです。2回ほど洗い流して、シリコンオイルを吹き込むと、今までの重さが嘘のように軽く巻き上げられるようになりました。

ただ、なんとなく摩擦が感じられるので、底部を開けてみました。クランクなど摩擦が起きそうな部品は底部にしかありません。
よく見てみると、巻き上げ軸の真下にある勾玉型カムによって押される部分についているコロが回転せず、滑っています。はずして見てみると、偏磨耗してしまっています。

そういえば、こういう部分にボールベアリングを使っているカメラを良く見ます。そのようなカメラは総じて巻上げが軽いですね。
ちょうどいい大きさのベアリングが東急ハンズに売っていた記憶があります。早速見に行きました。

メーカーはミネベアかNTNか分かりませんが、682という品番のものです。1個400円くらいですかね。
ローラーはカシメで取り付けられているのでドリルで取り去り、ベアリングを適当なネジとナットで取り付けました。

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これを元通り組みなおしてみると・・・さらに巻上げが軽くなっています。これはすごい・・・!
同じカメラとは到底思えないほどの効果がありました。大成功です。

(中期型以降のSR-T101、SR-Tスーパーではローラーの高さが違いますからベアリングを入れることは出来ません。またSR101、輸出用機は分かりませんが、SR505は101初期に近いものに戻っており、ベアリングを入れることが出来ます。)

追記:軽いといってもどれくらい???って感じですよね、XEb、つまりXEとほとんど同じ巻き上げトルクになっています。Canon Pよりは間違いなく軽いです。いろいろ調整次第ではここまで軽くできるということです。

※必ずここまで軽くなるとは限りませんよっ!(汗)
徹底的に負荷軽量化しないとここまで軽くするのは無理です。



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最終更新:2010年02月07日 10:34