Vol 1 「CR1/3N電池」


CR1/3Nという電池があるのをご存知でしょうか。名前に分数が入っているという変な電池です。
CRの名が示すようにリチウム電池です。公称電圧は3V。
以前から、「この電池の直径がLR44によく似ているな、しかも高さがちょうど2倍では?」と思っていました。電圧もLR44の2倍ですね。
しかし、手元のカメラはほとんどのものが1.35V動作ですから使い道がありませんでした。
(以前ビュッカーさんに頂いたエルニカで実験してみようと思ったのですが、ちょっと使わないうちに全くシャッターが動かなくなっていました。BCランプも点かず、うんともすんとも言わなくなりました。ビュッカーさん申し訳ありません、必ず復活させますm__m)
このたび、G13電池(つまりSR44)を直列2個使用するMINOLTA XEbを手に入れましたので、これで実験したいと思います。
しかし、SR44とCR1/3Nは公称容量も同一なので、おそらく電池が長持ちするということは無いでしょうね。100円ショップでもSR44が手に入る時代ですからあえてこの高価な電池を使う理由はなさそうな気もしますが、まあせっかく購入しましたので使ってみることにします。

※参考
名称 種類 電圧 容量
CR1/3N リチウム電池 3.0V 160mAh
SR44 酸化銀電池 1.55V 160mAh
LR44 アルカリ電池 1.5V 100mAh
PR44 空気亜鉛電池 1.4V 540mAh
MR44 水銀電池 1.35V 230mAh

圧倒的に空気亜鉛電池が高容量ですね。


奥がCR1/3N、手前はLR44を2個重ねたものですが、寸法は全く同一ですね。

で、XEbに入れましたが、普通に使えました。
SR44を入れたことは無いので実際のところどれだけ持つかは不明です。この電池が切れたらSR44を入れてみることにします。


追記(2007/4/15)
電池を入れてから2ヶ月が経ちます。その間電源はほとんどずっとONのまま、レンズキャップもせずシャッターもかなり切っていますが、まだ電池切れしていません。
CR1/3Nは長持ちするのか、それともすぐに電池切れするといわれるXEは漏電しているのか?・・・今のところ不明・・・


2007/5/14
まだシャッターは切れますが、バッテリーチェックがかなり暗くなったので、切れたものと判断しSR44x2に交代します。
CR1/3Nの持続期間は3ヶ月強でした。

2007/5/26
なんと11日間で空っぽに・・・
100円ショップのSR44ですがバッテリーチェックすらまったく点かなくなりました。
100日以上持ったCR1/3Nに比べ1/9しか持たなかったことになります。これはCR1/3Nを使うほうが経済性が良いでしょう。
ちゃんとしたSR44を使わないのがいけないって?でもmaxellやFujitsuのSR44を2個買ったらCR1/3Nより高くなっちゃいます。

酸化銀電池やアルカリ電池と比較して、リチウム電池は非通電時の無駄な電力消費が非常に少ないので実際の容量は同じでも大きな差が出たようです。
推測ですが、リチウム電池の強みが発揮される未使用時間が非常に短い、つまり常にシャッターを切るような使い方をするとSR44とCR1/3Nの差は縮まるものと思われます。

結論:よほど酷使しない場合、SR44とCR1/3NならCR1/3Nのほうが経済的!
※保証は出来ません。また、内部抵抗や連続負荷許容量の違いから、メーカーがCR1/3Nを使用しないように推奨しているカメラもあります。なおミノルタXE・XEbは公式にCR1/3Nに対応しています。

※内部抵抗とは、簡単に言えば電池が瞬間的に電流を流せる能力の大きさのことです。
電気的には、無限に電流を流せる電池にそれを制限する抵抗器をつないだものとして考えるので「内部抵抗」。内部抵抗はすべての電池に存在し、内部抵抗が高い電池ほど電流を流す能力が低いことになります。
したがって、電流を一度にたくさん流せば流すほど電圧が下がっていき、あるところで電圧が0になって電流が流せなくなります(現実にはそこまで流すとショートしているのと同じになり、電池が発熱・液漏れして危険)。
この内部抵抗は、電池の種類により異なります。簡単に言えば以下のとおりです。
内部抵抗
高い← マンガン電池 アルカリ電池 酸化銀電池 水銀電池 リチウム電池 →低い
昔のカメラはこの内部抵抗を利用して過電流防止とする設計のものがありました。特に初期のプログラム電子シャッター搭載カメラがそうです。
この手のシャッターは開いている時だけ大電流が流れますが、その電流の管理がアバウトで、水銀電池じゃあそんなに電流流れないだろうから過電流保護はいらないだろう、という設計になっているものがあります。
このような回路では、想定外の内部抵抗の低い電池を接続すると過電流防止が働かず、回路に異常に多い電流が流れて回路を破壊する可能性があります。
特に今回のカメラのように直列に電池を並べる機種は、アルカリ電池や酸化銀電池を2つ使った時とリチウム電池を使った場合の内部抵抗の大きさが極めて異なるため要注意です(内部抵抗も直列につながるので、電圧だけでなく内部抵抗も2倍になる。一方で供給可能な電流の量は増えないのでますますリチウム電池との差が開いてしまう)。


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最終更新:2012年11月21日 03:06