ピポ
突然手も触れてないのにパソコンが立ち上がった。俺は狼狽する一同を退けてディスプレイの正面に立ち覗き込む。
ダークグレイのモニタ上に、音もなく文字が流れ始める。

YUKI.N>これをあなたが読んでいる時、私は私でないだろう。
このメッセージが表示されたということは、あなたは解を見つけ出し、鍵を集めたということ。
これは緊急脱出プログラムである。

そこでモニタ上の文字が静止する。まるで何かを戸惑うように…

YUKI.N>起動させる場合はそこにいる私の右乳頭をクリック、そうでない場合は左乳頭をクリックせよ。

いや実際目を疑ったね。俺の長門は一体全体俺に何をさせようと?
突然自分の部室に大勢で乗り込み、突然起動したパソコンに狼狽するこっちの長門の乳頭をクリックしろだなんて、それもハルヒや朝比奈さんの見ている前で?どんな変質者だそれは。

俺は他に方法はないのか?という嶺を書き込もうとしたがいつぞやの閉鎖空間のようにこちらからは書き込めないようだ。

つまり俺は決断しなければならない。
こっちの内気で恥ずかしがり屋で俺に好意を抱いているかもしれない長門の乳頭をどうにかしまう決断を――なんだこの状況――

俺はこっちのハルヒ達の顔と俺のハルヒ達の顔とを見比べた。どちらも同じハルヒだが決定的に違うものがある。それはなにかって?俺達SOS団との思い出がないってことだ。
思い出なんかこれから作っていけばいい?またSOS団的な物を作って。休日には見つかるはずのない不思議を探しに街を練り歩く。
いや違う。それじゃだめなんだ。俺は、俺の知ってる俺のあいつらと一緒にいたいんだ。
そりゃ始めのうちはハルヒに無理矢理連れてこられた哀れな被害者だったさ。でも今は違う。あのハルヒが望んだ非日常と日常が重なり合ったSOS団は今では俺の唯一の心休まる場所なんだ。
宇宙人、未来人、超能力者にハルヒは神様だっけか?そんなふざけた連中と一緒になってバカをする。それはいつしか非日常ではなく俺の日常になっていた。だから今更それをやめろったってそうは問屋が卸さないぜ!
俺は俺の日常を取り戻すために決断をする!
つまり、そのぉ…こっちの長門の右乳頭をどうにかしちゃうのだ!

そうと決まれば触るぞ!気弱な長門の右乳頭をクリックするのだ!が、問題はどうやって触るかだ。そうだな…長門、ちょっとこっち来い。
俺の呼びかけにこっちの長門(めんどいから以後消失長門と表記するは)ゆっくりと俺の横まで来てどうしたの?と言わんばかりに首を傾げた。
消失長門よ。その上目使いは反則だ。そんなすがるような目で俺を見ないでくれ。俺はこれからお前に酷いことをするんだぞ。わかってるのか?
いつまでも消失長門と見つめ合ってると嗜虐心溢れるドSな俺に目覚めそうなので小さくすまんとあやまりさっと右乳房全体を手の平で押した。
「へっ?」
消失長門は小さく声を漏らすと抵抗するそぶりもなくされるがままになっていた。おそらくいっぺんに色々なことが起こり過ぎて混乱しているのだろう。
俺は消失長門の右乳房を圧迫しつつもモニタに視線を戻した。
後ろの方で外野がなにやら叫んでいたが無視した。正直振り返る勇気はなかったからだ。

YUKI.N>えっち

うるせぇよ。ちゃっちゃと俺を脱出させろ。戻ったらなんでこんな方法を取ったのか尋問してやるから覚悟しとけよ?
俺は、長門が、泣いても、尋問するのをやめない!
俺がバカなことを考えている間にもモニタ上の文字は流れていく

YUKI.N>あなたがとったハレンチな行動によりこっちの世界とそっちの世界がリンクした。後はその扉をくぐるだけ。その扉の場所とは――

俺は消失長門の胸から手を離しパソコンのモニタを力の限り揺さぶった。俺の突然の行動に古泉が止めにかかる。どうやら女子連中は恐怖で動けないらしい。仕方ないか。
「それは、あなたが元の世界に戻るための物なのでしょう!?落ち着いて、落ち着いください!」
これが落ち着けるかっての!ふざけるな、ふざけるなよこのっ!
モニタにはこう書かれていた。

――その場所とは、そちらにいる私の膣口である。Ready.......

背後から俺を羽交い締めにする古泉の動きが止まった。

YUKI.N>Ready.........GO!
60.59.58.

いやちょっと待て!心の準備も無しかよ!くそっ
「古泉、そいつを取り押さえろ!」
このまま時間切れになったらこっちの世界に取り残され、俺は気弱な女の子を集団でレイプしようとするような変態としての十字架を背負って生きていかないてはならなくなる。
それだけは勘弁なのでカウントが50を切る前に迅速に古泉に指示を出す。
古泉は古泉でこの状況になにか思うところがあったらしく素直に言うことを聞いてくれた。鼻息が荒いのは気のせいだよな古泉?

「きゃっ!あ、あのなんですか?」古泉に背後から羽交い締めにされた消失長門が悲鳴に似た声をあげる。
俺はそれを無視して消失長門の股を強引に開くと下着を引き千切った。
「へっ!?や、やだ、やだやだぁ!」消失長門が泣き叫ぶ。頼むからそんなリアクションをしないでくれ。ボクが覚醒してしまいそうになるじゃないか。
「ちょっと、あんた達!その子になにする気なの!」消失長門の悲鳴を聞いたハルヒが正気に戻り俺の肩を掴んで邪魔をする。
俺は消失長門の股間に頭押し込みながらも負けずと叫んだ
「うるさい!時間がない邪魔をするな!俺は帰るんだ!あの頃にボクに帰るんだ!」
「イヤアアアア!!」

俺はハルヒの制止を振りきり頭の先っちょが膣口に吸い込まれたその時だ。

ピー

パソコンが不快な電子音をだしモニタにはGame Overの文字が…
その瞬間悟ったね。ああ、終わった。主に俺の人生が。と、
俺は消失長門を開放し室内を見渡した。そこは地獄だった。
頬を上気させ血走った目で鼻息を荒くしている古泉。
その古泉に羽交い締めにされながらも顔面をくしゃくしゃにしておえつを漏らす消失長門。僅かに震えている。
俺の腕に爪が食い込むほど強く掴んでいる必死の形相のハルヒ。どうでもいいが爪が剥がれかけてるぞ。
そして何故か自慰行為に耽っている朝比奈さん。アナルオナニーですかそうですか。
嫌な感じに煙を上げ、もうそのディスプレイには何も映すことがなくなった緊急脱出プログラム。

そしてゲスな性犯罪者に成り下がった俺。
俺は大きく伸びをすると誰に言うでもなく呟いた。
「ない」
「へ?」ハルヒがすっとんきょうな声をあげる。
「ない。出口がない。帰らなきゃ!あそこに帰らなきゃ!どこだよ?どこに隠したんだよ!?」
俺は何かに取り付かれたように部室の本棚を荒らしたり机をひくっり返した。室内をあらかた荒らした俺は最後に消失長門に迫った。
「出せ!出せよ出口を!俺を帰してくれよ!」俺は消失長門の肩を力いっぱい揺さぶりその場に泣き崩れた。
消失長門はただ「ひっ」と泣くだけで何も答えてはくれなかった。


Happy End

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2007年01月14日 02:31