現在時刻は、放課後になってから30分ほど。
わたしは今、音楽室に向かっている。
今日は、掃除当番だったからちょっと遅れちゃった。

で、何分かして音楽室について、ドアを開けると、
今まで吹奏学部にいなかった、一人の女の子。

涼宮ハルヒ

彼女の噂は聞こうとしなくても自然に耳に入ってくる。
中学の時は、奇人変人だったとか、いろんな部活に仮入部してるとか、何でもできるスーパーウーマンだとか、
そういえば、最初の体育の授業はまだ男の子がいるのに着替えようとしてたかな?
あれは、ちょっと・・・
恥ずかしくないのかな?

ちなみに、わたしが音楽室に入ったときは、涼宮さんは同じクラスの豊原君にクラリネットの吹き方を教わっているようだった。
「………」
「………」
「………」
「………」
涼宮さんは何も言わず、かといって豊原君も何も言わず・・・
涼宮さんがうまく吹けないようであれば、豊原君が手に持っているクラリネットを何も言わずに吹き。
それから、目配せ。いわゆるアイコンタクトして、
涼宮さんが豊原君と同じように吹く。
でも、それだけでかなり上手になるんだから、やっぱり噂どおり、涼宮さんはすごい。
豊原君の教え方が、うまいとは思えないし・・・
それより、他の人は何でこんなにも涼宮さんに注目してるの?

とりあえず、わたしは、箱からアルトサックスを取り出して、いつもの練習場所に行こうとした。
だけど・・・
「サックスって誰?」
と、涼宮さんが豊原君に聞き、
豊原君はゆっくりと、人差し指をわたしに向けた。
もちろん、涼宮さんはわたしに近づいてくる。
次はわたしが教えなければいけないみたい。

「…吹かせなさい」
命令口調・・・
「ん?それより、あんた、あたしと同じクラスだっけ?」
「はい、同じ5組の由良というものです」
「ふーん」
なんか、わたしがどうでもいい話ししだしたみたいな感じになってるんだけど・・・。

「えっと、サックスはね、リコーダーと同じ指使いだから、すぐに覚えられるよ」
「そんなことはいいから吹かせなさい」
・・・すこしぐらい、知識を身につけてからやろうよ。

とりあえず、あたしはピースをティッシュで吹いて、今持っているサックスを涼宮さんに渡した。
涼宮さんはすぐにそれをとりあげ、口にくわえる。

ピーーーーーーーーッ

サックスのうるさい音が音楽室に響き渡る。
うるさくて、耳に手を押さえる人も何人か。
豊原君は、少しこっちを見て、その後は何もなかったかのような感じだけど・・・
息はもうちょっと弱くていいから。リコーダーを吹く感じで。

「これは簡単に鳴るのね」
金管楽器と違って、唇を振動させなくていいからね。
じゃあ、これからちゃんと教えてあげよう・・・
って思ってたら。

「ユーフォは?」と、ひと言。
まだ何も教えてない気がするんだけど・・・
とりあえず、ユーフォ担当の先輩を教えてあげた。
そして、涼宮さんはそちらに向かった。
「ユーフォって吹いたら宇宙人がやって来そうね」
とか言いながら。

まあ、きっといろんな楽器やったら、やめていくんだろうな。
ある意味、その性格はうらやましい。

それから1時間。
わたしが音楽室に戻ると、意外にも涼宮さんはまだ残っていた。
今、やってるのは定番のフルート。どうやら、一人でやっているよう。
きっと、先輩からあずかり、そのままどこかに行ってしまって、返せずじまいって感じかな?
ところで、豊原君は帰ろうとしているみたい。
と思って見ていると、ドアが開き、そこから、後藤君の姿が見えた。
「豊原!終わったか?じゃあ、帰ろうぜ」
「ああ」
それから、豊原君は帰って行った。
普段、必要最低限のことしか言わないけど、後藤君だけには、喋るんだよね。
仲いいんだな。
じゃあ、わたしもそろそろ帰ろうかな?
と、思っていると。

涼宮さんが、フルートを机の上において帰ろうとした。
「あ、そ、そんなことしたら壊れちゃうよ。もっと大事に扱わなきゃ」
「知らないわよそんなこと、じゃあ、あんた片づけといて」
と言ってから、フルートを渡され、帰って行った。
これじゃあ、フルートの先輩が帰って来るまで帰れないんだけど・・・。

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最終更新:2020年03月12日 14:52