今の季節は秋。
ある日、いつものように学校を終わらせ、SOS団室へ向かった。
ノックしたが、反応も無い…。
俺は、迷わずドアを開けた。
中に入ると、目の前にハルヒが寝てる。
うむ、道理で返事してなかった訳か…。
「全く…起こすか…」
少し溜息しながらハルヒを起こそうと…思ったのはいいが…。
俺、疲れてると思う。
想像してくれ、寝てるハルヒの後ろに本物の尻尾が生えてるし、頭に本物の猫耳が出てるし、おまけに猫耳がピクピク動いてる。
近くに、水無いのか?
周りを見ても無いので、便所へ行って顔洗い、戻って見ると…やっぱ猫耳と尻尾がある。
これは、どうしたものが…幻覚か!?
長門は、いない。
古泉は、いない。
朝比奈さんは、いない。
…そういえば、3人は用事があったな。
この状況はどう把握すればいい!?
助けて!スペランカー先生!

…にしても、起こすべきか?起こさないべきか?
もし起こしたとすれば、猫並みに行動するのかもしれない。
いや、ハルヒの事だからな…するに決まってるだろうな…。
えぇい、起こすしかないのか!
「おぃ、ハルヒ…起きろ」
「フニャ?あ、あれ…キョンじゃないニャ」
嘘だろ!?口調も変わってるし!
「ふにゃぁ…って、あれ?何か口調が変だニャ」
これは、ハルヒに知るしかないな。
「ハルヒ…落ち着いて、深呼吸してくれ」
「え?何でニャ?」
いいから、しろよ。
「スー、ハー、スゥー、ハー…したニャ」
「よし、鏡を見ろ」
俺は、どこから取り出したが知らないか、大きな鏡を持って来て見せた。
「…何これ?」
俺に聞くな…俺も頭を抱きたい。
「もー!取れないニャ!どうなってるニャァ!」
俺も言いたいわ!どうなってんだぁぁぁぁぁ…

「ハッ!古泉や長門がここにいなくでも携帯があ…」
しまったぁぁっ!携帯は家に忘れたーっ!
何で事だ…昨日、電気が切れたので充電してたのだ。
それを忘れるなんで…。
落ち込む俺の前にハルヒがいる。
「さっきから、態度が激しいけど…大丈夫かニャ?」
ヤ、ヤバイ…今回のハルヒは可愛すぎる!?
「だ、だ、だだ、大丈夫だ!そぅ、大丈夫だ!はっはっはっはっ…」
俺は、誤魔化しながら部室から出た。
「キョン、どうしたニャ?」
ハルヒは、首を少し横に傾いて、頭の上に?のマークが出る。

ヤベェ、理性が暴走する所だった。
「くそ!誰がやったんだ!」
本当に苦悩してしまう。
ん、待てよ。
ハルヒの能力って確か…どんな願いでも必ず叶えてしまう能力あったな。

バァン!

「うにゃぁっ!」
俺は勢いよく扉を開けたせいで激しく驚いたハルヒがいた。
「ハルヒ、猫になりたいと言う願いあったのか?」
「そういえば、そうニャねぇ…そう思ってたニャ」
やっぱし…こいつの願いのせいで…。
でも、本当によく出来てるなぁ。
俺は猫耳を触れた途端。
「フニャァ、触るなニャ!」
ど、どしたんだ!ハルヒ!?
「そ、その…感じたニャ…」
うむ、そこも完全に猫になってるのか…。
だったら、顎と喉の辺りにを触れたらどうなるのかな?
「ふにゅぅ、気持ちいいニャァ…」
ほほぅ、可愛いなぁ…。
「って、さ、触るなニャ!」
あ、照れた。
よし、色々やってみよっと。
「ちょ、や…やめ…」

――30分後

「……」
「フン!」
「…痛いんだけど、ハルヒさん」
「知らないニャ!」
俺の体に引っ掻かれた後があり、服もボロボロになった。
全く、引っ掻く事は無いのだろう…いや、俺も悪かったな。
「でも、気持ち良かっただろ?」
「し、知らないニャ!」
ハルヒは俺を見ずに言う。
「だけど、尻尾だけは素直だぜ」
そぅ、ハルヒの尻尾は大きく振っていた。
「な、何をバカな事を…」
「猫の尻尾は感情表れやすく、大きく振れば嬉しい。怖い時は引っ込む。警戒する時は尻尾か立つ…だったな」
「~~~!」
流石、ハルヒは反論出来ないみたいだな。
さて、これからはどうするか…。
このまま出たら、バレそうだな。
どうしたらいいのやら…。
「ハルヒ、取りあえず、尻尾だけは隠しとけ」
「分かったニャ」
俺は、部室から出て、この後どうするべきかを考えた。
まず、ハルヒを俺の家へ連れて行って…古泉か長門どっちが電話するしかないな。
はぁ、何か疲れたよ…。
俺は、大きく溜息した。

これからの目的をハルヒに伝えといたが…。
ハルヒが慌てたり嫌がったりゴロゴロと態度を変わってるのが面白かった。
「さ、帰るニャ」
漸く、落ち着いたようだ。
この後…俺達は、部室を後して学校へ出たのはいいか…緊急事態だ。
何故なら、俺達が歩いてる時に後ろから声が聞こえた。
「やっほー、キョン君とハルにゃん!」
鶴屋さんがやって来たのだ。

「あ、こんにちわ」
「キョン君とハルにゃん、今から帰るのかぃ!」
相変わらずハイテンションな人だな。
きっと、悩み事は無いのだろう。
「え、えぇ…そうです」
「おや、ハルにゃん!何この猫耳は?」
「……」
あ、ハルヒが真っ赤になって黙ったまま俯いてる…。
「んー、どうしたのかぃ?ハルにゃん?」
そうだ、誤魔化さないと。
「あ、ハルヒはですね…昨日、カラオケしてたので、喉が痛んでるんで…あぁ、これは罰ゲームですから」
「あー、そうかぃそうかぃ!私はでっきり、キョン君が何か変な事したんじゃないかと思ってて!」
うっ…これは痛い。
痛恨の一撃だ…。
「す、する訳無いですよ!」
「あー、あっやしい!」
と、ケラケラ笑う鶴屋さんが言う。
からかないで下さい鶴屋さん。
さっきまでは本当に大変なんですよ…。
「じゃ、二人とも、まだねぇ!」
はぁ、さっきより疲れが来た…。
俺は、横目でハルヒを見た。
まだ真っ赤になって俯いてるな。
俺もだけど。
「やれやれ…」

そして、帰路を歩いてる途中、まだ誰が来た。
「WAWAWA、忘れ物~」
ちっ、谷口かよ、こいつはチャックを開ける事が多いから「チャック魔」と呼ばれる可哀相な男だ。
「…うぉぅ!?キョンか…」
何だ、今の安心したような顔は…。
「いやー、実はさ…さっきナンパしたけどな…って、おわっ!?ハ、ハルヒ!?」
おぃ、気付くの遅いわ!
「キョン、これは新しいコスプレなのか?」
どこがコスプレに見えるんだ…。
「ネコ耳ねぇ、尻尾もあるのか?」
さぁ、自分で調べてみろ…殺されるぞ。
「え、遠慮しとくわ」
立ち去ろうとする谷口、腰抜けめ!
「あー、谷口」
「な、何だ」
「言おうと思ったけど、チャック閉め忘れてるぞ!」
「って、おわっ!マジかよ!?」
「あと…後ろ歩きしたら、危な…」
「おうわぁぁぁ…」
遅かったか…。
後ろにマンホールの蓋が外れてるから落ちるぞと言おうとしたのに…遅かったか。
「キョン!それを早く言えぇぇぇ…」
俺は谷口を救ってやりたい所だが…日々の恨みあるので無視しよう。
谷口を放って置いて俺の家に帰った。

さて、家に帰ったのはいいけど…生憎、親が居ないので助かった。
妹?アイツなら、野外活動へ行ったぞ
「あー、キツかったニャ…尻尾を隠すのにキツかったのニャ」
やっと、喋ったな…ハルヒ。
「ハルヒ、風呂沸いたから…風呂に入れ」
「うん」
ふぅ…流石に疲れた。
あ、これで言うの3回目だっけ?
まぁ、いい…古泉に電話しとかないと…
「…ョン、キョン!」
「うぉわ!?ハ、ハルヒが…どぅ…」
俺の目の前には、全裸のハルヒがいた。
それは、どういう事だ。
夢なのか!夢なのか!?
「風呂の湯、熱くで入れないニャ!何とかしてニャ!」
「そ、そそ、それは分かったけど…お、おおお、お前…ま、前隠せよ!」
「え?」
ハルヒは、自分の体を見て、顔真っ赤になった。
「ニャァァァァァァァァァ…」
ハルヒの悲鳴は家中に響いた。

――数分後

……。
「ゴメン、ゴメンなさいニャ!」
俺は、怒ってるぞ…ハルヒ。
「あまりにも熱さで忘れてたニャ!」
へぇへぇ、そうかぃそうかぃ。
「ちょ、ちょっと聞いてるニャ?」
皆さんに、状況をお知らせしよう。
ハルヒは悲鳴を上げた後、俺の顔に引っ掻かれ風呂場へ逃げ出した。
で、ハルヒが風呂上がった後、自分で何をしたかを把握し謝ってる所だ。
「…で、どうすんだ?この傷はよ?」
「えっと、それは…その…」
戸惑うハルヒって可愛いな。
まぁ、許してやるかな。
「あー、分かった分かった。許してやるよ」
「え、本当?」
目を輝いて、尻尾を大きく振ってやがる。
「取りあえず、腹減ったな…」
今の時間は、もう7時過ぎてる。
夜食を出していい時間だろう。
「あ、あたしが作ってやるニャ!」
ハルヒは、そう言って台所へ向かった。

何分経ったのだろうか。
物音が聴こえない…まさかと思って見てみると。
ハルヒは、よだれを流しながら魚をずっと見てた。
「おぃ、ハルヒ…何やってるんだ」
「え?うわっ!はははは…つい魚を見てると食べたくなるニャ」
こりゃ、猫の本性だな。
「魚は俺がやるから、それ以外のを作れ」
「わ、分かったニャ」
さて、古泉と長門に電話するか。

俺は電話を掛け、古泉に電話した。
「もしもし、カメさん、カーメさんよー」
くだらん事言うな。
「あぁ、面白くなくて、すみませんね」
そんな事より、聞いてくれ。
「はい」
俺は、今までの出来事を説明した。
「…と言う訳だ」
「確かに、涼宮さんの願いによってこうなったと思いますね」
お前も思ってたのか。
どうすればいい。
「キスする事しかないですね」
ふざけるな。
「冗談ですよ、涼宮さんの願いを変えればいいんですよ」
あぁ、その手があったのか。
「と言う訳で、言いたい事は終わりです。では」
お、おぃ!…切りやがった。
明日でも会って殴る事にしようか。
次、長門に電話するか。

「…もしもし」
おぃおぃ、電話を掛けてから1秒も経ってないのに早いな。
「よっ、実はな…」
「状況は把握してる…」
それなら、説明しなくてもいいんだな。
「だったら…」
「あとは、あなたに任せる…おやすみ」
ちょっ…切りやがった…。
ってか、早い会話だったな、おぃ…。
明日でも軽く説教したい気分だぜ。
俺がブツブツ言ってる間に、ハルヒが来た。
「ご、ご飯出来たニャ…」
そんなに顔赤らめても困りますけど。

後は、俺が魚を焼くだけでやっと食べれる。
さっきから、台所の入り口から物凄く見られてるような気がするが…気のせいだと思うことにする。
「ほれ、出来たぞ」
「ゴクッ…」
…ずっと、魚を見てるな。
まぁいい、食べるか。
「いただきます」
「いっただきまーすっ!」
俺は呆然してしまった…何故なら。
合掌した後、すぐに俺の魚を奪いやがった。
「おぃ、ハルヒ…それは俺の物だぞ」
俺は、箸で魚を取り返そうとしたが…手に引っ掻かれた。
ハルヒは、フーーーッと言いながら尻尾立ってた。
あぁ、尻尾立ってるって事は、警戒してるってか。
「はぁ…やるよ…」
ハルヒの態度がゴロッと変わった。
「ありがとニャ!」
魚を奪いやがって…あぁ、いまいましい、いまいましい、いまいましいっ!
こうして、夜食が終わった。
ハルヒよ、魚の恨み忘れんぞ。

この後、ハルヒがシャミセンと喧嘩したり、意味も無く壁を引っ掻いたりするから大変だった。
本人は無意識でやっただけらしい…本当に猫の本性を発揮してるみたいだな。
そして、寝る時間になった。
「なぁ、ハルヒ…元の姿に戻りたいと思わないか?」
「んー、戻りたいと思ってるニャ」
なら、簡単だな。
それにしても、何故、猫に?
「なぁ、一つだけ言っていいか?」
「何ニャ?」
ちょとんとするハルヒもまだ可愛いな。
「何故、猫になりたがったのだ」
「んー、猫になれば新しい発見出来るかなと思ってたニャ」
なるほど、単純な考えだ。
「それに…」
それに?何だ。
「あ、な、何でもないニャ!」
「そうか…」
俺は、牛乳入ってるコップを飲み干した。
ふぃー…美味!
「あ、キョン…口の辺りに牛乳が付いてるニャ」
「お、スマンな…」
ティッシュで拭こうと思った瞬間、ハルヒが信じられない行動をした!

ハルヒが俺の顔に近づいて、口の辺りに付いてた牛乳を舐めたのである!
思わず、手で口を塞いだ。
「な!ななななななな…」
「あ!ゴ、ゴ、ゴメンニャ!も、もう寝るニャ!」
ハルヒは、素早く俺のベッドへ行き毛布を被って寝た。
俺は、石化してしまった。

翌日、ずっと固まってた俺はやっと動けた…。
「眠い…」
何でこった…昨日からアレのせいで石化してしまったとは…。
洗面所から出た途端、二階から何やらドタバタと聴こえる。
「キョン!猫耳と尻尾が無くなったわよ!」
ほぅ、それは良かったな。
「やったーやったー!」
子供のようにはしゃぐハルヒである。
「さて、朝食作るか…」
「あ、キョン、お礼に朝食作るから…その間寝ていいよ」
おー、スマンな。
ハルヒの手料理はおいしいからな。
「それに、昨日はゴメンね」
分かってるさ、アレは猫の意識だと言いたいのだろう。
さぁ、寝るとするかね。

キョン、ゴメンね。
本当は、あたしの意識でやっただけだからね。
お疲れ様…キョン…。
あたしは、嬉しくて料理いっぱい作っちゃった。
キョンって、全部…食べてくれるのかな?
そう思いながら、キョンを起こしに行った。
「起きなさい!キョン!朝食よ!」


シャミセン「ニャア?」






「あれ?私の出番、無いんですかぁ~酷いですぅ~」

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最終更新:2020年03月12日 14:09