ハルヒは死んだ。何もかも大切な物が無くなった…
あれから、俺は大人になった…
あの日の記憶忘れやしない…


    「閃光のハルヒ」

――25年前

俺は、今、高校3年である。
SOS団設立してから2年後か?
今は、春…暖かい空気で眠気を誘う日が続く…
そして、俺は今いるのは…
「皆!おっまたせーっ!」
相変わらず声がデカい困った団長…涼宮ハルヒが来た。
みくる「お帰りなさい、涼宮さん」
俺の気持ちを癒してくれる、我らアイドル…朝比奈みくる
ん?何で卒業したのにいるんか?って?
あー、それはな…放課後だけ遊びに来るんだよ…大学から近いらしい。
俺は、部屋の隅っこへ向く…
「……」
そこに座ってるのは、長門有希…相変わらず無感情で本を読むのが好きみたいだな…
「キョンさん、あなたの番ですよ」
「ん、おぉ…そうか」
先ほど声掛けられた主は、古泉一樹…ハンサムでカッコいいと言う理由で女子達の間で人気らしい…気に入らん!

そんな、相変わらず活動してるか…
まさか、あの日が来るとは思わなかった…


「…ゲホッ…ゲホッ…ゴホン…」
咳をしてたのは、ハルヒだった。
「大丈夫か?ハルヒ?」
「う、うん…おっかしぃーなぁ…今日まで咳する事は無かったんだけどね」
「そうか…ま、気を付けろ…最近、インフルエンザやら流行ってるみたいからな」
「うん…気を付ける」
あの時、俺は気付いてやれなかった…
俺は、激しく後悔してる…

帰り道…
「キョン」
「ん?何だ?ハルヒ」
「明日、デー…!…ゲホッゲホッ!…ゴホッゴホン!」
「お、おぃ…ハルヒ!大丈夫か?」
「う、うん…だいじ…ゲホッ…ゴホン!」
と、ハルヒの口から出たのは…

    血だった…

「!?ハルヒ!」
「だ…大丈夫よ!」
俺から見ても、大丈夫じゃない…
「ハルヒ…」
「大丈夫だから…」
あの時、強制に病院へ連れとけばよかった…

一週間後、ハルヒは元気に活動していたが…

「さぁ、皆!ミー…!ゲホッ、ゲホッ…ゴホン!」
「ハ、ハルヒ!」
「だ…大丈夫よ…平気だ…か…ら…」
と、ハルヒはその場で倒れた…
「ハルヒ!」
俺は、ハルヒがスローで倒れているように見えた…

「涼宮さん!」
「…!長門さん!救急車を!」
「うん」
「ハルヒ!ハルヒ!ハルヒ…ハルヒーーーーっ!」
俺は、いつの間にかにハルヒの事を呼んでた…

ピーポー、ピーポー、ピーポー…

―病院
「…キョンさん…覚悟はいいですか?」
「あぁ…何だ…」
「…重い病気ですよ…えぇ、死ぬ可能性もある病気…」
「!?…え?」
「キョン君…その病気は…」
「癌」
と長門が答えた…
癌!?癌だと!?そんな…ハルヒは今まで元気してたのに!?そんな!
「…仕方ない事ですよ…」
「あぁ…ぁ…ぁ…うわあぁぁぁぁぁぁぁ…」
俺は、虚しくも叫んでた…
ハルヒ…前から知ってたんだろ?…何で…何でなんだよ…

ハルヒの病室
「…ハルヒ…」
俺は、ハルヒの寝顔をずっと見てた…
「……」
可愛い寝顔だ…
「ハルヒ…お前は、どうしたいんだ?」
「……」
「俺とデートしたかったんだろ?」
と、言ってても…ハルヒは返事しない…息を吸ってる音が少し聞こえるだけだった…
「ハルヒ…ハ…ル…ヒ…うっ、ううっ…」
俺、泣いてるのか?辛いのか?何故だ…こんな思いは…
「…あぁ、俺は…ハルヒの事が好きだったんだな…好きだったんだな…」

次の日の朝

俺は、病室で寝てた。
あぁ、俺…泣いて、このまま寝たっけ…
「おは…よう、キョ…ン」
今のは、ハルヒの声だった。
「ハルヒ!起きたのか!?」
「う…ん、昨日は…ゴ…メンね…」
「いいんだ!そんな事はいいんだよ…」
「キョン…」
「ん?」
「泣いて…たの?」
「…あぁ」
俺は、無理矢理に笑顔を作った…

そして、毎日…
SOS団員や妹…クラスメイト達も見舞い来てくれた。
色々、喋り…笑い…そういう生活を過ごして行った…

あの日が訪れるまでに…

一ヵ月後…

「じゃ、俺…帰るわ」
「待って…」
と、ハルヒに呼び止められた。
「何だ?」
「あたしの事…どう思ってるの?」
「ハルヒ…」
弱弱しくなったハルヒ…見てるだけで辛い…
そんなハルヒを守りたい…
「…俺は、今までハルヒが居ない学校生活して来た…俺は、学校生活してて、やっと分かった。
ハルヒがいないと、俺はダメなんだよ…元気なハルヒを見たい、見たくでも見れない…俺は、寂しかった!
家で泣く日が多かった、ハルヒのいない学校生活を送るなんで嫌なんだよ!俺は、ハルヒの事好きなんだよ、好きなんだよ!」
俺は、まだ泣いた…情けなかった。
その時、ハルヒは、自分の手で、ゆっくりと俺の手と重なった。

「!?」
ハルヒ…
「あたしも、寂しかったよ…先生から聞いたよ…癌だってね?」
「…あ…」
俺は、言おうと思ったけど…息苦しくで言えなかった。
「あたしは、あの時…凄く泣いたよ…」
「ハ、ハルヒ…」
「あたしは、キョンが好きなのに、もう会えないなんで嫌だった…」
「……」
「それでも、キョンの側に居たい気持ちあったのよ…」
「…俺も!俺も、ハルヒの側に居たかった!」
「あたしは死ぬのが怖い…それでも仕方ない事…だ…よね?」
ハルヒは、泣いてる…俺も泣いてる
「…キョン、キスしてくれる?」
「あ、あぁ…するよ…」
と、ハルヒの唇と重なってキスした…暖かいキスだった…

そして…その時が訪れた…

「!?ゲホッゲホッ!ゲホッゴホンッ!」
「!?ハ、ハルヒ!」
「血が出た…あたし、死ぬのね…」
「ハルヒ!今、先生に呼んだからな!手、握ってるから安心しろ!」
「あたし…疲れたよ…ありがとう…キョン…」
「ハルヒ!」
「好きだよ…さ…よう…な…ら…」
ハルヒは、ゆっくりと目閉じた…
「ハルヒ!ハルヒ!」
ハルヒの手は力無くなり、落ちた…
「ハ、ハルヒ…ハルヒーー……」
その時、ハルヒは死んだ…
ハルヒといた生活は幕閉じた…

そして、葬式が行われた

みくる「涼宮さん!涼宮さぁん!…うぅっ…」
長門「……」
古泉「涼宮さん、天国で会いましょう…」
SOS団もクラスメイトも参加してた…皆、泣いてるのは物凄く辛い事だった…
「キョン君ですか?」
「あ、はい」
「ハルヒの母です…あの子を最後まで見守ってありがとうございます…うっ…」
「キョン君、ありがとう…父親である私が…最後までに…うっ…ううっ…」
「御父さん、御母さん、ハルヒは幸せな子です…ですから、ハルヒを悲しませないように頑張って生きてください…」
「あ、ありがとうございます…」
「それから、ハルヒの部屋はどこです?」

俺は、ハルヒの部屋へ行って見た。
「…何だ、シンプルな部屋だな…」
本棚、机、時計、ベッド…色々あるな…
「ん?」
机の上に1冊のノートとビデオが置いてあった。
「これは…ビデオと…日記だ…」

○月○日
明日は、バレンタインデーだ!
張り切ってキョンに渡そう!
あたしの作ったチョコは美味いよ!

○月○日
今日は、楽しいデートだったよ。
色々トラブルあったけど、本当に楽しかったよ!

○月○日
明日は、あたしの誕生日
キョンはその事気付いてるかな?
プレゼントが楽しみだな!

俺は、読みながら思い出してしまった…楽しかった事…悲しかった事…
色々あった…
「あぁ…ハルヒ…ハルヒ…」
次へ次へ読む事に手が震えて来た。
そして…
手は止まった。
「!…これは…」

○月○日

あたしは、病院へ行った…
そして、先生から、こう告げた…
「あなたは、重い病気持ってます」と…
あたしは、世界が止まったような気がした。
それは、癌だった。
あたしは混乱したよ…
あたし死ぬのかな?死にたくないよ…まだ生きる命あるよ!
お願い!癌を治して!そうじゃないと、皆に会えなくなる!キョンに会えなくなる!
嫌だよ…あたしは、死にたくないよ…
その事を、皆に言ったらどうなるのかな…怖いよ…
だから、あたしは黙っとく事にしたの…
静かに死んで、皆に悲しませないように死ぬ事にしよう…

      今まで、ありがとう
        そして、さようなら…皆…キョン…

ハルヒ…そんな事思ってたのか…
「…っ!」
すまない…ハルヒ、本当にすまない…すまない!

俺は、泣いた後の疲労感が溜まり
家に着いた…

「……」
俺は、一本のビデオをずっと見てた。
「…今、何時だ?」
と、確認すると…既に0時になってた。
「…見るか」
ビデオを持ってリビングへ行った。
暗闇の中でテレビを付けてビデオを再生した…
そして、画面に写された映像…
その中に、一人の少女がいた…

それが、涼宮ハルヒだった。

ハルヒ!…これは、生前の頃の映像だった。

「こら!バカキョン!今、見てるのは、あたしが死んだ後かな?
元気の無いあんたは見たくも無いわ!あたしが死んでも、キョンはキョンらしく
生きなさいよ!
あたしは、死ぬのは怖いけど…仕方ないよね…あたしは、元々、気が弱かったの…
それでも、めけずに生きてくれたのは…あんたのお陰よ!」
そりゃ、そうだな…ハルヒを支えたのは、この俺なのだからな…
「…キョン、あたしは今から…告白するわ…あたしは、あんたの事が好きよ!世界で一番好きなのよ!
だから、毎日…あんたと会えるのを楽しみに通ってたんだから!それでも、気付かないあんたは…
かなりの鈍感ねぇ…ま、それは仕方ないと思うわ!…愛してるよ!キョン!」
ハルヒ…ありがとう…
「…あたしが、死んでも…あたしの事忘れないでね!忘れたら死刑よ!
…キョン…今までありがとう、あたしは嬉しかったよ…そして、さようなら…あたしの愛した人…」
ここで、砂嵐に変わって、終わった…
「ハルヒ…俺も、忘れない!何があろうと忘れない!忘れないからな!ハルヒっ!」
時間はもう戻らない…ただ前に進むだけ…

…あれから、25年後…
俺は、43歳になった…

古泉は、15年前に俺の知らない女と結婚し、幸せな生活を送っていた。

朝比奈さんは、24年前に…未来へ帰った。もう会えないだろう…

長門は…22年前に俺と結婚し、俺の妻となり…子供も出来た…

俺は、今…重い病気を持ってた…
それは、ハルヒと同じ病気だった。
もう、しばらくは持たないだろう…
側に居る、美しい女性…姿は昔とは少し変わらない…
それは、長門だった。

俺は、有希に言ってみた。
「…有希、お前は今、幸せか?」
「うん…」
「俺も幸せだ…でもな、俺の命は長く持たない…」
「…うん」
「泣くな…有希…今まで、一緒に歩いて来たんだろ?」
「…嫌だ、あなたと別れるのは辛い…」
「…あぁ、俺もだ…長門、俺が死んだら…ハルヒの側に置いてくれないか?」
「…分かった」
長門…今までありがとな…
「…じゃあ、俺は眠るよ…じゃあな…な…がと…」
「…あなたは、天で無事に、ハルヒに会えますように…」
その時、俺は死んだ…


【*****(本名) 二×××年○月○日死去 原因:胃癌】


…暗い…
…ここは、どこだろうか…
周りは、闇に染まってる。
俺は、闇の向こうへ歩いてみた…
闇の向こうから光が溢れて来た…
段々と光は大きくなり、光に包まれた…

「…ここは…」
周りを見ると、あの懐かしき北高校である。
俺は、身に着けてる物を確認した。
「…これは、北高校の制服…」
ふと、隣にあるガラスを見てみると…
「あれ?高校時代の俺じゃねぇか…」
取りあえず、あの懐かしきSOS団室へ向かった。
懐かしい木の香り、風景などを楽しみながら歩いてると…
SOS団室に着いた。
そして、俺は、扉を開けた…


「久しぶりね」


扉の向こうにいたのは…俺が今まで会いたかった、愛しい女性…涼宮ハルヒだった。

俺は、動揺してしまい、言葉を探してた。
「キョン、25年ぶりに…やっと会えたね…」
「あ、あぁ…」
「25年間、寂しく過ごしてたよ?」
「…スマン」
と俺は、謝った。
「あははは、いいのいいの!あんたが最後まで生きてくれたし、あたしの事忘れてなかったみたいね」
「あぁ…」
「キョン、改めて言うわ…あたし、あなたの事が好きです! 」
「…ふっ、俺もだよ…ハルヒ!」
「ぶっ、あはははは…真面目に言うなんでおかしいわね!」
「ぶ、ふははははは…確かに、確かにそうだよな!」
俺たちは、やっと笑った…お互いに笑った。
「…ねぇ、キョン」
「ん?」
「久しぶりに、キスして…」
「分かったよ…」
と言って、キスした…

ハルヒ、いつまでも一緒にいるからな…
  キョン、やっと会えて本当に良かったわ…

次、転生した時は…ハルヒとキョンみたいな子が生まれるだろう…
     そして、会えた時は…まだSOS団やるのだろう…


             完

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最終更新:2020年03月12日 11:07