「ちょっとキョン!あたしのプリン食べたでしょ!?」
今日はクリスマスイブ。
ってわけで今年も去年と同様、盛大なクリパが行われていたのだが。
なんだ? 俺が食ったのは、今日お前が買ってきたクリスマスケーキだけだぞ?
「違うわよ! ケーキの上に小さなプリンが乗ってたでしょうが!
その部分を食べたでしょって言ってんの!!」
まだ半分以上残っているケーキを指差しつつ、さっきより声を荒げるハルヒ。
フォークに刺していたケーキの欠片が床に落ちてしまったことにも気づかず、
朝比奈さんは困ったような顔をして、俺達を交互に見ている。
ああ、あれか、確かに食ったな。うまかったぞ。
「うまかったぞ、じゃないわよっ! あれはあたしが最後に食べようと
楽しみに取っておいたのに!」
そうだったのか、それは悪い事をしたな。
だがまだ残ってるじゃないか、それを食べればいいだろ?
「何言ってんの! あたしはあのプリンの部分が食べたかったのよっ!」
あ~もうっ! どうしてくれんのよ!」
頭を掻き毟りながら俺をにらみつけてきた。
どうでもいいが、そうやっている間にも、長門がどんどん残りのケーキを平らげていっているぞ。
「わかったわかった、どうすればいい?」
ハルヒは考えるそぶりも見せず、即答してきた。
「食べに行くわよ」
……これから、か?
「当たり前じゃない! あんたのせいなんだからね!?
これを買った店まで行くわよ! もちろんあんたのオゴリでねっ!」
やれやれ……
座っていた席を立ち、俺は外に出る準備をしながら、
「わかったわかった、それじゃあさっさと行くぞ」
そう言うとハルヒは一応納得したのか、
「それじゃあ、みんな行くわよっ! 支度しn……」
「ちょっと待て。ケーキが食べたくて困ってるのはお前だけだろ?
だったら俺とお前だけで行ってくればいいだけの話だろうが。第一、俺の財布がもたん」
そう言い放ち、さっさと部屋を出る俺。
「ちょっとキョン! 待ちなさいよ! 団長を置いていくなんて団則違反なんだからねっ!」
そんな声が聞こえたが、聞こえないふりをする。
そうやって階段のところまで進んだあたりで、後ろから大きな足音がしてきて、俺に追いついてきた。
「聞こえなかったのあんた!? 耳遠いんじゃないの!?帰ったらちゃんと耳掃除しなさいよね」
けっこうひどいことを言いながら俺と歩を合わせるハルヒ。
よく考えたら俺はハルヒが買ってきたケーキ屋の場所を知らないわけで。
道案内よろしくな。
「わかってるわよ! ちゃんとついてきなさい、バカキョンッ!」
肩を並べて夜の通学路を歩く俺とハルヒ。
そろそろ付き合いも短くない、お前がプリン好きなのは、実はお見通しだ。
……ちょっと強引だったが、まぁいいだろ?
作戦、成功!ってやつだ。
おしまい。
最終更新:2007年01月12日 14:16