「気がついた!!」
唾を飛ばすな。
「どうしてこんな簡単な事に気付かなかったのかしら」
「何に気付いたんだ?」
「ないんだったらつくればいいのよ!」
「何を」
「子どもよ!」あたしとあんたの。
頭が痛いのは机にぶつけだけではなさそうだ。
「そうか。そりゃよかったな。ところでそろそろ手を離してくれ」
「なに?その反応。もうちょっとあんたも喜びなさいよ、この発見」
「その発見とやらは後でゆっくり聞いてやる。場合によってはヨロコビを分かち合ってもいい。ただ、今は落ち着け」
「なんのこと?」
「保守中だ」
 



「朝比奈さん!」
目の前に突然現われた人に声をかけた。
「キョン君!」
朝比奈さんはゆっくりとこちらに走りよってくる。
俺はしっかりと彼女を抱き締める。
「俺は朝比奈さんと離れたくない!もう未来には帰らせません!」
朝比奈さんはその潤んだ瞳から涙をとめどなく流していた。
「わたしも……キョン君とずっと……」
「わかってます……わかってますから……これから一緒に暮らしましょう」
一瞬キョトンとした顔を見せたあとまた泣きながら朝比奈さんは言った。
「……はい!」
……………
…………
………
……

 
以下回想。  
 
 
 
嘘です。続きません。

 

 



「どうしてこんな簡単な事に気付かなかったのかしら」
「何に気付いたんだ?」
「ないんだったらつくればいいのよ!」
「何を」
「SSよ!」

 

 

 

 



───うーん苦しい。
まるで頭の上にモフモフ大福が乗っかっている気分だ。
あと、おなかの部分がバンバン叩かれているような気がする・・・

って目覚めると俺の頭の上にはシャミセンがどっしりと乗っていた。
「おっきなーい、おっきなーい、キョン君は寝ぼすけー」
しかも新しい曲を歌いながら妹が腹の部分をバンバン叩いていた。
俺はシャミセンをどけてベットの下に下ろすと、
「こら、俺を殺す気か。」
「だってー、キョン君なかなか起きないんだもーん。」
「今日は日曜日だからゆっくり寝たいんだよ。」
「だめだよキョン君、休みの日だからって寝てばかりいちゃ。
もうご飯出来てるよ。」
「わかったわかった、今から行くから先に行ってなさい。」
「はーい。シャミーいこー。」
シャミセンは『俺もまだ寝たいんだが』と言う顔をしながら
妹に引きずられて部屋から出て行った。
そうだよな、シャミセンよ、休日はゆっくり寝たいよな・・・と
一瞬思ったがこいつはいつも寝てるか。

さーて、朝食でもとってその後ゴロゴロ過ごしますかね。
そう思って部屋を出ようとしたとき、携帯の着信音が鳴った。
はいはい、今日はけたたましいね。
『ちょっとキョン、どうせ今まで寝てたでしょ!プリンスレには
休息なんて無いのよ!朝ご飯を食べたらさっさと保守しなさい!』
ああ、神様俺には休日と言うものが無いのですか・・・
『スレが落ちたらまろやかプリン10個おごりの刑だからね!』
そういうとハルヒは電話を切った。
やれやれ、今日もプリンスレは保守と投下で忙しくなりそうだ。
                      ───という保守、おはよう

 

 

 

 



キョン「えっくし」
みくる「くしゅん」
ハルヒ「はっくしゅん」
古泉「はっはっはっマッガーレアッー」
長門「…」





長門「へっしょん………まもの」

 

 

 

 



実は超仲のいい二人。

みくる「長門さ~ん、やめてくださいよ~」
長門「朝比奈みくるの乳房をいたぶる快感」むにゅっ
みくる「んもおう~、長門さんはすぐわたしのおっぱい触るんだもん」
長門「だって気持ちいい」
みくる「そりゃ、仕返し!」プニ
長門「あ、ダメ……ほっぺたむにむにしないで」
みくる「長門さんのほっぺやわらか~い」
長門「あなたの乳首を捜索する」
みくる「あ、やだ……ちょ、ちょっとぉ~」

ガチャ
キョン「こんにちはっと……あれ、長門と朝比奈さんだけか」
みくる「あ、キョンくん……よかったぁ…長門さんと二人きりで心細かったんですよ?」
キョン「二人とももう少し仲良くしろって」
長門「……」

 

 

 

 



実は超仲のいい二人 2

キョン「うぃ~す、あ、古泉だけか……」
古泉「あ、キョンたんだぁ~~ん~、キョンたん!キョンたん!」
キョン「いっちゃん!いっちゃん!いっちゃん!」
古泉「キョ~ン、たんたん!パブリッシュ!デリシャス!」
キョン「いっっっっつきちゃん!フィーーーバーーーー!!!」
古泉「ひっさしぶりアレやりますかあああ!」
キョン「いいねえええ!ア・レ・や・ろ・う・ぜ!!」
古泉「せ~の!ぷちゅまポ~ンチ!」
キョン「ぷちゅま~…プォ~ンチ!」
古泉「ぷちゅ、ぷちゅまあ!」

ガチャ
ハルヒ「あ~、掃除当番なんてかったるくてやってらんないわ」
古泉「こんにちは、涼宮さん」
キョン「おせえよハルヒ。いつまでこいつとオセロさせる気だよ」

 

 

 

 



実は超仲のいい二人 3

朝倉「空間は閉鎖したわ。もう誰にも侵入を許さない」
キョン「く……ってことは今俺達二人きり?」
朝倉「そうね………うふふ、や~っと二人きりになれたんだから~」
キョン「よ、よせよ~」
朝倉「ねえ~ん、キョンくん。こんどの海外旅行どこいくぅ?」
キョン「そうだなぁ……カナダとかどうだ?」
朝倉「ああ~ん、どうしてそのワード出すのぉ?プンプン!」
キョン「冗談だよ、涼子~。こっちを向いておくれよ~」
朝倉「じゃ、キスして……ん」
キョン「……ん、ぷは、これでいいだろ?」
朝倉「いやいや、もっとあついのがほしいの~」
キョン「しょうがないなぁ…ん~」

ガッシャーン!
朝倉「じゃあ、死んで」
キョン「ひぃぃー!」
長門「一つ一つのプログラムが甘い。だから侵入を許す」
朝倉「邪魔する気?」
キョン「ひぃぃ~、助けて長門ぉ!」

 

 

 

 



実は超仲のいい二人 4

みくる「こ、ここどこですか?わ、わたし誘拐されちゃったんですか?」
パンジー「そうだ。もうここには俺とあんたしかいない」
みくる「……ってことは二人きり?」
パンジー「そうだね。俺達……」
みくる「未来人コンビ!」
パンジー「イエー!!」「みくる「イエー!!」
パンジー「見てみて!べとべとジュリアン人」
みくる「やべえwww未来ギャグww1200年はえーっつの!」
パンジー「だからワイフにこういってやったわけ『だったらベンツ買えよ』」
みくる「でたww未来アメリカンジョークw面白すぎwww今度は2000年はええよww」
パンジー「TPDD発案者のモノマネしまーす」
みくる「やばいそれww禁則じゃねえかww」


バアン!!
キョン「このやろー!!朝比奈さんに何をしたああ!」
パンジー「フッ、何もしちゃいないよ。ただ眠らせただけだ」
みくる「……」
キョン「朝比奈さんを離せ!さもないとタダじゃすまさん!」
パンジー「フン、今日のところは撤退しておく。規定事項だからな」

 

 

 

 



実は超仲のいい二人 5

ハルヒ「な、なによ。生徒会室なんかに呼び出して」
会長「そんなつれないこというなよ、俺とお前の仲じゃないか」
ハルヒ「フン、どんな仲よ、あたし達敵同士じゃない」
会長「いいのか?今度お前の観たいって言ってたあの映画連れてってやろうと思ってたのによ」
ハルヒ「え?ウソウソウソ行くよ、行くってば!」
会長「ほらほら、チケットはここだよ~」
ハルヒ「ああ~ん、ずるいよう、待て待て~」
会長「ハハハほ~ら、こっこまでおいで~」


ガチャ
古泉「会長、長門さんと彼をお連れしました」
ハルヒ「勝負よ!勝負しなさいよー!」
会長「フン、口の利き方も知らない下衆で野蛮な女だ」

 

 

 

 



実は超仲のいい二人 6


長門「……」
喜緑「……」
長門「……」
喜緑「……く、くく…ぷはっ!あーっはっはっは!」
長門「これでわたしの17勝5敗」
喜緑「あーっはっは、有希、にらめっこ…あっはっは、強すぎーあーっはっはっは」
長門「こんな顔も出来る」
喜緑「ブフーッ!ず、ずりーそれ!ぎゃはは!もうだめえ!わたしの負けでいいから!あーっはっはっは!」

バアン!
ハルヒ「じゃーん!…って、うわ、喜緑さんお久しぶり。部室でなにしてんの二人で。お話?」
長門「そう……」
喜緑「……」
ハルヒ「…っていっても何にも話してないじゃない」
長門「……」
喜緑「……ぷっ(思い出し笑い)」
ハルヒ「?」

 

 

 

 



「おっはよーキョンくん!」
「うんー? ……おう、むはやう……」
 もう!早く起きないと遅刻するよ!(::゚:ж:゚;)<はやくーはやくー!HAHAHAはやっくぅー!
「ウザキメェwwwww」
 やっと起きた。じゃあシャミ連れて行くね!
「おう、ほれシャミセン。飯だぞ」
「ミギャッ」
 わたしはシャミを連れて一階に降りて行った。あれ?何これ。『フィルター解除完了』?……よくわかんないけど、まぁいっか!
――――――――――――
 その日は地球が丸々レンジに入れられた様に熱々だった。全く……少しは冷却しないと俺がバターみたいに解けちまうぞ。んなわけないか。
 その時後ろから声をかけられた。
「おっはようキョン!今日も冴えない顔してるわねー」
 ハルヒか。
「お前はいつもと変わらず可愛い顔してんな。あと、冴えない顔で悪かったな」
「へ?」
 おい、どうしたんだ?いきなり顔真っ赤にしやがって。熱でもあるのか?
「どうした?真っ赤になりやがって。まぁそんな顔も可愛いわけだが」
「はぁっ!?」
 おいおい。茹蛸かよ。蛸か、あぁたこ焼き食いてぇな。
「本当どうしたんだよ。熱があるなら帰った方がいいぞ。万が一寝込んだりしてみろ。心配でたまんねぇだろうが」
「あ……あ、あんた……」
「ん?」
 今日のハルヒは本当にどうかしている様だ。風邪か?いやいや、こいつなら風邪なんか弾き返してしまうだろう。
 だとしたら何だ?いや、やめておこう。あんまり頭を使うと俺まで顔が真っ赤になりそうだ。爆発しながら。

 

 

 

 



長門「最近絡みが定番化してきたな……新しいカップリングとかないか?」
キョン「みくる×キョン、ハルヒ×古泉」
長門「お前誰に需要あると思ってんだよ?」
キョン「おっきなオッパイに引かれるのは自然のせつり、何故駄目か理解不能」
長門「お前の考えが理解不能だ!」

 

 

 

 



キョン「どうした長門?」
長門「…えっと、今年のクリスマスイブは」
ハルヒ「ちょっとキョン!24日25日は一緒に過ごすわよ!」
キョン「何をかってに!」
ハルヒ「断ったら死刑よ!」
キョン「はぁ…やれやれ…」
長門「…」
キョン「長門なんだっけ?」
長門「…なんでもない…なんでも」


12月26日
谷口「今年はサンタクロース見なかったな」
国木田「サンタ狩りできなかったね」

 

 

 

 



長門「かれーがすきでなにがわるい」
キョン「悪くはないがレトルトカレーで十秒チャージはちょっと…」

 

 

 

 



キ「おい長門」
長「何」
キ「風が強いんだからスカート押さえろよ」
長「問題無い」
キ「いや、流石にパンツが見えるのはマズイと思うぞ」
長「問題無い。はじめからはいていない。」

 

 

 

 



長門「これが『カップ焼きそば』……初めて」ペリペリ

長門「!?…作り方には火を使うという記述は無いのに『焼きそば』…?」

………………
ピーッ
長門「お湯が沸いた…これで作れる…!!?」
長門「『火薬』……!?」ガクガクブルブル


キョン「…で?怖くなって俺に電話したと」
長門「………コクリ(キャベツだったとは…不覚///)」

 

 

 

 



「キョンくーん、このお人形ハルにゃんに似てない?」
 これは……似てるもなにも、こんな指を突き出してこんな腕章をしてこんなスタイルが良くて見てくれだけはいい奴は
ハルヒきりいないんじゃないか? しかしどうしてこんなものがあるんだ?
「って、待てよ」
 ショーウインドウを覗いていたと思ったらさっさと玩具店に入っていく妹を追って俺も入店する。今時めずらしい
こじんまりと個人商店。おもちゃ屋さんというのが最適だろうか。
「あのお人形はなーに?」
 店主らしき年配の男性に妹が問いかける。俺も知りたいので黙って後ろについていることにする。
「あのお人形かい? お嬢ちゃんもお目が高いね。あれは世の中に一個しかないんだよ」
「ハルにゃんなの? 誰が作ったの?」
 店主が怪しい目つきで笑った……ように見えたのは、気のせいだろうか。
「無名の人形作家が思いつきで作ったという話は聞いたが、さてどうなのかね。私にはわからないな」
「いくらなんですか?」
 ここで初めて口を挟む。勘に過ぎないがあの人形には何かがあるんじゃないか、それも悪い意味で。
できれば買って帰って明日にでも長門に見せてみたい。
「お嬢ちゃんのお兄さんかな。あれは売り物じゃないんだが……まあいい、ちょっと古くて買い手もつきそうに
ないから、譲ってあげるよ」
「わーい、ありがとお」
 喜ぶ妹。一方の俺はというと、あっさりとハルヒ人形を手に入れられたということが何を意味するのかに気を
取られていて店を出たあとどう帰ったかさえ覚えていない。もし道順を覚えていたところで、次に行くとあの店は
消えているんじゃないか。

 次の日は妹を先に送り出してから、こっそりと昨日の人形を持って家を出た。今事故に遭って死ぬと俺は
男のくせに人形遊びが好きな高校生として後世に名を残してしまいかねない。細心の注意を払って登校する。
その必要以上の注意が逆にあだとなったらしい。自分でも気づかないうちに後ろから疾走してきた自転車に
突然ベルを鳴らされ、驚いた俺は車道に飛び出してしまい……

 

 

 

 


 

 

 

ヒューン!カッ!
キョン「ん、なんだこのカード……はっ!キャッツだ!」

 『予告状
 今夜12時、
 コンピ研のパソコン一式をいただきに参ります

 キャッツ♥アイ』

ハルヒ「ふっふっふ、わがSOS……いや、キャッツ・アイに盗めない物なんてないんだからね」
みくる「ふぇぇ……この格好寒いですぅ」
長門「……」

キョン「そこまでだ、キャッツ!今日という今日は捕まえてやるぞ!」
ハルヒ「あ、キョン!ほら、みくるちゃん出番よ!」
みくる「え?あ、あの……」
ハルヒ「ほらぁ、さっさといつものビームを撃っちゃって!」
みくる「は、は、はい!み、み、み、みくるビーム!」
キョン「……。ぐはぁ、やられたぁ。こいつはすごい威力だなぁ。まいったまいった。ばたんきゅう」
ハルヒ「あ、そんなところで倒れないでよ。通れないじゃない。もっと端によってから死になさい」
キョン「へいへい……」
ハルヒ「ほら、有希もみくるちゃんもこれ部室に持ってって」
長門「……さらばだキョン刑事」

~~~次の日~~~
ハルヒ「ほら、キョン。さっさとこのパソコンをネットに繋げるようにしなさい!」
キョン「なんだって急にこんなにパソコンが部室に増えてるんだよ」
ハルヒ「知らないわよ。今日部室に来たら勝手に増えてたの。誰かが落としたんでしょ」

キョン「しかし、キャッツってのはいったい誰なんだ……正体がまったくつかめん」
 



長門の教室にて
 
キョン「(えっと……長門……あ、いた、って……げっ、本当にひとりぼっちなんだな……)」
 
キョン「よ、よう長門。ちょっと悪いんだけど教科書貸してくれないか?」
長門「……なに?」
キョン「世界史の教科書、あと資料集も」
長門「ロッカー」
キョン「わかった、ありがとな」
 
キョン「え~っと……長門有希、長門有希……あっ、あった」
 
 ――ガチャ パサ
 
キョン「ん……? なんか落ちて……げえっ!」
長門「待って……! 開けない……あ」
 
キョン「……」
長門「……」
キョン「……」
長門「……」
 
キョン「……BLか……?」
長門「うっ……」ビクッ



長門(ジーーー)
みくる「な、なんですかぁ?」ボインボイーン
長門「……ペタペタ」
長門「……背は私の方が勝っている」
みくる「ひゃい?」



俺は今SOS団にいる。団員は全員いる。
「じゃあ今日は解散!」というハルヒの一声によって本日の業務は終了した。
ハルヒは解散と同時に帰宅したようだ。古泉は爽やかに帰宅した。俺が帰り支度をしていると長門と目が合った。

「どうした?」
「あなたに聞きたい事がある。」
「なんだ?」
長門は手紙のような物を俺に差し出した。
「読んで。」
「わかった。」
簡単に説明すると、長門はラブレターと呼ばれる物をもらったようだ。
「わたしはどうすればいい?」
「お前はどうしたいんだ?」
「どうしたいとは?」
「その人と付き合ったりしたいかって事だ。」
「しない。」
「会って話したりは?」
「しない。」
「じゃあ何を聞きたいんだ?」
「彼が何を求めているか。」
「その人は長門と一緒に居たいんだろ。で、許可を求めてるんじゃないのか?」
「そう。」
「で、どうするんだ?」
「この場合に許可は与えられない。」
「そうか。じゃあそう伝えればいい。」
「そう。」
それにしても長門にラブレターとは。そういえばこいつは谷口評価でAマイナーだったか。

「どうしたんですかぁ?」とは朝比奈さん。
俺は長門を見て、長門がわずかにうなずいたので朝比奈さんに事情を説明した。
「そうなんですかぁ。いつ返事出すんですか?」
「ついてきて」
「ひぇ~?」
もしかして今なのか?長門よ。
「あなたも」
俺もか!?

そして3人様々な事を考えてかデフォルトなのかは疑問だが、無言で長門についていった。
着いた場所は屋上。背の低い古泉のような、爽やかな好青年のような印象を受けた。
「俺たちは何のためにつれてこられたんだ?なんかしなきゃいけないのか?」
と俺は長門にこっそり聞いた。
「あなたたちはわたしの横に立ち、わたしに話を合わせていてくれればいい。」
そう言うと屋上の古泉似の彼の方へ歩いていった。
「行きましょう、朝比奈さん。長門がああ言うのは何か考えがあっての事ですよ。」
「はいっ」
朝比奈さんは興味津々といった表情をしている。それよりいったい長門は何をするつもりだろう。

「来てくれたんだね長門さん」
彼が口を開いた。俺と朝比奈さんには気付いてはいるが何も気にしていない様子。
無言で返す長門。俺しかわからない程度に頭が上下に動いた。

「手紙読んでくれた?読んだからここにきてくれたんだよね。それで、うん、ちゃんと言います。
僕はあなたの事が好きです。あなたと一緒にいたいです。付き合ってもらえますか?」

こいつは俺と朝比奈さんの事置物程度にしか思ってないのかな?
まあ俺と朝比奈さんは置物のように黙っているんだが。
「そう。」
ようやく口を開いた長門はチラリとこちらを見て
「わたしは今、彼をめぐって彼女と三角関係にある。」と言った。
朝比奈さんは驚愕といった表情を見せている。俺は、正直意識がとんだ。
「よって、あなたの期待に添えられない。」
「そっか。でも彼は涼宮さんと付き合っているんじゃなかったかな?」
「断じて違う!」
と言い放ったこの言葉こそ、俺がこの人に発した最初の言葉だった。
「なんで俺とハルヒの事を知っているんだ?」
「君たちは有名だからね。それに、好きな人が所属する団体だし。」
ああ、なんとなくわかるわ。もちろん最後の発言だぞ?
長門はまた俺を見た。嫌な予感がする。
「訂正する。涼宮ハルヒを含めた私たち4名による四角関係。」
もういい。俺は何も言わない。朝比奈さんは最初から何も言える精神状態じゃなさそうだし。
「そっか。わかったよ。最後に彼に聞きたいことがあるんだ。」
「なんだ?」
「誰が本命なんだい?」
「知らん!」
「じゃあもう一つ。僕は遠回りに振られたんだよね。」
俺が何か言おうと考えてるうちに彼は「さよなら。」と言い帰ってしまった。

誰もいない様な静寂が屋上に佇む。
いろいろなことが頭の中を駆け巡ってる俺。最初からオーバーヒートしてる朝比奈さん。いつでも無口な長門。
「帰るか。」 帰って寝たい、と思った俺はそう言った。
「あなたに一つ言っておく。」
「なんだ?」
「四角関係なのは事実。私という個体は人間の感情で『好き』という感情を抱いている。朝比奈みくるも涼宮ハルヒも。」
「なななな長門さん!そそそれはそそそそんなこといいい言っていいんですか??」
「大丈夫、情報操作は得意。」


ん?ここは?そっか、昨日は早めに寝たんだっけ。
なんかやけにリアルな夢を見たな。本当に四角関係だったらどうしよう。
そんな事を考えながら学校へ向かった。
朝比奈さんと会ったとき、朝比奈さんは顔を赤くして狼狽していた。
長門に会ったとき、表情に若干の変化は見られたが俺にはまだわからないようだ。
ハルヒは笑顔で昨日の事を聞いてきた。
ハルヒによると昨日長門が手紙をもらったのを知っていて後をつけていたらしい。
そこでようやく長門に記憶を消されていた事に気付いた。
やっぱり長門が最後に言ったセリフと呪文みたいな言葉は情報操作だったのか。

今はハルヒをごまかして、放課後になったら長門を問い詰めよう。
なぜ情報操作をしたのか。なぜハルヒは知っているのか。
そして、本当に四角関係なのかだけは聞かない事にする。


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最終更新:2021年12月28日 13:52