もう―――何度目になるか。
「いい加減にしたらどうだ?あいつはストーカーを募集した覚えはないんだよ」
目の前の゛それ〝は答えない。応えない。
ただ、そこに在るためだけのように立ち尽くして無言に徹する。
「……あんまり黙りこくってるヤツもまあ、少なくはないけど多いわけにはならないな」
周りの景色は紅く停止し、世界は流れない。
この中に動いているのはただ二人。
否、ただ一人とただ一つ。
「まあ、とにかく、始めようか」
俺は体に似合わない野太刀を足元からたぐり寄せる。
最初からそこにあったように、何の不自然もないように。
紅い丘から、一本の剣を取り出す。
存在し得ない、複製した剣を―――無限に。
詠唱、
「I am the born of my sword―――」