放課後。帰り前のショートホームルームが終わると同時に僕は走って昇降口に向かった。
 
学校終了>即帰宅>夕食>お見舞い
 
がここ最近の僕の毎日の過ごし方だ。森さんの入院している病院は、僕の家からだと少し距離があり急がないと森さんに会える時間が減ってしまうのだ。
学校終了後すぐにお見舞いに行ければ良いが、家は家族揃って晩御飯を食べるのが決まりなので、なかなか思い通りにはならない。
 
因みに森さんが事故に遭った日、朝帰りを怒られそうになったが、一緒に来てくれた古泉君と新川さんがフォローしてくれた。古泉が森さんの弟で新川さんが父親って言う無理な設定だったけど……
まぁ、そのお陰で問題無くお見舞いに行けるんだし…2人には本当にどんなに感謝しても足りないと思う。
 
一度ちゃんと古泉君にお礼を言おうとしたが、いつもの微笑でお気にせずとだけ言われてしまった。何か今更だけど古泉君も不思議な人だよね。
 
森さんと知り合ってから色んな事があったなぁ…と考えながら家に着いた僕は、自室に戻りベッドに寝転ぶ。
 
森園生さん。最近僕の頭の中の80%以上を彼女が独占している。授業中も、谷口達と昼休みを過ごす時も、こうやって家に帰ってからも…。
可愛らしい声やふとした表情…大人の女性を思わせる優しさ…全てが僕の頭から離れない。
 
 
 
…無邪気に笑う彼女を見て…僕は森さんを好きになった。
でもその時は今の仲の良い姉弟の様な関係に満足していたし、それ以上を望むなど、思いもしなかった。
今までだってそうだ、クラスに好きな女の子が居ても…僕は特別告白しようと思わなかった。
 
でも森さんのお見舞いに行くうちに…僕は彼女への気持ちを抑えられなくなっていった。たわいもない会話でもらす微笑みを、勉強や進路の悩みを親身に聞いてくれる優しさを……僕は独り占めしたくなった。
いや、森さんの笑顔や気持ちは別に誰の物でもない…強いて言うなら、森さんの物だと思う。それでも…僕は…彼女が欲しい。そう思う様になってしまった。
 
昨日森さんに退院も近いと聞いた。退院してしまったら、今までの様に毎日会えなくなってしまう。だから…そうなる前に僕は…この気持ちを打ち明けたい。
 
 
夕食を終えた僕は自転車に跨り、森さんに会える嬉しさと緊張を感じながら、通い慣れた病院への道を急ぐ。僕が好きな時間の1つだ…もちろん1番は森さんと会うときだけどね。
 
 
病院の入り口で珍しく古泉君にあった。
「これは国木田君、今からお見舞いですか?」
 
「うん。古泉君は今帰る所?」
 
 
「まぁ……そんな所です。」
微笑んではいるが、どこか心配そうな、暗い雰囲気の古泉君を覗き込む。
……まさか森さんに何かあった?…でも近々退院を控えている人間の容態が、急に悪化するんだろうか?
いや、もしそうなら古泉君は帰ったりしないし、以前の様に僕に連絡をくれる筈だ。
 
「いえ…何かあったかと言われると、そうでは無いのですが…」
僕の疑問を察したのか説明してくれる……がいつもと違い中途半端だ。やはりおかしい……。
「古泉君いった…」
「僕の口からは言えません。」
古泉君は僕の質問を遮り、今までに見た事がない真剣な表情で僕を見る。
「僕は貴方を信じています。森さんをお願いしますね。」
 
 
そう言葉を残して古泉君は行ってしまった。どうしよう……いや、弱気になったら駄目だ。取り敢えず森さんに会おう。
 
森園生の名前があるプレートを見ながら僕は深呼吸する。……そう大丈夫だ。自分に言い聞かせ、扉をノックする……が返事がない。
 
まさか?!
 
嫌な予感がして扉を一気に開ける。しかし、そこにはいつも通りに窓の外の景色を見ながら、煙草を吸う森さんの姿があった。
肩すかしを喰らった気分で病室に入ろとすると、急に森さんが話し出した。
 
「古泉…しつこいわよ……あんたの正論なんて聞きたくな…」
「森…さん?」
僕の声を聞いてビクリ肩を震わせた森さんは、紫煙をゆっくりと吸い込み、吐き出す。
「……国木田君でしたか。ごめんなさい古泉が余りに説教臭かったので……早とちりしてしまいました。」
彼女の声はいつもと違う。誰が聞いても分かるほどに、無理に明るい調子の声。
「いえいえ、それより森さん…大丈夫ですか?何だか元気がないような…。」
「あら…入院してる人間は元気とは言えませんよ?」
クスリと笑い声をもらしながら言う。
「確かにそうですね…これは失礼致しました。」
僕が少しおどけて古泉くん風に言うと、彼女はまたクスリと笑い声をもらしたが…やはり元気がない。
僕が何か話そうと、森さんの居る窓際に近づこうとした瞬間だった。
「国木田君…お願いがあるんですが……。」
「何ですか?あっ!煙草が無くなったんですか?」
森さんは外の景色を眺めたまま、沈黙する。そしてやがて意を決した様に深く嘆息し言葉を紡いだ。
「もう…ここには来ないで下さい。」
言葉は聞こえたが、頭は理解出来ないらしく僕は沈黙した。
「もう一度言います…もう私には関わらないで下さい。」
 
「えっ…?」
やがて言葉の意味を理解した僕が発したのは…情けないことに息が漏れただけのような一言だった。
 
 
 
「急にごめんなさい。でも分かっていただけませんか?」
そう言って森さんは、今日僕がここに来てから数えて3本目の煙草に火を着けた……まるでもう話す事が無いと言うように。
「すいません…僕が悪い事したなら謝ります…だから、その…せめて理由を…」
「言えません。……貴方は悪くありません。悪いのは私です。だから、私の様な嫌な女に構わないで下さい。」
 
まさに…とりつく島もない…。僕は森さんに背を向けドアに向かって歩き出す。森さんは今日一度も僕の方を見てくれなかった…。そこまで嫌われたら仕方ないけど……でも…最後なら少しくらいワガママ言っても良いかな?
「ごめんなさい森さん…僕は貴女の事が好きでした。だから…最後に少しだけ顔を見せてくれませんか?」
「ごめんなさい…それも出来ません…分かって下さい…お願いします。」
森さんの声が震えている…。どうして?…表情が分からないから、何故か声が震えているか分からない。でも…おかしい…いくら入院していて弱気でも、森さんは急にこんな事を言う人では無いはずだ。
 
そう言えば…僕が入った瞬間森さんは僕と古泉君を間違えた。と言う事は森さんと古泉くんが直前まで話していたのは間違いない。
何を?森さんは古泉が説教臭いとお茶を濁した。古泉君は森さんをお願いしますと言った。……やっぱり変だ。
上手く説明は出来ないけど、昨日の面会時間終了まで仲良く話していた相手を、急に顔も見たくないほど嫌いになるだろうか?ない…と思う。そう…やっぱり何かあったんだ…。
「森さん…何かあったんでしょう?」
「…お願い…します分かって…。もう…私に構わないで…」
ついに震える声に嗚咽がまじる。
「わかりません…森さん泣いてるじゃないですか…何を隠してるんですか?僕何でしますから…」
「おねっがい…っく…何でもするなら…っ…出ていって…」
嗚咽が泣き声に変わる…そうだ、僕は今頃気付いた森さんは関わるなと言ったが、僕を嫌いだとは言っていない。何かあったんだ…森さんが他人との関わりを断ちたくなるほど辛い事が…
「好きな人が泣いてるのに…出ていける筈がないですよ…」
「お願いっ…もうっお願いよ…出ていって…私をっ…私をこれ以上掻き乱さないで!出ていって!」
 
感情が堰を切った様に…今日初めてこちらを振り向いて叫んだ森さんの目は、数時間前からずっと泣き続けているような真っ赤な目だった。
 
 
そんな目を直視出来ず、僕は叫んでしまう。
「出来ません!そんな状態の森さんを独りに出来るはずないでしょう!?」
「お願いっ…大人になって!分かってよ!独りにして!もう…ほおっておいて!」
自棄な叫びを上げ森さんは自分の顔を覆い子供の様に泣きじゃくる。

僕は…どうすれば…いや、どうすればじゃない。
森さんが言う様に…僕はここを去ればいい。
そして彼女を忘れてしまえばいい。
森さんを今こんな風に泣かせているのは、紛れもない僕だ。今は苦しいけど…胸が痛いけど…それが大人になる事なんだ。
…それで将来お互いに恋人を見つけて、街角ふと出会って、お互いに今を懐かしいなと微笑み合えば良い。
僕は森さんに背を向け病室のドアを開けようとした……あれ?おかしいな…何でドアノブが見えないんだろう……おかしいな…どうして僕まで泣いてるだろう
決まっている…僕はそんなの嫌だからだ。
この言い様のない嫉妬と焦燥感が今だけの物で、数年後には甘酸っぱい思い出に変わるとしても……嫌だ、絶対に嫌だ。もういい…子供で構わない。青臭い妄想って笑われても構わない…でも子供だから分かる気持ちだってあるハズなんだ。
 
僕は森さんの方を振り返って、ここが病室だということを気にせずに森さんに叫び返しす。
「そんなのが大人なら…そんな事が貴女と吊り合う大人になるって事なら…僕は貴女に釣り合わないままの子供でいいです!貴女に子供だと笑われても…僕は貴女が好きなんです!
だからっ…だから!そうやって泣いている貴女を…絶対に絶対に独りにして出て行くなんて出来ません!」
もう自分でも何を言っているか分からない。森さんからすれば訳の分からない事を叫んでいる馬鹿でしかないだろう…。でも僕はそう叫ばずには居られなかった。
 
 
沈黙。森さんの嗚咽混じりの泣き声だけが部屋に聞こえる。
 
「分かりました。」
 
しばらくした後、そう言うと森さんは背を向けて立ち上がり、着ていたパジャマを脱ぎだした。
「ちょっ!?森さん?!」
僕の制止も聞かず包帯を背中にビッシリと巻かれた包帯を外すと…そこには、目を背けたくなるような無惨な傷があった。
「これを見ても…まだ君はそんな事言えますか?子供の国木田君?」
 
彼女の自嘲した様などこか僕を挑発したような声が病室に響いた。
 
 
 国木田君はどうやら絶句しているらしい。それはそうだろう…私だって初めて見た時信じられなかったのだ。
 
 
 私がこの傷を知ったは、今日の日中の回診の時だ。優しい老医師は『体も精神も弱っている時に教えるよりも、ある程度回復してから伝えた方が良いと思った。』と言っていた。
確かに…あの時聞いたら…まぁ死にたくなってたわね…。凄惨な傷だが命に別状は無く、日常生活にも支障はないらしい。
ただ…見た目が酷すぎる。正直、この傷で背骨に異常が無いのを感謝したいほどに…。それを医師に伝えたると、『貴方は強い人ですね。』と誉められ、悪い気はしなかった。
が…どうやらこのは傷医療整形しても完全には治らないらしい…機関の可愛い後輩を助けたのだから、これ位安い物だ…そう思う事にした。
 
回診も終わり独りになると、何故か不安になってきた。やはり国木田君はショックを受けるだろうか?
ある意味本当に傷物なのだ。確かに私はもう純潔では無いし……傷物と言う意味では当たりなのだが……ダメだ。
これ以上考えたらどんどんネガティブな思考になる。分かっていても、私の頭は思考を止めてくれない。
こんな傷があったら、彼に嫌われてしまう…イヤだ…怖い…彼に嫌われたくない。
 
 
 一度恐怖にかられると、もう…耐える事など出来なかった。
「イヤっ…ひっく…国木田…君…私…怖い…怖いよぉ…うっあっ…うわあぁぁっ!」
ベッドに潜り込み、私は声を上げて泣いた。そうしないと自分を保って居られなかった。
 
私を正気に戻したのは病室の部屋に響いたノックの音だった。
「森さん、よろしいですか?」
「古泉?少し待って…。」
流石にこの顔は誰にも見せられない。私は窓際の椅子に腰掛け、外を眺める振りをした。
「どうぞ?」
「失礼します。ついでに食事もお持ちしましたが…食べられますか?」
「そこに置いてて後で貰うわ。」
大丈夫。普段通りの私だ。
「ねぇ、古泉。傷の事知ってた?」
「はい…知っていました。医師に聞かれたのですね。」
古泉の声が沈む。そうか…責任感のある彼の事だ、自分のせいだと思い込んでるのだろう。
「大丈夫よ古泉。貴方のせいじゃないわ。」
「でも…でも森さん僕があの時…」
やっぱりそう思っていたらしい、この子も意外と単純よね。
「いいのよ…その代わり…国木田君にもうここに来ないでと伝えておいて…。」
「なっ!?森さんそれはいったいどういう事ですか?!」
私からは見えないが、きっと古泉の顔は驚愕に歪んでいるだろう。
「古泉…ごめんね…でもこんな体、彼に見せたくないの…。」
…私に負い目を感じているなら古泉は従うだろう。
「分かりました…失礼します。」
しぶしぶと古泉は出て行った。後輩を虐めて何やってるのかしらね…私は…。
 
 
 
 
しかし、そのすぐ後に国木田君が来た…どうやら古泉は私の頼みを聞かなかったらしい。まぁ彼の性格なら仕方ないか…。
 
 
 
 
 私が回想している間も、言葉を失ったかのように彼は押し黙っている。
ほらね…口では何とでも言えるもの……嫌なんでしょ?こんな傷が付いた女なんて…。
さっきまで、偉そうに私に説教してたのが嘘のみたいね?
 
所詮コンナモノナノ?…何ガ好キヨ…何ガ置イテ行ケナイノヨ…何ガヒトリニハ出来ナイヨ…笑ワセナイデ…
私の頭に黒い思考が満ちていく。
 
そうだ…せっかくだし最後に彼を試してみようか?もちろん彼がどんな選択肢を選ぼうがお引き取り願うのだが…。
 
私は彼に背を向けたまま、身に着けているもの全てを脱ぎ捨てた。
「森さん?!いったい何を!?…もう…もうこれ以上自分を貶めるのは止めて下さい」
必死で私を諫めようと彼は叫ぶが…無駄だ…。私は彼の方を向き両手を広げて冷たい視線を彼を見つめ妖笑を浮かべる。
「いらっしゃい」
彼は動かない…いや動けないのだろう…。
 
 
…仕方ない。私は追い討ちをかけるべく更に声色を甘くする。
「どうしたのボク?私の事好きなんでしょう?なら…私に証拠を見せてご覧なさいな?」
彼はフラフラと私に近付いて来る。まぁ…流石にウブな高校生でもここまで言われたら堕ちるか…。
「森…さん…」
「いいのよ?好きにして…」
 
私は彼を見つめ瞼を閉じる。
これで終わり。
一夜の逢瀬を楽しんで全て終わり。
ごめんね国木田君…こんな弱く汚い人間で…。
「森さん…ごめんなさい…」
 
パンッ…と小気味の良い音がした。
 
何があったか理解するのに少し時間がかかった。そう…彼が私の頬を打ったのだ
「国木田…君?」
「森さん…いつまで甘える気ですか?貴女はそんな人間じゃないでしょう?」
厳しい台詞とは真逆に、とても穏やかに微笑んでいた。
「えっ…あっ…その…ごめんなさい。」
彼の優しい笑みと、父が娘を諭す様な暖かい声色に…私は素直に謝ってしまった。
「心配しなくても大丈夫ですよ…本当に鈍くて、貴女の辛い気持ちも考えないで、ごめんなさい。
でも森さん、僕は貴女のそんな弱い所も、悪い事をして結局自分を傷付けてしまう純粋な所も、優しいお姉さんみたいな所も、ふと見せる可愛いらしい笑顔も…。
その……ありきたりだけど……やっぱり貴女の全部が好きなんです。だから、そんな傷なんて僕は気にもなりませんよ。」
 
 
彼は…そう言って私を抱き締めると髪を優しく撫でてくれた。
 
馬鹿…っ…どうして…貴方はそんな優しいのよ…そんな優しくされたら…私は私はっ…
「ごめん…なさい…ごめんなさいっ!……うっ…ごめんなさいっ!…くっ…怖かったの!…ひぐっ…怖かったのよぉぉっ…貴方に嫌われ…ってしまうと思ったら…怖くっ…て、うわあぁぁっ」
情けない…結局私は、小さな少女の様に彼にすがりつき、彼の服が涙でグシャグシャになるのも気に留めず泣き続けるしか出来なかった。
彼はその間ずっと、私の髪を優しく撫でてくれた。その優しさに私はまた涙が溢れた。
 
 
 
「その…叩いてしまって本当にごめんなさい。」
「いえ構いません。国木田君のお陰で目が覚めました。」
泣き止んだ私は彼に包帯を巻き直して貰い、更に服までかけて貰っていた。
これではどっちが子供か分からない…いや、冷静になった彼は終始真っ赤で私の裸から目を逸らして居たからおあいこだ。
 
しかし、私は困っていた。その何と言うか…タイミングを逃してしまったのだ。
確かに、彼は私を好きだと言ってくれた。だが私はどうやって返事をすれば良いのだろう?今更私も好きですって言うのは間抜けな気がする。
どうしようか…国木田君もどうも跋が悪いらしく、2人ベッドに座って硬直している様は妙にシュールだ。
 
 
 
 
あっ…そうだ、アレだ。ある事を閃いた私はベッドから立ち上がると、窓際に置いてある鞄から携帯を取り出し操作した。
 
 
暫くして、彼のポケットから甘いラブソングが流れる。彼は慌てて携帯を取り出すと、拗ねた瞳でこちらを見ると携帯をいじりだした。
 
フフっ…やっぱり国木田君は可愛いわね。
とか油断していたら私の携帯から倍恥ずかしい歌詞の歌が流れる。迂闊だったわ…そうよね…普通やり返すわよね。
 
[分かりました。
窓際で外見ながら、僕の一番好きな仕草をしてて下さい。]
 
好きな仕草?これは仕草って言うのかしらね?
私は煙草をくわえると火を着け、紫煙を揺らす。やっぱり、吸う気分で味は変わるのかも知れない格段に美味しい。
 
煙草に集中してしまった私が悪いのだろうか?いつの間にか彼は私の真後ろに居たらしく、そっと優しく後ろから私を抱き締めた。
「あっ…ちょっと…国木田く…」
「好きです。こんな情けない年下ですが…貴女が大好きです。…付き合って下さい。」
 
 
 
 
そう、私はこうメールしたのだ。
 
[本当に私が好きなら、もう一度告白して下さい。]
 
駄目だ…また涙が溢れてきた…。
 
「私も大好きです…こんな私で…よろしければ…一緒に居て下さい。」
 
 
私は彼の方を向き直りゆっくりと瞼を閉じる。彼のゴクリと唾を飲み込む音が妙に大きくて、少し笑ってしまいそうになる。
やがて、目を開けようかと迷うような時間が経った後…ようやく彼の唇が私に触れた…触れるだけの優しい口付けだったが…不思議と私は満たされていた。
 
 
ずっとそばに居てね…私の大好きな年下の優しい恋人君。
 
 
森園生の電子手紙
 
 
Fin?
 
 
 

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最終更新:2020年03月13日 09:15