門番の憂鬱 - 涼宮ハルヒのSS in VIP@Wiki

えっと、涼宮ハルヒさん？
あーよかった、探したんですよ、勝手に動き回られても困るんです本当に
え、私ですか、門番です
どこって？、まだご自身の状況を把握されてない？
案内の者がって、行ってないから私の出番なんですがね

じゃあ、最初から説明しますね
ちょっとまって、今記録を確認しますから　あーこれだ
涼宮ハルヒさん、死因は交通事故ってことになってますね、ご友人の妹さんを
助ける形で事故にまきこまれました。はい、頭うって、はい、さようならって
ことです。
え、その妹さんですが、ちょっと待ってください、そうポンポン口挟まないで
くださいよ、記録確認するのも大変なんですから
なに、役人みたいですって、そうですよ、下っ端とはいえ、そんな役割です
から、決まっていることをそのまま実行するだけですからね、私の仕事は
あー、ご無事のようですね、少なくともこの数十年分の記録には無いみたい
です。よかった、まあ、そうですね、あんまり若い方がいらっしゃるのも案内
する方としては気が重いです、はい

えー、ご納得いただけました？
次はなんですか、えっどっちに行くか？、そんなもん知りませんよ、私はまだ
門の内側に入ったことはないんですから
じゃあ、門に入らなくてもいいかですって、ダメです、規則違反です
私？、私はちょっと事情がありまして、中に入れないんですよ、だから、門番
なんです、門の外側でこうして迷っていらっしゃる方を門までお連れするのが
私の仕事です。

何、うれしそうな顔してるんですか？　不思議な方ですね、え、確かに昔は
人間をやってたこともありますから、幽霊とか霊魂とかって分類なんですかね、
今じゃこっちの世界もなるたけ宗教色を消すのに躍起ですから、こんな背広
なんて着てますけど、昔の呼び名では下級天使が一番近いですかね。
え、門をとおらなければ、天使になれるかですって、ダメです、もう記録に
残っているんですから、それに私にそんな権限ありません、黙っていてもすぐ
にばれちゃいますって。

ごねられても困るんすけどね、まあ、気持ちの整理がつかないってことでし
たら、一度下に下りてもらってもいいですよ、体は無いですから、聴いて見る
だけ、こっちの声や姿は向こうからは見えません、一定時間がすぎたらここに
強制送還です。いまからなら病院でご友人の方のお別れに間に合いますね。
では

あー難儀なのひろっちゃったなぁ、まだまだノルマがいっぱい残っているのに

お帰りなさい、どうでした、覚悟はつきました？　あれ、隣のかたは？なんで
一緒についてきちゃったんですかって、あなた何者？　ご友人で長門有希さん
ちょっとまってください、今記録しらべますから
え、何、涼宮さんをつれて帰る、無茶いわんでください、そんな権限は私には
無いですから、え、上には話はついてる？

ﾋﾟﾋﾟﾙﾋﾟﾙﾋﾟﾙﾋﾟﾋﾟﾙﾋﾟｰ
着信音が変だって、ほっといてください
はい、ええ、そうなんですよ、本当ですか、はあ、わかりました、対応します

えっと、長門さんでしたっけ、貴女はいったい？
やめときます、どうも聴かなきゃよかったってことになりそうです
はい、上の書類上すべて決済がおりてます。なにも問題ありません、どうぞ
お2人でお帰りください、道順は
はぁ問題ない、そうですか、ではごたっしゃで

ふぃー
一体なんだったんだ
でもまあ、こっちに来る人が来なくて済むならそれに越したことは無いです
はい、負け惜しみでじゃありませんって、本心からそう思いますよ
自らその命を絶った私が云うんだから本当ですって。
でも査定に響かないかなぁ　　　　　　　　　　　　　　　　　　【おしまい】