会話もそれなりに盛り上がったころ、
そろそろ食事は終わりに近づいたようだ。俺は一生味わうこともないようなデザートを食べ、
さて帰ろうか、と今日放送されるドラマの内容を考えていた。
なあに、俺みたいなのが合格するわけがないさ、と敬語モードから今解き放たれるその瞬間、
「入浴のお時間です」
と使用人が当主に言った。
「おお、そうか。すっかり時間のたつのを忘れていたわ。」
全員が食事の挨拶をして、(なんだ、終わったのか)となぜか俺は残念がっていた。
まあ、他にすることもないだろうに。ただ、もう少し、この空気を味わっていたかったな・・・
「風呂場はこちらです」
と使用人が案内をしているのを見かけた。なんだ、他の客もいたのか。
しかし風呂か・・・さぞかし豪華だろうねえ。
「あら、お風呂にはいらないの?」
だれだよ、風呂に入らないと言っている奴は。もったいない。
鶴屋さんが残念な声しているじゃない・・・ってえ?
「あなたのことよ、キョン君」

あらなに、第一関門突破したのかよ俺!あんな変なサークル入っている事を知りつつも?
ずいぶんと寛大な父上様だなあ、おい。まあ、この鶴屋さんの親だからな、
SOS団をただの変なサークルととしては見ていないだろうとは思っていた。
俺にだってプライドはあるからな。俺がSOS団のことをいって、
もし笑い転げるようだったら即刻帰る予定だったが、まさかOKとは。


そして使用人に案内されてやってきたのは、なんとも見事な露天風呂。
そこらの温泉とは別格だな。すぐさま服を脱ぎ、タオル一枚姿で外に出た。
こいつはすごいぜ、なんせ風呂見ながらお月さまが見られるんだぜ?
屋敷っつうのはすごいもんなのだな。というか俺が一番風呂ですか。
これまた俺が許婚候補であるゆえにか。
温泉に入って、そしてしばらくこの風景を楽しむとするか。
「あーっ、キョン君先に体洗ったにょろ?!」
ああ、そうだった。風呂場での常識、入る前に体を洗う!そうですよね、
・・・にょろ?
「にっひひー、キョン君顔が赤いにょろー。」
謀ったな、シャア! それは君が、坊やだからさ。


というわけで、たった今、鶴屋さんに背中を洗ってもらっています
・・・キョンですどうも。うん、どうしようか、この展開。
なに、この夢のシチュエーシヨン。女の子が俺の背中を洗っている。
そしてその女の子は、今俺と同じくタオル一丁。
想像してごらん・・・今自分の背中に裸同然の女の子が
一生懸命自分の背中を洗っているのを・・・
はっ、しまった息子が、とうとう耐えられなくなったか!
落ち着いてくれ!あとでコンビニに行ってお前の望む物を買ってやるから!
絶えろ!いいか、間違っても出すな!いろいろとやばい!我慢してくれ!
キョン君、わたしになにか聞きたいことあるんじゃないの~?」
はっ、そうだ。重大なことを忘れていた。んじゃ一番気になる・・・
「あの口調、どうしたんですか?」
というと、鶴屋さんは大きな声で気持ちよさそうに笑った。
「あっはっはっは~、びっくりしちゃったにょろ?」
ええ、そりゃあもう。
「キョン君の驚いた顔、とてつもなく面白かったにょろー!」
はい、俺の負けです。白旗白旗。
「なんであんな口調なんですか」
「そりゃあ、家の中では唯一の鶴屋家の一人娘だもんっ。
こういうときにはしっかりしないとねっ」
「それにしては、かなり役に入っていましたが」
「えっへへ~、ありがとさんっ」
結局、今のこの状態がニュートラルか。おそろしい子・・・。
「というより、なんで混浴なんですかね」
いや、まあいいんだけどね。けどその・・・
性別の差という越えられない壁があるはずなんですが。
「だって・・・今・・・」
今度は鶴屋さんが顔を赤くして、
「カップルさんなんだもんっ」
と笑って言った。
いやそりゃあまあそうですが、何もここまで・・・いや、OKとしておこう。
「背中、終わったにょろー」
「あ、ありがとうごさいます。」
んじゃ、タオル返してください。
「?前はいいの?」
・・・前っ!?

と、ここからは筆舌しがたい体験をしたわけだが
(ちょ・・胸!)
(む・・・息子がみるみるうちに成長・・・いや性長している?!)
(ああっ、息子が・・・鶴屋さんに衝突する!逃げてー!)、
そんなこんなで何とか事なき事を得た俺は、次は鶴屋さんの背中を洗うことになった。
しかし・・・白いな、女の人の体って・・・。
男の体は何度もみたこともあるが
(アッーとかいうな!更衣室ではよくみるだろ!?)、
女性とは、お袋と一緒にはいったのは小さい頃だけだったからな。                    妹は、さすがに今は入らんし、記憶がない。
そりゃあお前、息子の幾度ない欲求の為に・・・は見たことはあるがな、
さすがに実物となると・・・これはやば                                       しまった!また俺の息子が!
今度は覚醒だ!フュージョンだ!半端ねえ、すぐに風呂に入って沈めなければ!
「終わりました!」
「あっ、ありがとにょろ~」
このまますぐ風呂へ!
「あれ・・・前はしてくれないの?」
思考停止。作動開始を要請する。
・・・不可能?なぜ?・・・これは・・・人間でいう・・・理性
やばいやばいやばい!なんだ今のせりふは!
というか何で俺長門ごっこしてたんだ?!
てか前?フロント?フロントオブボディ?WHY,なぜ?!
いや前って・・・その・・・むn
「あっはっはは~、もしかして本気になったにょろ?」
・・・そうきますか。


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最終更新:2007年02月25日 23:16