珍しく古泉がまともな事を言っている
そう思えたのもほんの一瞬のことだった・・
次の瞬間には奴はいつもどおりに戻っていたからだ
古泉「変な話してごめんねきょんた~ん」
キョン「やめろ馬鹿、離せ」
古泉「フフフ、照れちゃって可愛いなぁキョンたんは~」
キョン「ちょ、勘弁しろ。アッー!!」
キョン「アナルだけは!!アナルだけは!!」

とまぁいつものオチになってしまったわけだ・・
俺が解放されたのは日もどっぷりと暮れた後だった

しかしなんで突然あんなこといいだしだんだろうなあいつは
などと考えても気まぐれ、という以外思いつかないのでやめた

次の日
いつものように登校し教室に入る。
授業が始まりいつもの風景
だが、妙に違和感を感じる
なんだこれは・・?
ふいに俺は気がついた

谷口のチャックが開いてねぇ・・

なぜだ。
いつも全開の奴のチャックが開いてねぇ。
さらにもう一つ気がついた。
教室を見渡してみたがどこにも朝倉の姿が見えない。
俺はその疑問を変わらず後ろにいる奴に聞いてみた。
「なぁ、ハルヒ」
「何よ。狐につままれたような顔して・・」
「朝倉がいないんだがあいつはどこいったんだ?
それに谷口の奴のチャックが開いてないんだ」
「はあ?あんた何言ってんの?頭でも打ったの?」
頭に?を何個も浮かべたような顔で逆に聞き返された。
これ以上聞いても無駄だろうと思い、俺はそこで前の方に顔を戻した。

昼休み。
飯を食いながら色々と聞いてみた。
朝倉について・・。
あいつは転校したらしい。理由は不明だそうだ。
俺に何度も告白してきたあいつの顔はもう見れないらしい。残念だ。
次に谷口のチャックについて・・はどうでもいいのでやめた。
朝倉の件でも結構馬鹿にされたのにこれ以上辱めを受ける必要もないだろう。

放課後になった。SOS団活動の時間だ。
またあいつにアナルを狙われるのか・・・。
だが行かないわけにはいかない。
どうもなにか様子が変で、こういう時頼りになるのはやはり長門だ。
その長門がいるのは他ならぬSOS団部室だからだ。

SOS団部室。元文芸部室前に俺はいる。
中に長門がいるとは限らない。
もし仮にいてもそいつが化けた古泉かもしれないのだ。
何度も引っ掛けられた今までの奴の手を思い出しつつ。
深呼吸しようと大きく息を吸った時。後ろから声をかけられた。
今もっとも警戒している本人に、だ。
「おや?こんなところで立ち止まって、何をしているんですか?」
「うぉふぁ、ゲホゲホ」
おもいっきり空気を吸い込んでいる時に声をかけられたのでむせてしまった。苦しい。
「大丈夫ですか?」
と俺の背中を摩ってくる。やめろ。気色悪い。
「おやおや、嫌われてしまったものですね」
「いつもいつもそう簡単にいくと思うなよ!今日だけはやらせん!!」
「何を言っているんですか?」
古泉が神妙な顔つきで聞いてくる。
油断するな俺。奴の新しい手かもしれん。
スットと近づいてくる古泉。ほら来た。やめろ!!アナルだけは!!
っと言いかけて俺の口は止まった。
古泉が俺を無視して部屋に入っていったからだ。
どうなってんだこりゃ

古泉が部室に入ってしまい必然的に俺は1人取り残されてしまった。
なにがどうなってるんだ今日は・・。
谷口のチャックに朝倉そして古泉の態度・・・。
何か壮大な仕掛けにかけられているのだろうか・・
っと、ここでいつまでも考えていても仕方がないか・・。
俺は部室のドアに手をかけた。

部室に入るとそこには古泉、長門、朝比奈さんに鶴屋さんまでいた。
ハルヒは掃除当番なのでいないのは知っている。
古泉は1人将棋を打っている。とりあえず今は気にしない事にしよう・・。
長門の方を見る。いつもなら電波を発し続けているはずだが・・。
無表情にひたすら本を読んでいるだけだった。
俺的には非常に助かるがどうにも落ちつかない・・。
次に朝比奈さんと鶴屋さんをみる。
何か2人で話しているようだ・・。
おかしい・・いつもなら影がうすい2人とはいえ。
鶴屋さんを無視する事無く時に笑い合ってる。
ふいに鶴屋さんが朝比奈さんに、
「もう~みくるはだめにょろねぇ~」
などといいながら冗談半分にペシペシ叩いている。
アッー!!やばいぞ鶴屋さん!そんなことしたらスイッチが入って黒化して・・。
などという事も起こらず、そのまま笑いあっている・・。
平和だ・・・平和すぎる・・なんだこれは・・。

古泉にアナルを狙われる事もなく。長門が電波を受信する事もなく。
まして黒みくる化もしない・・。本当にどうなっているんだ。
はっ・・・わかったぞ!これはきっと壮大な釣りなんだ!!
俺を騙して最後にはいつものようなオチが待っているんだ!
きっとそうだ・・俺はそう思いひたすら警戒していた。

・・・特に何事もなく、その平穏な時間が過ぎていく。

もうだめだ・・おかしくなりそうだ・・
根をあげたのは俺だった。もうどうにでもなれ。
俺は気がつくと立ち上がり叫んでいた。
「くそーどうなってんだこれは!俺を精神的においつめて面白いのか!!
なぁ、古泉?何とか言ってみろよ!」
全員の視線が俺に注がれる。
その全てがぽか~んといった感じの表情だった。
いや、違う。1人だけいつもの無表情の奴がいた。長門だ。

「貴方は情報の爆発に巻き込まれた可能性がある」
という長門。
「なんだそりゃ?どういうことだ」
「全ては涼宮ハルヒの力」
気を使ったのか、朝比奈さんは鶴屋さんに何事か囁き2人で出て行った。
さらに続ける長門。
「ここではなく、違う世界の涼宮ハルヒの力が暴走、その時にいくつかの世界の貴方の精神が入れ替わった」
おいおいなんだよそりゃ・・つうことはこの世界にはアナルの危険はないのか?
「何を言っているのか理解不能、でもあってると思う」
入れ替わっているってことはここにいた俺は本来俺がいた世界に飛ばされているのか?
「そう」
ややこしいな・・まったく。
しかし・・ここに本来いたはずの俺は今相当悲惨な目にあってるのだろうな・・
考えただけで怖くなったのですぐにその思考を停止させた。
ふいに今まで黙っていた古泉が口を開いた。
「よければ貴方の本来の世界の僕の話聞いてもいいでしょうか?」
どこか不安げニコニコマイルできいてきた古泉。
もうほとんどどうにでもなれと思っていた俺は、全てを話してやった。

俺の話が終わった。アナルも電波も黒も朝倉もチャックも全部話した。
古泉の顔から笑顔が消えていた。完全に引きつっている。
そのまま落ち込んだような顔で立ち上がると、
「外の空気を吸ってきます」
と青い顔のまま出て行った。
長門に顔を向ける。
無表情な顔のどこかに怒気が含まれている気がする・・。怖い。
まぁそりゃいきなりいつも電波を発してる不思議少女などと言われれば怒るわな。
「で、俺はどうすればいいんだ?」
「・・・しらない」
どうやら相当怒っているのか・・。
こいつが嘘を言う事はないだろうから。少なくともこの世界では・・。
言い方は悪いが本当に分からないのだろう・・。
俺は古泉と同じように風に当たりたくなり部室を出ることにした。

屋上に上がり、少しきつい風を受けながらぼ~っとしていた。
ハルヒの力ってすげぇんだな・・。
俺の本来の世界のハルヒは馬鹿なことにしか力を発揮していなかったので、
いまいちピンと来た事はなかったが・・本来はここまですごいものなのか。
そういえば、ハルヒといえばどこでも根本的なところは変わらないんだな・・。
授業の合間やらに多少会話をしたが全然違和感を感じなかった。
俺は大きく息を吐き出した。
この世界にいた俺には悪いがこのままなのもいいかもしれない。
毎日毎日朝倉や古泉に追いかけれらるコトもなく、
谷口や長門の電波に付き合わされることもない・・。
あぁせいせいするぜ。
……。
なんだろうなこの胸のもやもやしたものは・・。
毎日悲惨な目にあっていたはずなのに、俺は元の世界のことを考えていた。
俺はあの無茶苦茶な世界を楽しんでいたとでもいうのか?
……。
気がついてしまった。そして気がつくと考えるのが止まらなくなった。

俺はあの世界に戻りたいと思ってしまっていた。

一瞬、世界が歪んだ。
あまりの気持ち悪さに目を瞑る。
目を開けると何も変わっていない夕焼けが広がっていた。
ふいに後ろに人の気配を感じて振り返った。
古泉だ。
顔色は元に戻っていていつものニコニコ顔になっている。
「もうだいじょうぶなのk」
俺が言い終わる前に古泉が口を開いていた。
「こんなところにいたんですか?キョンたーん」
キョンたん?なんだその言い方はまるで。
まるで元の世界の古泉じゃないか。
「いきなり蹴り飛ばされた時はびっくりしたよキョンたーん」
なんだこれ・・もしかして・・え?マジデ?
「グフフ、ここならどこにも逃げ場はないですよ~」
おいおいおいおいおいおい。まてまてまてまてまて。
「さぁ!いきますよ~キョンたーーーーん」
アッー!!!!やめろ!誰か助けてくれええええ!!
ギャー
アナルだけは!!アナルだけは!!

…なんだかよくわからんが元の世界に戻ったようだ。
もう何なんだよ一体、わけわかんねぇよ。
でも俺はこれで満足だったんだよな?この無茶苦茶な世界を気に入っていたんだよな・・?




ねーよwwwwwwwwwwwwwww


終わり

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最終更新:2007年01月15日 21:34