放課後、俺はいつものように階段を上っていた。
いちいち説明しなくても分かると思うが、文芸部の部室へ向かうためである。
しかしそこで文芸部的な活動をする分けではない。
SOS団なる謎の団体の活動をするのである。
 
廊下の窓から外を眺めると部活動に励む生徒の姿や、
その他に学校に残って友達と遊んでいる者、
さっさと帰宅して個人的な趣味や塾に通う者、
そして男女のカップルのイチャつく姿が見えた。
 
「はぁ、俺はいったい何をやってるんだか・・・」
俺は普通の高校生の姿を眺めながら溜息をついた。
 
俺は別に好きでSOS団の活動をしているわけではない。
活動をサボったら我がSOS団の団長、ハルヒに怒られるのであり、
ハルヒが怒れば神人という謎の化け物が暴れだすからであり、
そのハルヒの機嫌を損ねないために俺はSOS団に参加してハルヒを喜ばせているのである。
しかもそのSOS団の活動と言えば、平日は古泉とボードゲームをし、
休みの日には街を散策して未確認生物を探し回るという、まさに時間の無駄遣いであった
 
しかし全てが無駄と言うわけではない。
その理由はSOS団の女神であり、全校の男子生徒のマドンナである
朝比奈さんのいれたお茶を飲めることである。
そのお茶のおかげで俺の憂鬱の8割は解消されてるね。
 
いつものようにドアをノックすると、いつものように朝比奈さんの
「はぁ~い」
という返事が聞こえ、俺はドアを開けて部室の中に入る。
 
その朝比奈さんは、いつものメイド服ではなく、黒い色のくノ一(女忍者)の格好をしていた。
「あ、キョン君、いっらしゃ~い。いまお茶を入れますね」
 
その女忍者の格好は、スカートが膝下より長いメイド服とは異なって、
太ももがほとんど露出しており、あと少しでパンツが見えそうなくらい短かった。
実際、少し前かがみになっただけでパンツが丸見えだった。
俺はお茶をいれる朝比奈さんの姿(特にお尻)を眺めながら朝比奈さんに尋ねた。
 
「朝比奈さん、その衣装、またハルヒが用意したんですか?」
お盆にお茶を載せてこちらに運びながら朝比奈さんは言った。
「いえ、これは自分で用意したんです。いつも長いスカートだったでしょ?
だからお店の人に短いスカートの衣装をください、って言ったらこの黒いくノ一(女忍者)の衣装をくれたの」
 
「へ~、朝比奈さんが自ら衣装を買いに行くなんて驚きですね。
ところで、なんでスカートの短い衣装が良かったんですか?」
 
朝比奈さんは顔を真っ赤にしながらこう言った。
「だってキョン君・・・短い方が嬉しいでしょ・・?」
「そりゃ、まあ、そうですけど・・・」
「あの!触りたかったら触ってください。そのためにこの衣装を着てるんです!」
 
俺は一瞬何が起こったのか分からなくなり、数秒間考え、結論を出した。
「では、お言葉に甘えて」
 
俺は朝比奈さんの後ろに立った。
そしてお尻を触った。朝比奈さんの息が荒くなっていく。
それに飽きてきたので前を触ろうとする。
しかし朝比奈さんは両手を前で組んでいる。
「すみません、両手をどかしてもらえますか?」
「あっ、はいっ、すみません・・・」
 
その時だった。
バタン!!!!!!
扉が急に開いた。
 
「こらー!なにやってるのよ!SOS団は社内恋愛禁止なんだから!」
 
ハルヒだった。
いきなり登場して俺と朝比奈さんを怒鳴ったかと思ったら
スタスタと自分の特等席に着席してパソコンの電源をつけた。
俺はハルヒなど無視して続きをしようと思ったが、
朝比奈さんは、「今日はもうダメ・・」と言って俺から離れてしまった。
 
続いて古泉と長門が来て、朝比奈さんは3人分のお茶を入れることになった。
古泉の席の後ろで、朝比奈さんはお茶を入れている。
そして朝比奈さんのパンツを見ることが出来る。
 
さすがの古泉も後ろで何が起こっているのかは分からないのだろう。
お前の後ろではパラダイスが広がってるんだぞ、と心の中で思っている時だった。
俺は横からの視線を感じ、横を振り向く。
その視線の主はハルヒだった。俺のことをギッと睨んでいた。
なんなんだよ一体・・・
 
「キョン、今日あんた居残りだから」
「はぁ、なんでだよ?」
「いいから残りなさい!」
やれやれ、理由さえ聞かせてもらえませんか。
俺は仕方なく居残りすることにした。
 
長門と古泉と朝比奈さんが帰り、文芸部の部室にいるのは俺とハルヒだけになった。
 
「なんで居残りさせたんだ?」
「あんた、ひょっとしてミクルちゃんのこと好きなの?」
「なんなんだよいきなり。好きだったとしたらなんなんだ?」
「いいから答えてよ。好きなの?嫌いなの?」
 
「まぁ、どっちかと言えば好きだね。優しくて思いやりがあって、お前とは大違いだ」
しまった。口が滑って変なこと言っちまった。
きっとハルヒはこの言葉でご立腹だろうと思い、俺はハルヒを見た。
 
しかしハルヒは怒ってなどいなかった。
俺の勘違いかもしれんが、少し泣いているような気がした。
「そう・・・あんた、あーゆーのが好きなのね」
そしてハルヒは走って帰ってしまった。
 
次の日、教室でハルヒは授業が終わるまで顔を伏せていた。
 
そして放課後、いつもどおり、俺は放課後に文芸部室へ行った。
そしてドアをノックした。
「は~い」
という返事。
 
ドアを開けて室内を見た俺は、ドアを閉めた。
何が起こったのか理解できなかった。
「なんで閉めるんですか~」
そして内側から扉は開けられて、俺は混乱してるまま室内に入った。
 
部室に居たのは朝比奈さんではなく、ハルヒだった。
しかも昨日、朝比奈さんが着ていたくノ一の格好だった。
しかし黒色ではなく、白色だった。
これでは忍者的活動が出来ないぞ。もしかして雪国での忍者か?
 
「ハルヒ、頭でもぶったのか?」
それとも変なモンでも食ったのだろうか。
まさかまた不思議な力によって世界が改変されたとか、そんな面倒なことが起こったのだろうか。
 
「違いますよ~。頭なんてぶってませぇん。
昨日キョン君はこういうのが好きだって言ってましたよね?
だからやってみたんです~。どうですか?似合ってますか?」
 
呆然と立っているとハルヒは
「あ、座って待っててくださいねぇ、今お茶入れますから」
と言った。俺は言われたとおり座って待ってることにした。
 
お茶を入れるために前かがみになったハルヒは、昨日の朝比奈さん同様、パンツが見えた。
しかも「好き」という文字がプリントしてあった。
俺は呆然とその文字を眺めていると、ハルヒが急に振り返り
「あのぉ、パンツ見ましたかぁ?」と言った。
 
これはひょっとして、あのコンピュータ研部長のときと同様、なにか恐喝でもされるのか?
等と考え、返答に困っていると、ハルヒが
「あのぉ、触りたかったら触ってもいいですよぁ」と言った。
 
やれやれ、俺の我慢の限界も低いもんだな。
「では、お言葉に甘えて・・・」
ハルヒに近づき、尻の穴を指で触ってとき、ドアが開いた。
朝比奈さんだった。
 
「あ、涼宮さん、キョン君、まさか、、こういう関係だったんですか?
それ、私がこの前買った衣装と同じのですね」
「ええ、そうよ、ミクルちゃんがあまりにも可愛いから買っちゃった。
結構動きやすいし便利よねこれ」
「あの、、それよりも何をやってたんですか?」
「お茶入れてちょーだい」
「私の質問に答えてくだ、、」
「お茶入れてちょーだい」
 
ハルヒはいつも通りの乱暴な性格に戻った。
なんなんだ一体・・・
 
やがて古泉と長門もやってきた。
 
「キョン!なにか面白い話題とかないの! なんかこう、とてつもなく面白い話よ!」
ねぇよ。自分で調べろよ。
というとハルヒはネット巡回を始めた。
 
俺はいつもどおり古泉とゲームをしていた。そこに長門が俺のそばに来て本を渡した。
「・・家に帰ったらすぐ読んで・・・」
古泉は不思議そうな目で俺を見ていたが、それを無視して俺はゲームに戻った。
そして長門が部室から出て行き、その日のSOS団の活動は終わった。
 
家に帰った俺は長門に言われたとおり、本を読むことにした。
正確に言えばページをめくって栞を探していた。
それはちょうど真ん中らへんのページに挟まっていた。
 
「晩ご飯を食べる前にすぐに私の家に来て」
 
俺はダッシュで長門の家に向かった。
ハルヒの頭がおかしくなった事と何か関係があるのだろうか。
 
長門の部屋のインターフォンを鳴らし、ドアが開いた。
そこでまた俺は頭がおかしくなりそうになった。
 
「あ、キョン君、おかえりなさぁ~い」
長門が忍者の格好をしていた。しかもピンク。
俺は溜息をつきながら長門の部屋に入った。
 
「ご飯にしますか?お風呂に入りますか?それとも、、、うふっ」
なんか長門の頭もおかしくなってしまったようだが
俺はそんなことは無視してご飯を選択した。まずは飯だ。
 
そこで気がついた。
なんと長門の衣装はパンツがギリギリ見えるとかそんなレベルではなく、パンツ丸見えだった。
その衣装はヘソの辺りまでしかなかった。
「あのぉ、触りますかぁ?」
またこれだ。
 
「いや、断る。今は触るって言う気分じゃないんだ。
匂いを嗅ぎたいんだ」
 
そして俺は仰向けになって寝た。
そして俺の顔の上に長門がまたがった。
俺が匂いを嗅いでいると、玄関の扉が急に開いた。
 
「長門さん、、なにやってるの・・・?」
朝倉だった。
 
「ちょ、朝倉、違うんだって!これは、その・・・」
しかし俺の言葉を無視して、朝倉は走って自分の部屋に帰ってしまった。
とりあえず飯だけ食って俺も帰ろう。
 
次の日の朝、下駄箱の中に手紙が入っていた。
「今日の5時ごろに教室に来てください」
なんなんだろうね、まったく。
 
そして放課後、いつものようにドアをノックする。
「入っていいわよ」
そこにいたのは忍者姿の朝比奈さんだった。
 
「キョン、お茶入れてちょーだい」
「あの、朝比奈さん、どうしたんですか?」
「さっさとお茶をいれなさい!」
 
どうやら今度は朝比奈さんがハルヒの性格になってしまったようだった。
 
「あ、やっぱお茶はいいわ。コップだけ持ってきて」
そう言われたので俺は朝比奈さんのもとへコップを持っていった。
 
コップを床に置くと、朝比奈さんはパンツを下ろし、オシッコをした。
 
「さっさと飲みなさい!」
俺は一気に飲み干した。
 
「カレーがあるけど食べる?」
いえ、それは遠慮しときます。
 
そして古泉が部室にやってくると同時に朝比奈さんはいつもどおりの正確に戻った。
 
夕方の5時である。
教室で待っていたのは朝倉だった。
しかも忍者の姿。そして衣装は肩らへんまでしかなかった。
パンツも胸も丸出しである。
もはや忍者かどうかも分からない。
 
「お前か・・・」
「そ。意外でしょ」
 
俺は朝倉に聞いた。
「なあ朝倉。教えてくれ。長門やハルヒや朝倉さんがおかしくなってしまったんだ。
いや、お前もおかしくなった。何故だ!」
 
「みんなキョン君のことが好きなのよ。だからああいう格好をしているの。
そして私もあなたのことが好き」
 
「で、お前はなんの用なんだ?」
「人間はさあ、よく、やらなくて後悔するよりも、やって後悔したほうがいい、って言うよね。
これ、どう思う?」
と朝倉は顔を赤らめながら言った。
 
「言葉どおりの意味なんだろう」
「じゃあ、やろっ!」
 
次の瞬間、さっきまで教室だったこの空間は
ベッドルームになっていた。そして朝倉は俺に迫ってきた。
俺の服は朝倉の不思議な力によって消えていき、ついには全裸になった。
 
ベッドに寝た朝倉にいろいろやろうとしたその時、横の壁が爆発した。
そこに立っていたのは長門だった。
「情報連結解除、開始」
 
「そんな・・・」
朝倉は悲しそうな声で言った。
「そんな・・・」
俺も悲しそうな声で言った。
 
朝倉の体は消えていってしまった。
 
そして部屋はベッドルームではなく、いつもの教室に戻っていた。
どうやら教室を再構築したようだった。
しかし俺の服は再構築されなかった。つまり全裸である。
 
そして俺は全裸で帰った。
 
次の日、俺はいつもどおり文芸部の部室へ行き、ドアをノックした。
「どうぞ」
という古泉の返事が聞こえ、俺はホッとした。
 
そしてドアを開けた瞬間、俺はドアを閉めた。
なんと古泉が全裸で立っていたのである。
 
俺はドアノブを掴んで、ドアが開かないようにした。
逆に古泉は内側からドアを引っ張っている。
 
「開けてくださいよ、ねぇ、開けてくださいよ」
 
ドアの引っ張り合いをしていると、後ろから谷口と国木田の声がした。
「おい、谷口!国木田!助けてくれ!俺の全財産をやるから助けてくれ!」
 
しかし俺は谷口と国木田の姿を見て諦めた。
なんと二人とも全裸だったのである。
 
俺は谷口と国木田に抑えられ、ついに部室の扉は開いてしまった。
そして中に運ばれていった。
 
起きなさい、起きなさいってば!
ハルヒの声がする。
助けてくれハルヒ・・・
起きなさい!
 
「ああ、、夢か」
 
どこまでが夢だったのか俺は考えてみる。
そうだ、ハルヒが忍者の衣装をしていて、そしてお茶を飲みながら
他の団員が来るのを待ってる間に眠ったんだ・・・
 
外は真っ暗だった。
ハルヒは他の団員が帰った後も俺が起きるのを待ってたらしい。
 
「あんたが気持ちよさそうに寝てたから、起こそうと思っても起こせなかったのよ」
 
今は10月の下旬で、昼間は暖かいが夜になれば寒い。
時刻はもう6時半である。
既に外は真っ暗で、街灯がついている。
 
俺は俺が起きるのを待っていたハルヒと一緒に帰ることにした。
ハルヒは忍者の衣装のままだった。
 
「なぁハルヒ、寒くないのか?」
「寒いわよ。でも着替えるの面倒だったからこのままでいいわ」
「でも上着を羽織るくらいなら面倒じゃないだろ?」
「このままでいいの!」
「そうか・・・」
 
夜道を歩く男子高生徒と白い忍者。
明らかに不審者である。
無言のまま帰り道を歩いているとハルヒが口を開いた。
 
「ねぇ、キョン。あんた告白ってした事ある?」
「ないね。お前はあるのか?」
「されたことなら何度でもあるけど、自分からしたことは無いわ」
 
俺たち5人組は街中を散策した。
特に目的も無かったので本屋に行って立ち読みをしたり
服屋をいろいろと見て回ったりした。
 
今日の女子3人は忍者の格好をしていた。
ハルヒは白、朝比奈さんは黒、長門はピンクである。
まぁ、服装の趣味はひとそれぞれだし、忍者の格好をしてはいけないという法律は無い。
それはいい。忍者だろうが気にしない。
 
女子3人は街行く人の視線を浴びながら一日を過ごした。
ハルヒと長門は特に気にすることなく歩いていた。
朝比奈さんはつねに人目を気にしながら歩いており
解散時間になる頃には精神的疲労で倒れそうなほど疲れている感じだった。
 
なんだかんだで解散時間である。
 
「とろこで古泉、なんでお前は全裸なんだ?」
 
古泉は全裸だった。
 
古泉は全裸のまま叫びだした。
 
「これは人類のありのままの姿ですよ!
僕を否定するということは人類を否定することになります!
ここ数千年の間で人類は服を着ました!
しかし!これは進化ではありません!退化なのです!
昔は人類は猿のように体中に毛が生えてたました!
しかしある時期を境に人類は毛が抜け、裸になりました!
まさに進化ですよ!しかし5000年ほど前から服を着だしました!
そこからが退化の始まりです!我々人類は進化しているようで退化してるのです!
今の人間に出来ることはなんでしょうか!地球を汚すことしか出来ません!
我々は母なる地球のために生きています!いや、生かされてます!
しかし人類は汚してばかりだ!これは母なる地球に対しての冒涜であり、地球上の生物として退化である!」
 
古泉は警察に逮捕された。
 
ハルヒは言った。
「逃げるわよ!」
これはさすがに逃げるのが一番いい選択だな。
俺たちも古泉の仲間だと思われて逮捕されるかもしれん。
 
古泉のことである。拷問をされても仲間を売るようなことはしないだろう。
安心しろ古泉、出所した後は鍋パーティーでもしようぜ。
 
俺とハルヒと長門は全力で走った。
しかし朝比奈さんは足をガクガクと震わせ、走れそうになかった。
「朝比奈さん!」
俺が戻ろうとしたらハルヒに止められた。
「私たちまで捕まってどうするの!とにかく逃げるのよ!」
 
朝比奈さんはパトカーに囲まれた。
「こちら北署、こちら北署、全裸男の仲間と思われし女を包囲しました」
「ひぇ~、私はこの人とは関係ないですよ~。ただの忍者ですよ~」
 
手錠をかけられた古泉が暴れだした。
「僕は新人類です!旧人類に僕を拘束する権利などありません!
自ら服を着るなど猿以下の存在ですよ!その女の子も離してあげなさい!」
「ひぇ~、あなた誰ですか~?私はただの忍者です~。あなたなんか知りませよ~」
 
結局、古泉だけが連行された。
 
「古泉・・・」
俺は胸が痛くなった。
仲間を見捨てた自分に対して胸が痛くなった。
 
「なぁハルヒ、お前、忍者の格好してるだろ?
古泉を助けに行かないか?」
「なんでよ!無理に決まってるじゃない!」
「長門!なんとかしてくれ!」
「・・・無理」
 
その後、俺たちはそれぞれの家に帰った。
 
リビングでテレビを見ていると妹が
「キョンくーん、古泉君がテレビに出てるよ~」と叫びだした。
俺は妹の目を隠し、テレビを消した。
 
どうするんだよ古泉。
 
次の日、俺とハルヒは文芸部室で喧嘩をした。
 
「おいハルヒ!なんで古泉を見捨てたりしたんだ!
古泉だけならともかく、朝比奈さんまで見捨てるとは何事だ!」
「だってしょうがないじゃない!警察に勝てるわけないじゃん!」
「それとこれとは別問題だ!例え勝てなくても助けるのが仲間だろ!」
 
朝比奈さんは泣いていた。
「あのぉ、、2人とも喧嘩はやめてください・・・うぅ」
 
俺はすかさず朝比奈さんへ言った。
「朝比奈さんもなんで古泉を裏切ったんですか!」
朝比奈さんは大泣きして俺の言葉は耳に届いていないようだった。
 
その日、俺は留置所に行った。
古泉が牢屋に閉じ込められているはずである。
 
5メートルはありそうな塀を眺めていたら
中から古泉の声がした。何を言っているのかは分からない。
しかしいつもの演説的なものであることは分かった。
 
俺は門番の人に頼んで古泉との面会を許してもらった。
 
何重もの門をくぐり、薄暗い廊下を歩き、何枚もの扉を通り、面会室へたどり着いた。
透明な防弾ガラスの向こうに古泉はいた。
 
「古泉、、元気か?」
「会いに来てくれたのですね。とても嬉しいです。
しかし僕のことはもう忘れてください。僕は犯罪者です。
僕に関われば世間はあなたのことも犯罪者だと思うでしょう。」
「そうか、、お前がそう望むなら俺は何も言わない。お前とはもう関わらない」
「ありがとうございます。僕にとってそれが一番うれしいことです」
 
じゃあな、古泉。

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最終更新:2020年08月26日 21:16