ハルヒ「ねぇ谷口!」
谷口「げっ!な、なんだよ涼宮!…キョンなら今トイレに…」
ハルヒ「あいつは関係ないの。あたしはアンタに用があるのよ」
谷口「は、はあ?」
ハルヒ「…谷口。あ、アンタさ…その…付き合ってる人いる?」

谷口「は?まあ『今は』…いねえけど」
ハルヒ「何よそれ。…ま、良いわ。じゃあ…あんた、私と付き合ってよ」
谷口「(!!!!!!)…ふっ。涼宮、お前がそういうなら付き合ってやっても良いぜ?(はっはっ!ザマアミロ、キョン!やはり涼宮は中学んときからずっと俺の虜だったのさ!)」
ハルヒ「ほ、本当?じゃあ明日10時に駅前で待ち合わせね!」
谷口「き、急だな(…しかしまあ…それくらい早く俺とデートがしたいってことか…)ま…良いぜ。じゃ明日な」
ハルヒ「うん!遅れたら死刑だからね!」
谷口「(このセリフ中学んときと変わらねえなあ…)安心しろ。俺は誰かと違って約束の時間だけは厳守する男だぜ?」
ハルヒ「ふぅーん。ま、いいや!…あ、それとこのことはキョンに内緒にしといて!」
谷口「ああ。分かったよ(スマン!キョン!涼宮が悪いんじゃない!悪いのは俺のモテ性なんだ!許せよ!)」

(ここから別作者になります)
翌日

服、よし。ハンカチ、よし。チャック、よし。
全部、よし。
カンペキにチェックを終えた俺は駅に向かって悠然と歩いていた。
だって、あの涼宮が俺のことを誘ってきたんだぜ。
スマン!キョン!涼宮が悪いんじゃない!悪いのは俺のモテ性なんだ!許せよ!
駅に着いたのは待ち合わせの30分前、男が女を待たせるなんてかっこ悪いだろ?
カンペキにあつらえた俺は、駅前公園の柱に寄りかかって涼宮を待つことにする。
「♪~ いつになったら来るのかな~」
「あんたの来る五分前」
ビクッと柱の後ろを覗き込むと……げぇっ、涼宮。
「遅い。罰金!!」
「な、何でだよ。時間前に来ただろ?」
「遅刻の有無にかかわらず最後に来た人は罰金なの。ほら、ちゃっちゃと来る!!」
ろくすっぽこっちも見ずにずんずん歩く。
これっていわゆるツンデレだよな~ 俺に会えて嬉しいくせに。
まったく、参っちまうぜ。

北口前のおしゃれな喫茶店に涼宮は入る。
奥まった席を選ぶのは恥ずかしいから? 初々しいじゃないの。
涼宮のためだったらちっとばかりの出費、痛くもないぜ。
「それでさ、あんた、付き合ってる人いないんだっけ?」
オレンジジュースを飲みながら涼宮は聞いてくる。
「ああ、俺の隣は空いてるぜ」
コーヒーを飲みながら答える。
砂糖もミルクもなし。そっちの方がカッコイイだろ?
俺の話を聞いた涼宮はにぃっと100万ワットの電球のように笑う。
こんな笑顔は中学時代は一度も見たことない。
ついついくらっときちまいそうな笑顔だったぜ。
「それじゃ、決定ね。デパートへ行くわよ」
一気にオレンジジュースを飲み、立ち上がる涼宮。
「何やってるの? さっさと行くわよ」
そんな事言われても、こっちはまだ飲んでる途中だぜ。
ホットコーヒーなんだからさっさと飲めるものじゃない。
「つべこべ言わない。さっさと行く」
俺の首根っこを掴み、涼宮は俺を会計へ突き出した。

デパートに入ると涼宮はまっさきにアクセサリー売り場へ向かった。
並んだアクセサリーをあーでもない、こーでもないと見繕っている。
「ねぇ、どれがいいと思う?」
「どれでもいいんじゃない? お前は何つけても似合うし」
いとしのハルヒちゃんのためならこのくらいの歯の浮くようなセリフなんてなんともないぜ。
しかし、振り返った涼宮は不満顔。
「そうじゃなくて、プレゼント用のを選んでるの。ほら、あんたも手伝う」
そういってぽんぽんと俺の手の上にアクセサリーを並べ始める。
参ったね、こりゃ。俺にプレゼントだなんて。
いくつか取り上げて俺の首にあてて「う~ん、いまいち」とか言ってる。
そのたびに抱き合うような形になって……あっ、い、息がぁっ……
「ちょっと、変な顔してないで。あんたも手伝いなさい」
「べ、別に好きな女に選んでもらったものならなんだっていいと思うぞ」
涼宮の動きがぴたっと止まり、急に真っ赤になる。
「す、好きなわけじゃないんだから……」
ツンデレktkr!!

「別に、キョンの誕生日だから買ってあげるわけで……」
へ? どうしてそこにキョンが?
「何? その間抜け面。もしかして話してなかったっけ?」
そう言って涼宮は話し出す。
来週、SOS団で集まって長門の家でキョンの誕生日パーティをすることになったこと、
誕生日パーティは当日までキョンには秘密。
全員がキョンにプレゼントをそれぞれ買ってくることに決まったこと。
「あんたならキョンと背格好が同じぐらいだし、彼女いないなら土日空いてるでしょ?」
ああ、俺が呼ばれる理由って、そんなとこなのね。
俺そっちのけでハルヒはキョンのことについて語りだす。
その笑顔は一度も俺に向けられたことのない素晴らしい笑顔だった。
中学時代の涼宮は、こんなに明るく笑う様な奴じゃなかった。
いつもムスッとしていて、近寄りがたいオーラを出していて、
そんな涼宮が変わったのはキョンと出会ってからだった。
中学時代、何人もがアタックしたけれど一週間も続かなかった奴らばかり、
そいつらの中で誰一人として涼宮をこんなに明るく笑わせることができなかった。
もちろん、俺も含めて。

ったく、やってくれるぜ、キョンはよ。
ため息と一緒に、ずっと心の中でたまっていた何かが一緒に吐き出された感じがした。
やっぱ、女の子は元気よく笑っているのが一番だろ?
「それだったら、もう俺に口出せることはないな」
「え?」
「ずっとキョンばかりみてたお前に勝てるわけないだろ? それに、男は好きな女に選んでもらったのが一番なんだしさ」
涼宮が真っ赤になって口をパクパクさせている。
東中のころにはこんな姿、想像もできなかったのにな。
「それで、愛しのキョン君に買ってあげるのは決まったかい?」
涼宮はむすっとした顔になり、出していたアクセサリーの一つを取り、レジへすたすた歩き出した。
それで、散らばっているほかのアクセサリーは誰が片付けるのかね。
こんなとき、ついついあいつの口癖が口から出てきそうだぜ
「やれやれ」

一人ですたすた歩いていっちまう涼宮を追いかけながら、北口駅の公園に戻ってきた。
「……今日はありがと」
むすっとした表情で言う涼宮。
そんな表情もやっぱり平均以上。
成績優秀でスポーツ万能で、オマケに顔までいい。
中学時代の俺よ。好きになって当然だな。
でもな、涼宮にはもっとお似合いの奴がいたんだよ。
「それじゃあな、涼宮。キョンとお幸せにな」
それだけ言い残して自転車のペダルを一気に踏み込んだ。
後ろで涼宮が何か叫んでいるのは気づかないふり
夕暮れの町、流れる風景に口ずさむ歌。
「WAWAWA忘れ物~ 中学時代の心残り~♪」
ん~、こりゃダメだ

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最終更新:2007年01月15日 02:17