みすった
多重に張られた防壁の隙をつかれて直接の攻撃を受ける
江美里も個別に攻撃を受けているらしく通信が遮断、とっさに放っ
たデコイで致命的となる攻撃を避ける
最近になって私達への直接的な干渉が増えてきた、そのうち今の人
数では対応しきれなくなるかもしれない、ちょっと弱気になる
ダミーを放ち敵の目標を霍乱、同時に自閉モードに移行 これでし
ばらく時間が稼げるだろう通常空間にもどったとたん、私はその場に崩れ落ちた
傷ついたインターフェイスを再構成する間の時間が稼げただろうか

【やさしい人】

「大丈夫ですかぁ どうかしましたぁ」

遠くで声がする、誰


「長門さんですよね、涼宮さんのお友達の
あ、覚えてます? 私 阪中です ルソーの時にお世話になった」


記憶領域を走査 キーワード ”ルソー” 該当メモリを参照
 阪中 涼宮ハルヒのクラスメイト、珪素生命素子


思い出した前に事件を持ち込んだ印象の薄い女生徒


「大丈夫ですか、けがはないですかぁ あ、今お兄ちゃんを呼んだ
のね、一応医者のたまごだから…」


「問題ない」
そっけなく答え立ち上がろうとしたものの、まだインターフェイス
の機能は回復が完全ではない、そのまま、また意識が薄くなる
思ったより体力の消耗は激しかったようだ


「無理しないほうが」


次に気がつくとソファーにねかされていた


「あっ、気が付いたのね」


周囲の走査、彼女の家の居間のようだ、インターフェイスの再構成
はほぼ終了している、これ以上ここにとどまる理由はない、江美里
とも通信を回復、それぞれ自力で干渉を回避 また観察対象に
対する影響も無事排除できたようだ、少し安心


「まだ 無理しないほうがいいのね、お兄ちゃんにちょっと診ても
たっらけど、多分貧血だって あっお兄ちゃんは追い出したいとか
らね、安心してね」


「いい、問題ない、感謝する」
簡単に謝辞を告げる


「たいぶ顔色がよくなったね、起きれるのね、あっ、これ、ココア
体あっためて糖分とるのがいいってお兄ちゃんがね はいこれ」


すぐに辞そうとしたが、ココアの入ったマグカップを渡され、ソフ
ァーに押し戻される

状況を判断 現在敵の干渉は受けてない、威力偵察だったのだろう
か、深追をする気はないらしい、それならここで体力の回復を図る
のは合理的


「なぜ」


「えっ だって長門さん、ルソーの命の恩人の人じゃないですかぁ
あっ命の恩人だから助けたって訳じゃないのね、誰だって、あんな
ふう困っている人がいたら出来るだけのことをしようと思うのね私
あっ私がじゃなくて 誰だってきっとそう思っているのね」


「でもよかった 最初あなた 顔色真っ白だったもんね あっごめ
んね、助けたのが私で、最初駆け寄った時 長門さん うわごとで
誰かの名前よんでたのに まあ、そこはこのココアにでも免じて」


記憶にない、彼の名前でも呼んでしまったのだろうか、そうゆう彼
女は友人の弱みを偶然見つけたような笑顔で話を続ける


「あっ 落ち着いたらルソーにも会っていってね、もうあれから
散歩コースも元にもどって そう涼宮さんに相談して本当によかっ
た、そのままだったらどんなことになってたろう、涼宮さんって本
当 思ったことを実現できる力があると思うのね」


ふいに彼女の言葉に反応してしまっている、こちら側の人間なのか


「ほら、普通、なんかしたいとおもっても、おもっているだけで終
わっちゃうじゃない、でも涼宮さんはきっと、やりたいことを実現
するために なんでも実行しちゃうじゃない、すごいと思うのね
まあ、私は引っ込み思案なせいもあると思うけど、最初彼女に会っ
た時は、怖い人だとおもった、話かけても返事してくれないのね、
返事がないだけではなくって、なんでそんな事に興味があるのって
顔されるのね、するとこっちはなんかすごくちっぽけなつまんない
存在なんだぁってそんな気がするのね、でも最近は余裕ができたと
ゆうか、きっとSOS団だっけ、その部のみんな、ううん違うな、き
っとあの人 キョン君だっけ、彼の影響だね、そう思うのね」


こちらの表情の変化には気がつかなったようで、そのまま話は続く
彼女はあくまでの一般的な人間の性格の範囲内で涼宮ハルヒの評価
をしているらしい有機生命体の精神活動への評価を少し修正する必
要があるのかもしれない、彼女の話に興味を持ち始めている自分が
少し不思議だった


「キョン君ってやさしいのね、でもクラスメイトである私にやさし
いのと涼宮さんにやさしいのと、くやしいけどちがうのね、あの間
には入れないなぁなんて思うのね、どこが違うって具体的にはうま
くいえないんだけどね、なんていうか、キョン君は涼宮さんのこと
ちゃんと見てるのね、きっと私にやさしいのなんてきっとあたりま
えすぎて彼は覚えていないんだろうけど 涼宮さんへのやさしさっ
てずっとつながってゆくやさしさ、なんかそうな感じだな 私もあ
んなふうに思ってくれる人に出会えるのかぁ」


なんか論理も整合性も出鱈目なんだけどなんとなく共感できるよう
な彼女の言葉を聞いているうちに、なぜか私は彼女と彼の相違点を
比較している自分に気が付いた、彼の私へのやさしはは一体どちら
なのだろうか へんな感覚 エラー


「涼宮さんとくらべるとほんっと私ってなんの変哲もないなぁと
でもあれだけ圧倒的に行動力を見せ付けられると ある意味感動だ
よね、自分のことなってほっといて、ただ拍手をおくりますって感
じね、きっとは私はこのまま高校生活を続けて、きっと短大にでも
はいって、おとうさんの知り合いかお見合いで結婚して、ちょっと
退屈でちょっとだけほんわかした 絵にかいたような生活をおくる
んだろうな なんてね あれ私なにしゃべっているんだろうね は
は ごめんね」


白い毛糸球のようなそれはかんだかい鳴き声をたてて彼女の懐に
とびこんでいくのが見えた


「あっ ルソー こっちおいで、ほら、あんたの命の恩人だよ」


「長門さん、よかったら抱いてあげて、前の時 この子前の時は、
涼宮さんとあと先輩の人だっけあのかわいい感じの人にべったりで
長門さんに抱いてもらってないでしょ ね、なにしろ恩人なんだか
らこの子の、長門さんはね」


その小さい生き物の体温を胸に感じる、単にお客がうれしいのだろ
うか、頬を舌でなめられる この子の暖かさと彼の暖かさに違いは
あるのだろうか


「あっ ルソー、長門さんは体調あんまりよくないんだからね、ほ
どほどにね」


まだ名残惜しそうなルソーを引き離しながら彼女は、古泉はかっこ
よいけどなんとなく胡散臭いよね、とか、新学期のクラス編成の話
とか、話題のドラマの話とか、脈絡もなく話を続けた、後半の話は
個人的にも興味を引くものはなかったが感謝の意味を含めてしずか
に小さく相槌をうちながら話を聞いていた


どのくらい時間がたったのだろうか、即答できないほど体調が不調
であっとは思えないのだか、すでのココアのはいったカップは空に
なっており、あたりはすでに暗くなってきているようだった、彼女
の話に聞きいっていた?なぜ私が?

「もう大丈夫そうだね、私ばっかりがしゃべってばっかで、ごめん
ね 苦笑なのかもしれないけど、長門さんに笑顔ってちょっとミス
テリアスで素敵だね そんな眼でみつめられちゃうとちょっとドッ
キとしちゃうね はは あっ まって、帰りはお兄ちゃんに送らせ
るから 車で、もう時間遅いしね」


固辞したが、彼女、その母、兄から総がかりで女の子はこんなに暗
くなって一人で外を歩いてはいけないそうだ、マンションの場所を
告げると彼女は道案内するといって一緒に車に乗り込んできた。


「長門さん、私はあなたや涼宮さんみたいにズバットなにかを解決
できるわけではないんだけど、なにかあったら、うんん、うまく言
えないけど、私のこんなおしゃべりで、あなたのいつもの少し寂し
げな表情でなく、そんな笑顔をみせてもらえるなら 私も少しは何
かの役にたってたりするのかな なんてね」


車の中で最後に彼女はそういった、私はうまく答えを返すことが出
来なかった、きっと私は彼のことを含めてより有効なコミニュケー
ト能力の向上にはげまねばならないようだ


「ありがとう」
マンションの前で自分でもびっくりするほど素直な感謝の言葉を告げることができた


「気にしない気にしない、それよりまたルソーにも会いに来てね、
また学校でね」


彼女の最後の言葉を胸に私はゆっくりとマンションの自分の部屋へ
向かった 少し寂しいということを思えるような私を少し不思議に
思いながら


【おしまい】


帰りの車の中、私は、別れ際の長門さんの表情を思い出して少し安
堵する、長門さんあんな所にたおれているんだものね、私、自殺未
遂かとおもっちゃったのね それに駆け寄った時、たしかに、キョ
ン君という言葉を聴いたのね、私 二人の間になにがあったのかは
今の私には、想像もつかないけど、長門さん多分あなたの恋はかな
わないと思う、でもきっと貴方の思いを判ってくれる人が現れるは
ずだから きっと


助手席で変な顔してたのか、不意にお兄ちゃんの大きな手が私の頭
をつつむようにかぶさってきた


「お兄ちゃん、ちょっと遠回りしてかえろうよ ね」


【本当におしまい】

あれぇこれ私のだよね、長門さんのじゃないよね
でもこれじゃ…長門さんがかっこいいばっかりだよね

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最終更新:2007年01月15日 01:33