今日、俺は珍しく長門の住むマンションに来ている。理由は長門がここ2日間学校へ来ていないからだ
それを気にした我らが団長様が
「キョン、行って来なさい!」
などとぬかしやがった 正直俺も心配だったんだが流石に家におしかけるなんてことはしようとも思わず
自分で行けと俺は言い返した。するとハルヒは
「私だって行きたいわよ。でもこれからちょっと用事があるの」
なんの用事だ。どうせ本当に小さい1マイクロにも満たない用事だろ。
「うるさいわね。ついでにみくるちゃんと古泉くんもバイトがあるんで無理だそうよ」
「すみませーん」
と微笑むエンジェル朝比奈さん。いえいえお忙しいでしょうどうぞお気になさらずに
「すみませんね。ではお言葉に甘えます」
といきなり顔を近づけてニヤケ面が言った。顔が近い。気持ち悪い。あとお前には言ってねえ!
「じゃあ そういうことだから今日の部活はここまで 解散!」
本当にわがままな団長様だとつくづく思いながらも長門の部屋へ一歩一歩近づいていった
そして俺は今長門の部屋の前に立っている。そしてインターフォンを鳴らしてみた
ピンポーン
……反応はない その後2、3回繰り返したり連打してみたりといろいろ試したがどれも反応はなかった
ドアノブを軽く回し、ドアを押してみる
………開いてる まあ鍵が開いているから部屋に入るってのも非常識だが俺は長門の部屋へ入った
玄関で「長門ー?いるのかー?」などいろいろ問いかけたが返事をする者は居なかった
仕方なく部屋へ上がることにした。そしてリビングのドアの前に立ち止まりふと
まてよいつぞやの閉鎖空間や情報空間などというめちゃくちゃな空間が広がっていたら・・・・
と考えた。まあ最近はハルヒも落ち着いて、平和な日々が続いているからそれはないだろうと早々に結論を出してドアを開けた
……ドアの開けた向こうには異様な風景があった
……………………なにをやっているんだ長門
 
そこにいた情報統合思念体とやらの対有機生命体インターフェイスは寝そべり小動物とにらめっこしていた ちなみに小動物とは猫だった真っ黒の
「・・・・・・・・・小型有機生命体とコンタクトをとっていた」
この2日間か?
「・・・・・・・そう」
俺は思わず脱力した。こいつは2日間この黒猫と話をしていたようなのだ。で?成果はあったのか?
「この小型有機生命体は私がいくら問いかけもにゃあとしか答えない。コンタクトは極めて困難」
と真面目な顔をして長門は俺に言った。長門、そいつに話し掛けても通じないぞ。それにそいつは猫っていう動物だ
「・・・・・・・ねこ?」
と不思議そうに首をかしげ黒猫を見ていた。そう、猫だ、しかし長門そいつをどうしたんだ?
「3日前の夜、この建物の近くで拾った。私は興味を持って連れてきてコンタクトをとろうとしていた」
ふーん。しかし長門が猫に興味を持つとは意外だ。本ぐらいにしか興味はないと思っていた。
「・・・・ねこ・・・・ねこ・・・・・にゃあ・・・」
と呟く長門に俺は言った。名前でも考えたらどうだ
「・・・・・なまえ?・・・・・名称はねこだと確認している」
いや、そういうわけじゃないんだ・・・なんつーか俺にもあるだろキョンとか本名とかなそんな感じなもんだ
「・・・・・・じゃあキョン・・・・・・・キョン・・・キョン・・」
と長門は今更起き上がり床に座り黒猫を持ち上げていた・・・というかなんで俺とアダ名と同じなんだ?
「この名称だと一番親近感が持てるから・・・・・」
ああ、もう好きにしてくれといいながらも内心恥ずかしい俺だったが一つ気になった。餌はあげてるのか?
「・・・・えさ?・・・・食料なら牛乳を与えている」
それじゃあ駄目だ。そうだ明日にでも家のシャミセンの餌を分けてやる。ということで明日はちゃんと学校来いよ。
「・・・・・・・わかった」
んじゃ、俺は帰るから。じゃあな。と言い玄関へ向かう俺に長門は言った
「・・・・待って」
ん、なんだ
「ありがとう・・・・・・・」
おう、じゃあ明日学校来いよ。じゃあな。 俺は長門の部屋を出た
 
そして翌日、憂鬱な授業が終わり部室へ向かおうとしていたらクラスメイトの馬鹿が話しかけてきた
「キョーン・・・おぉお前うまそうなお菓子持ってんじゃんいただきー」
この馬鹿(谷口)は俺が警告する間もなく俺の鞄に入ったキャットフードの入った透明袋を開けて1粒つまみ口へ運んだ
「くぁwせdfgひkl@;きうhygdrftgyオェエエエエエエエなんだこりゃ?」
馬鹿は奇声をあげていた。キャットフードだ。人の話も聞かずに人のものを食おうとするから罰があたったんだな
「うっせ しかしなんでキャットフードなんざ持ってきてるんだ?」
知り合いに分けるんだ。文句あるか?
「どうせまた涼宮絡みだろ~?お前も大変だな」
お前程でもないさ。チャック開いてるぞ
「うぉ!またかよ」
そんな馬鹿を無視して俺は部室へ向かった
部室に到着してノックをしても反応がなかったので入るとそこには長門が椅子に座り本を読んでいた。よう!長門と挨拶をした
「・・・・・・・・・キョンのえさ」
ああ、持ってきたとも。ほら 俺はさっき馬鹿に一粒食われたキャットフードを渡した
「・・・・・・・・・・・・」
長門はその中の一粒を取り出し目を丸くして見ている。おーい長門それは俺らは食えんぞ
「・・・・・・・・そう」
「こんにちわー・・あ 長門さん学校来たんですね。心配しましたよぉ」
と朝比奈さんが部室に入ってきて長門に話しかけている合間に俺は部室を出た。
何故かって?そりゃ朝比奈さんの生着替えを見るわけにはいかんだろ。正直見たいが。
そのあとハルヒと古泉が来ていつもどおりの部活だった
俺と古泉は将棋をして
ハルヒは朝比奈さんをおもちゃにして
長門は・・・・・・・あれ?長門の読んでいる本は猫飼育方法の本だった。コイツは本気で猫を飼う気でいるんだなあと俺は思った
「今日の活動は終わり!解散!」
と元気のいいハルヒの声で団員は帰路につこうとしていた。俺も帰ろうと玄関へ行くと誰かが俺の制服を引っ張った
「・・・・・・・・・・・きて」
長門だった。俺は別に構わなかったんでいいぞと答えた
「・・・・・・・そう」
 
実際どこへ連れて行かれるか分からなかったが連れて行かれた先は長門のマンションだった。何の用なんだ?
「・・・・・・まだキョンの飼育方法で不可解な点が幾つもある。それを教えて欲しい」
そうかい。俺は適当に返事をして長門のマンションへ向かった。部屋につくと例の黒猫「キョン」が出迎えた
「・・・・キョン・・・・いい子にしてた?」
長門が意外に普通な発言をしたことに驚きつつ部屋へ入った。
「キョン・・・・・キョン」
2回長門に呼ばれ俺は自分が呼ばれている事に気がついた。なんだ?
「キョンがフンやオシッコをどこでもしてしまって困っている。どうすれば?」
………やっぱり紛らわしくないか
「でも・・・この名称が一番親近感が持てる」
自分の意見を言い張る長門に、はいはいと適当に返事をして答えた。ペット用のトイレってのがあってなそれにさせるんだ。
まあそれにさせるにもソイツを躾けなきゃなんないけどな
「・・・・・・・ぺっとようといれ?」
やっぱり初めて聞く単語だったか・・・ていうか本を読んでたんじゃなかったのか?
だけどどうせ長門のことだから冒頭の長ったらしい心得なんかを真剣に読んでたに違いないと俺は思った。あーペットショップとかに売ってるやつだ
「・・・ペットショップって何?」
……こいつは本当に・・・・まあちょうど明日は休みだ一緒に行ってやるよ
「・・・・・・そう」
そうそうその餌なんだが朝と夜の2回やるだけでいいぞ。あ、ついでにペットショップ行った時に餌も買うか
「わかった・・・・」
その後も長門の質問に答えて、時は過ぎていった。もう帰らなきゃな
「・・・・・・・・そう」
何故か長門が寂しそうに見えた。まあ気のせいだろう。
俺は玄関で靴を履きながら長門に明日9:00ぐらいにここにくるなどと打ち合わせをして帰った。帰り際に長門がまた
「・・・・・ありがとう」
と言った。やっぱり何かいつもより感情ってものが感じられた気がした

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最終更新:2020年03月15日 18:18